新型「風レンズ風車」誕生!  
 「強風の時に安全に止まるかどうかが問題なんです」九州大学の大屋裕二教授は言った。博多湾の沖合に浮かんでいるのは実証実験用の風車。海の風はしだいに強くなってきた。パソコンの画面で風速は、1分間に300回転を越えた。するとブレーキがかかったのか、回転数があっという間に0になった。しばらくして風がおさまってくると、再びプロペラは回り出し、発電量も徐々に増え始めた。

 新型の風力発電装置である「風レンズ風車」の実用化が、また一歩近づいた瞬間であった。これまで風力発電というと、強風・落雷に弱い、騒音がひどい、土地の少ない日本に不向き…などという問題があり、世界の風力発電量 159.2 ギガワットのうち日本の発電量はたったの 2 %、とても日本では普及するとは思えなかった。このブログでも再三、風力発電の問題点を指摘してきた。

 信じられなかった。これら風力発電の問題点をほぼすべてクリアしたのだ。「ものづくり日本」の技術力の高さを再認識した。録画した2012年2月4日放送のNHKサイエンスZERO「海の風を集めろ! 実用化目指す新型風車」を見て驚いた。「風レンズ風車」と名付けられた風車はわずかな風もよくとらえて回転した。羽根の周りをリングで囲むと不思議なことに風が集まる。同じ風速であれば、従来の風力発電機に比べて3倍の発電量を得られた。

 風車の羽を囲むヒントは、底の抜けたタライにあった。底のないタライの広い方を風に向け、狭い方を風車に近づけてみる。一見すると風が集中して、風車がよく回りそうだ。ところが風車は止まってしまった。逆にタライの狭い方を風に向け、広い方を風車に近づけてみる。すると意外なことに風車は速く回った。発電量は2倍になった。さらにタライにツバを付けてみた。するとさらによく回り、発電量は3倍になった。不思議なことに騒音もなくなった。

 2012年5月、日本の原発はすべて止まった。今後のエネルギー不足が心配されている。しかし、太陽光発電に加えて、新型風車の開発。これなら、近い将来、エネルギー不足の日本を救えるかもしれない。新たな希望を持てた番組であった。

 発電量は従来の3倍! 
 この新型の「風レンズ風車」調べてみると、2010年8月横浜で行われた“第5回新エネルギー世界展示会”や、2012年1月15日TBS 夢の扉+で放送した「発電量は従来の3倍!洋上に浮く“夢の風車”」でも取りあげられている。以下は「夢の扉+」の概要だ。

 風工学と航空宇宙工学の第一人者である九州大学大屋教授は、従来型の風車の約3倍の発電能力を持つ「レンズ風車」を開発した。秘密は、羽根の周りに付けた「輪」。太陽の光を集めるレンズのように、この「輪」が風を集める。開発からおよそ10年。その道のりは決して平坦ではなかった・・・。

 「風が弱い」「音がうるさい」などの問題があり、日本では普及が進まない風力発電。この問題を克服するため、気圧、渦・・と「風を読む」大屋の研究・開発が続く。そして、ようやく、自ら風を集め騒音も吸収する、「効率世界一」という“夢の風車”が完成した。

 しかし、さらなる試練が・・・。2007年9月、砂漠緑化のため、中国甘粛省の砂漠に設置したレンズ風車。だが、砂嵐によって破壊されたほか、強風で羽根が吹き飛んだ。自然の猛威と向き合いながら、一つずつ改良を進める。その大屋の周りには、町工場の経営者達が集まった。日本の町工場が持つその技術力を生かして、風車を進化させ世界への普及を目指す。

 “夢の風車”の実用化に向けて、大型化を進めるなか、もう一つ課題が立ちはだかった。日本は、風車を設置できる「場所」が限られている。そこで大屋が出した答えは「洋上への進出」。日本を取り囲む広大な「海」に浮き島=『浮体』を設置して、風力に太陽光や波力をも利用した複合的な発電を行うという世界初の試みに挑んでいる。(TBS 夢の扉+)

 大型風車の問題点
 日本では一時期、大型風力発電機の建設ラッシュが起こったものの、現在はあまり増えていない。理由は、大型風車を建設できる場所が限られるからだ。米国や中国とは違って国土が狭い上、離島や山岳地など急傾斜の地形が多く、台風や強風、落雷など自然環境も厳しい。

 そういった中、2007年頃から、大型風車が発生させる騒音や低周波音による健康被害の問題が浮上した。頭痛や不眠などの体調不良を訴える近隣住民が増えたことで、大型風力発電機の建設に待ったがかかったのだ。環境省は2010年4月から4年計画ですべての風力発電機について被害の実態調査を実施中だ。現在は新規に設置する際の補助金も打ち切られている。

 加えて、大型風力発電機の大型化に伴い、製造コストや建設コストの増大、バードストライク(鳥が風車に激突する現象)、電波障害、環境破壊といった問題も重要視されはじめている。

 それに対し、小型風力発電機であれば、大型風力発電機や太陽光パネルが設置できない場所にも設置できる。また、小型風車なら風車の支柱と大型の羽根との間の干渉によって起こる低周波音も発生しない。電波障害や自然破壊、景観問題も大型風車に比べてずっと少ない。そのため、小型風力発電機の潜在市場は非常に大きいと捉えられている。

 しかし、環境性能に優れていながら、小型風力発電機は「製品なき有望市場」と言われる。普及が一向に進んでいないのは、大型風力発電機に比べて発電コストが高く、現状では導入しても採算が合わないからだ。

 現時点の発電コストは、大型風力発電機が10~14円/キロワット時、太陽光発電が46円/キロワット時なのに対し、小型風力発電機は、大型風力発電機の数十倍以上と言われている。また、発電コストに直結する建設コストとランニングコストのうち、建設コストは、大型風力発電機が1キロワット当たり20万~30万円、太陽光発電が60万円なのに対し、小型風力発電機は太陽光発電の2~3倍にも及ぶ。

 風レンズ風車の利点
 そこで、現在、様々な大学や企業の研究者や技術者が、太陽光発電並みの発電コストを目指し、研究開発に取り組んでいる。そういった中、発電コストの低さで注目を集めているのが、九州大学の風レンズ風車だ。風レンズ風車の特徴は主に4つだ。

 まず1点目は、従来の小型風力発電機に比べて、2~3倍の発電量を得られること。理由は、風レンズによる「集風効果」にある。風力発電の場合、出力は風速の3乗に比例して増大する。それに対し、風レンズ風車は、風を集める構造となっており、風速を1.3~1.5倍に増大させることができる。その結果、同じ風速であればその3乗の約2~3倍の発電量を得られるのである。

「風レンズ風車の直径は2.5メートル、風レンズの外径は3.4メートルしかないにも関わらず、九州大学がコンピューターシミュレーションを行ってみたところ、平均風速が毎秒4メートルであれば、年間約3000キロワット時の発電量を確保できるという結果が得られた」。

 風レンズ風車の技術提供を受けた、ウインドレンズ社の高田氏はこう説明した。太陽光発電協会の試算によれば、2010年度の1世帯当たりの年間総消費電力量は年間5650キロワット時だったことから、50%以上の電力量をまかなえる計算になる。

 2点目は、騒音がほとんど発生しないこと。通常の大型風車の場合、羽根の先の部分で発生するカルマン渦と呼ばれる空気の渦が騒音の原因となる。しかし、風レンズ風車の場合、羽根の周りを風レンズで囲んでいるため、カルマン渦の発生が抑制され、騒音がほとんど生じないのだ。

 「実際、測定したところ、45デシベル以下と、図書館並みの静寂さを実現していた」と高田氏は説明する。

 3点目は、風レンズの集風効果によって、乱れた風でも発電可能な上、風の力を使って風が吹く方向に向くことができること。そのため、風向きを追随するヨー駆動装置を電力で動かす必要がない。

 4点目は、風レンズの部分は固定で回転しないため、鳥にとって風車の視認性が高く、バードストライクの発生頻度が低いことである。また、支柱の高さが15メートル以下のため、野鳥の活動範囲ともずれている。実際、バードストライクの例は報告されていないとのことだ。(日経ビジネスONLINE)

参考HP TBS夢の扉+:発電量は従来の3倍!洋上に浮く夢の風車 NHKサイエンスZERO: 海の風を集めろ!実用化目指す新型風車 日経ビジネスONLINE:発電量3倍、風を集めて発電する「風レンズ風車」

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