太陽外縁天体とは?
 太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects (TNO))とは、海王星軌道の外側を周る天体の総称である。エッジワース・カイパーベルトやオールトの雲に属する天体、かつて惑星とされていた冥王星もこれに含まれる。

 1990年代になると海王星軌道より外側で次々と天体が発見され、冥王星を含むそれらの天体を総称して「trans-Neptunian objects (TNO)」と呼ぶようになった。2007年4月9日、日本学術会議はTNOの日本語表記を太陽系外縁天体または外縁天体を推奨した。

 似たような言葉に、準惑星(dwarf planet)と、冥王星型天体(Plutoid)がある。準惑星は、太陽の周囲を公転する惑星以外の天体のうち、それ自身の重力によって球形になれるだけの質量を有するもの。国際天文学連合(IAU)が2006年8月24日に採択した第26回総会決議5A(以下、決議5Aと略)の中で「惑星」を再定義した際に、同時に定義された太陽系の天体の新分類である。

 冥王星型天体(Plutoid)は、太陽系外縁天体 (trans-Neptunian objects, TNO) に属する準惑星 (dwarf planet) である。つまり、準惑星には海王星より遠いところにあるものと、海王星より近いところにあるものがある。海王星より遠いものを冥王星型天体というのである。太陽系外縁天体は、海王星の外側の、太陽系の天体すべてのものをいう。

Transneptuneobjects

 非常にややこしい。しかし、科学技術の進歩に伴い、新しい天体が次々に発見されている。2008年の時点で、冥王星、エリス、マケマケ、ハウメアが冥王星型天体に分類されている。これに加えて、さらに40を超える天体が冥王星型天体として分類される可能性がある。

 だが、その候補の1つかもしれないと言われる、太陽系外縁天体「セドナ」の大きさが、これまで考えられていたよりも小さかったことがわかった。

 セドナは、2003年に発見された時点では太陽系で最も太陽から離れた天体であり、発見時の太陽からの距離は冥王星の2倍以上あった(ただしそのすぐ後に、もっと離れた外縁天体エリスが発見された)。このときの観測による見かけの明るさをもとに、セドナの直径は冥王星の約3分の2と推定された。しかし、このほど実施された赤外線による観測で、セドナの推定直径は縮小され、冥王星のわずか43%とされた。

 予想外に小さかった「セドナ」
 今回の観測ではハンガリー、コンコリー天文台のアンドラーシュ・パール(Andras Pal)氏らのチームが、欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙望遠鏡を使い、セドナが遠赤外波長で放射するかすかな熱を検出した。

 セドナは「非常に冷たい」とパール氏は話す。この天体は現在太陽から130億キロ以上離れており、絶対温度20度(摂氏マイナス253度)という極寒の世界だ。実際、あまりにも冷たく小さいため、数年前にNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が赤外線によるセドナの観測に失敗したほどだ。

 ハーシェル宇宙望遠鏡を使った今回の観測結果は、セドナが、受け取る太陽光の3分の1を反射していることを示唆する。予想をはるかに超える反射率だ。これほど反射率が高いにもかかわらずこれほど暗いということは、この天体は非常に小さくなくてはならない。「反射率がもっと低くて大きな天体を想像していた」とパール氏は話す。

 パール氏らは、新たに得られたデータをもとに、セドナの直径を995キロと推定した。冥王星の最大の衛星カロンよりも小さいことになる。

 セドナの最初の発見者の1人であるカリフォルニア工科大学の天文学者マイク・ブラウン氏は、ハーシェル宇宙望遠鏡のデータは「しっかりとした観測結果だ」と言う。ブラウン氏は今回の研究に参加していない。

 ブラウン氏は、「これまでは良好な観測データがなかった」ため、セドナの大きさをそれほど確実に推定することができなかったと話す。

 冥王星もかつて、大きさの推定値を引き下げられている。50年前には、冥王星は水星より大きいが火星よりは小さいと考えられていた。現在では、冥王星の直径は水星の半分程度にすぎないことがわかっている。セドナの直径は、どうやらその冥王星の半分以下しかないようだ。

 セドナの大きさについての論文は、科学サイト「arXiv.org」に4月5日に掲載された。「Astronomy and Astrophysics Letters」にも掲載される予定だ。(Ken Croswell for National Geographic News April 19, 2012)

 セドナは準惑星(冥王星型天体)?
 セドナ (90377 Sedna) は、将来的に準惑星(冥王星型天体)に分類される可能性がある太陽系外縁天体の一つ。2003年11月14日にカリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウン、ジェミニ天文台のチャドウィック・トルヒージョ、イェール大学のデイヴィッド・ラビノウィッツによって発見された。

 セドナは、太陽系の直径100km以上の知られている天体の中では太陽から最も遠くの軌道を回っている(ただし、2008年現在はエリスの方が遠くに位置している)。セドナは、2003年11月14日にパロマー天文台のサミュエル・オースチン望遠鏡で最初に観測された。数日の内にチリ、スペイン、アリゾナ、ハワイの望遠鏡でも観測がなされた。スピッツァー宇宙望遠鏡でも観測を行おうとしたが検出することができなかった。

 セドナの名前は、北米極北地方に住む原住民族(特にカナダのイヌイット)の海の女神セドナに由来している。太陽からの光がほとんど届かず、表面温度は-240℃以下と考えられることから、厳寒の北極海の海底に住むという伝説を持つ女神セドナの名前を当てられた。軌道確定前に名称が提案されたため物議を醸したが、2004年9月、小惑星番号90377番として登録された。

 なお、2004年3月16日にいくつかのマスコミが「第10番目の惑星を発見」と報道したが、当初より、大きさや周囲の天体に対する影響力からセドナが惑星として分類される可能性は低いと見られていた。セドナの軌道は楕円形であり、近日点は76天文単位、遠日点は約900天文単位と推定されている。発見時には太陽から90天文単位の距離であった(冥王星と太陽との距離の平均は40天文単位)。

 セドナは、11,000年以上の周期で太陽の周囲を回っている。 直径は、冥王星の約43%の995km程度である。発見時は冥王星の3/4倍である1700kmと推定され、1930年の冥王星発見以降に太陽系で見つかった天体の中では、直径2,400kmのエリスが見つかるまでは最も大きかった。セドナが見つかるまで最大であった天体は直径が約1,250kmのクワオアーであった。しかしその後2012年の観測により、セドナの反射率が予想より高いことがわかり、直径は995kmと修正された。

 セドナは散乱円盤天体(SOD)?
 発見当初、自転周期はおよそ40日と非常に長いと観測されたことから、セドナには衛星が存在し、その潮汐力によって自転が減速されたのではないかと考えられた。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡の観測では衛星は見つからず、ある程度大きな衛星を持っている可能性は極めて低いとされた。さらにその後の観測によって、実際のセドナの自転周期はこの種の天体としては典型的な10.3時間であり、当初の観測結果は誤りであることが判明した。

 これによってセドナに巨大衛星の存在を仮定する理由は無くなった。ただし、潮汐力によって自転を減速しない程度の低質量の衛星が存在する可能性は残されている。 セドナは太陽系では火星に次ぐ赤い色をした天体である。セドナがなぜこれほど赤い色に見えるのかは分かっていない。一説によれば、太陽光よりも宇宙線の影響を受け続けた遠い小天体ではソリン (Tholin) のような有色物質が表面に堆積して赤みを帯びると言われている。

 軌道による分類 セドナは近日点が76天文単位、遠日点が約900天文単位と、近日点においてもエッジワース・カイパーベルトより外側に位置している。また、1万 - 10万天文単位に広がっていると考えられているオールトの雲とも距離が異なっている。

 現在は便宜的に散乱円盤天体 (SDO) に分類されることが多いが、発見者であるマイク・ブラウンは、内オールトの雲 (inner Oort Cloud) と新たに定義されるべき天体ではないか、と主張しており、他にも Extended Scattered Disc Objects (E-SDO)、Distant Detached Objects (DDO) などの分類名が提案されている。

 その他 SDOの中には、エリスのようにその遠日点がセドナの近日点より遠いものはあるものの、セドナのようなエッジワース・カイパーベルトより外側のみを通る軌道には2009年現在セドナほどの規模の天体は他に見付かっていない。

 しかしそれがセドナ自身の重力の影響で一掃された結果だとは見なされておらず、セドナは惑星には分類されていない。しかしその規模から将来準惑星に分類される可能性がある。

 主な太陽系外縁天体(冥王星型天体)
 主要な太陽系外縁天体と地球および月の比較図 (134340) 冥王星 - 歴史的理由により発見当初から2006年までは惑星に分類されていたが、同年8月の国際天文学連合総会で惑星の定義が正式に決議されたことにより、新たなカテゴリの天体であるdwarf planet(準惑星)に分類される事になった。
(136199) エリス(右の図では2003 UB313) - 散乱ディスク天体でありdwarf planet(準惑星)。
(136472) マケマケ(右の図では2005 FY9) - キュビワノ族。2008年7月に準惑星と認められた。
(136108) ハウメア(右の図では2003 EL61) - キュビワノ族。2008年9月に準惑星と認められた。

冥王星型天体の候補
(20000) ヴァルナ - キュビワノ族
(28978) イクシオン - 冥王星族
(50000) クワオアー - キュビワノ族
(55565) 2002 AW197 - キュビワノ族
(55636) 2002 TX300 - キュビワノ族
(55637) 2002 UX25 - キュビワノ族
(84522) 2002 TC302 - 散乱円盤天体
(90377) セドナ - 未分類。オールトの雲またはExtended散乱円盤に属するのではないかと言われている。
(90482) オルクス - 冥王星族

その他の太陽系外縁天体
(15760) 1992 QB1 - 冥王星以外で最初に発見された外縁天体であり、キュビワノ族のモデルとなった天体。
(15874) 1996 TL66 - 散乱円盤天体
(19521) カオス - キュビワノ族
(38083) ラダマントゥス - 冥王星族
(38628) フヤ - 冥王星族
(42355) テュフォン - 散乱円盤天体、大きな衛星を持つ
(58534) ロゴス - キュビワノ族、大きな衛星を持つ
(65489) ケト - 散乱円盤天体、大きな衛星を持つ
(66652) ボラシシ - キュビワノ族、大きな衛星を持つ
(88611) テハロンヒアワコ - キュビワノ族、大きな衛星を持つ    (Wikipedia)

参考HP Wikipedia 冥王星型天体 準惑星 太陽系外縁天体 National Geographic news 外縁天体セドナ、予想より小さかった

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