恐竜絶滅の原因は卵生だったから、研究論文
 何千万年もの昔に陸上を闊歩(かっぽ)していた恐竜が大量絶滅したのは、赤ちゃんではなく卵を産むその繁殖方法に原因があったとする論文が、18日発行の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に発表された。

 研究チームは、数学モデルを用いることによって、生まれた時のサイズが種の生存を左右する決め手となったことを突き止めた。

 論文によれば、卵の殻が厚過ぎると胚が必要とする酸素を通すことができないため、卵のサイズには上限があるという。このため恐竜は比較的小さい状態で生まれざるを得なかった。わずか2~10キログラムの卵から、30~50トンもの巨体へと成長する種もいたという。史上最大級の脊椎動物だった恐竜ティタノサウルス(Titanosaur)は、成体で平均4トンと、卵からふ化した時の約2500倍の重さへと成長した。一方、現代に生きるゾウの母親の体重は赤ちゃんと比べて22倍程度だ。

Dinosau

 論文の共同執筆者のスイス・チューリヒ大(University of Zurich)のMarcus Clauss氏はAFPに対し、成長過程の幼竜たちは他種の同じサイズの成体と餌を奪い合う必要があったと説明した。

 これによって自然界での小・中型動物のカテゴリーは「満員状態」となり、小型恐竜が繁栄する余地が無かったのだと、論文は説明している。

 小型恐竜が繁栄できなかったため絶滅
 「生態系の中で小型種が占める領域は大きいが、(論文のシナリオでは)その領域が大型種の子どもに占領されてしまっていた。それでも1億5000万年ほどは問題なかったのだが、大型種が絶滅して小型種だけが生き残るような出来事が起きた時、小型種がいないグループは全体が消え去ることになる」(Clauss氏)

 大型種を一掃した約6500万年前の出来事は、地上の恐竜たちにとって終末を意味していた。

 白亜紀と第三紀の境目だったその頃、隕石が地球に衝突し、大量の灰とちりが空中に巻き上げられた。風で運ばれて地球全体を覆った灰とちりは、太陽光を遮断するフィルターとなり、気温が低下し植物が枯れる「核の冬」をもたらした。専門家の間では、恐竜がこれより以前に絶滅していたのか、この大惨事によって絶滅したのかについては意見が分かれている。

 Clauss氏によれば、哺乳類の赤ちゃんは恐竜ほど小さく生まれるわけではなく、さらに母乳で育つために他の動物と餌を奪い合う必要が無かったという。つまり、隕石衝突後の過酷な環境にも適応し、進化することができる小型哺乳動物が存在していたということになる。恐竜の仲間だった鳥類も、新環境に適応できた小型種だった。

 科学者らによれば、約6500万年前の大絶滅では体重約10~25キログラム以上の動物は全て絶滅したとされている。

 「私や他の人々を悩ませてきた、『なぜ哺乳類は生き残り、恐竜は絶滅したのか』という疑問に対して、非常に納得できる答えを出せたと思っている」とClauss氏は語った。(AFPBB News)

 恐竜絶滅時の津波の大きさ
 今から約6550万年前白亜紀末期の小惑星衝突では、地震の規模はマグニチュード11以上、津波は高さ約300メートルにもなったという結果が、日本など12カ国の国際チームによって3月5日の米科学誌「サイエンス」に発表された。

 この論文では、恐竜など白亜紀末期の生物大量絶滅は、現在のメキシコ付近への1回の小惑星衝突が原因とする。約6550万年前に地球環境を一変させた破壊的衝突の全容も明らかにした。大量絶滅をめぐっては、複数の地球外天体衝突説、火山噴火説も出されているが、研究チームは「否定された」と結論付けた。

 チームには、地質学、古生物学、地球物理学、惑星科学など専門家41人が結集。メキシコ・ユカタン半島の巨大クレーター「チチュルブ・クレーター」(直径約180キロ)が形成された時期の世界各地の地層などの最新データを、解析し直した。

 その結果、チチュルブ・クレーター形成と大量絶滅の時期は一致▽他の天体が前後に衝突した痕跡はない▽6550万年前ごろは火山活動が活発ではなかった−−と判明。クレーター形成による環境変化は、大量絶滅に十分だったとした。

 恐竜絶滅のシナリオ
 チームによると、衝突した天体は直径10〜15キロの小惑星、衝突速度は秒速約20キロ、衝突時のエネルギーは広島型原爆の約10億倍、衝突地点付近の地震の規模はマグニチュード11以上、津波は高さ約300メートルと推定された。

 衝突による放出物は世界約350地点で確認された。放出物は大量のちりとなり、太陽光がさえぎられて地球上が寒冷化。5〜30度の気温低下が約10年続き、海のプランクトンや植物が死滅、食物連鎖の上位にいた恐竜などが絶滅したと考えられるという。

 この際、海底に生きる一部のプランクトンや、体が小さく食料が少なくてすんだ哺乳(ほにゅう)類は生き延び、後に多様化したとみられる。

 チームに参加した後藤和久・東北大助教(地質学)は「チチュルブへの衝突によって生物の大量絶滅が起きたという説が揺らぐことは、もはやないだろう」と話している。(毎日新聞 ‎2010年3月4日)

 これまでの恐竜絶滅説
 米の物理学者が1980年、「地球外天体の衝突で引き起こされた」との仮説を発表。1991年にチチュルブ・クレーターが見つかり、主流の学説になった。一方、一部の古生物学者は「生物種は長期間かけて多様性を失い絶滅する」との従来の学説を基に反発。別の天体衝突が原因との説や、インドでの大規模な火山活動が原因など新しい説も出されている。

 恐竜をはじめとする大型爬虫類は白亜紀末期に絶滅し、その滅亡原因については諸説ある。もっとも、鳥類は絶滅を逃れ進化した恐竜との見方を取れば、恐竜は絶滅してはいないことになる。

 短時間で滅んだとする激変説(隕石衝突説・すい星遭遇説・伝染病説など)や長時間かかったとする漸減説(温度低下説・海退説・火山活動説など)そのうち、現在最も有力とされているのは巨大隕石の衝突のパターンである。

 隕石衝突による恐竜の絶滅を最初に提唱したのは物理学者ルイス・アルバレスとその息子で地質学者のウォルター・アルバレスであった。二人は1980年代に、巨大隕石の衝突による地球規模の大火災で生態系が破壊され、衝突後に生じた塵埃が大気中に舞い、日光を遮断することで起きた急速な寒冷化が絶滅の原因であると示説した。これは激変説と漸減説の複合に近い形である。

 この説の根拠は、中生代白亜紀層と新生代第三紀層の間の黒色粘土層(通称K-T境界層)中のイリジウムが数十倍の濃度であること(イリジウムは地殻にはほとんど存在しないため、地球外由来と考えられる)、またユカタン半島の地下に巨大なクレータが発見されたこと、などがある。直径11kmの隕石が秒速40kmで衝突したと考えられている。(出典:Wikipedia「恐竜」)

参考HP  Wikipedia:恐竜 AFPBBnews:恐竜絶滅の原因は卵生だったから

恐竜学 進化と絶滅の謎
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丸善
決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー)
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岩波書店

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