40億年後に銀河系衝突
 地球がある銀河系は40億年後、近隣のアンドロメダ銀河と衝突する-。こんな分析結果を米航空宇宙局(NASA)のチームがハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で導き出し、発表した。

 双方の銀河には十分な隙間があるため、星の衝突はないという。NASAは「将来、太陽は今よりもさらに銀河の中心から離れた位置にあるかもしれないが、太陽や地球が破壊されることはない」とコメントしている。チームはハッブルの観測で得られたデータを基にコンピューターを使って2つの銀河の将来の位置を予測。重力で引きつけられて40億年後に衝突し、その後分離と衝突を繰り返し、60億年後に1つの銀河に融合するという結果となった。

 アンドロメダ銀河と銀河系が接近していることは知られていたが、衝突するかどうかは科学者の間で意見が分かれていた。アンドロメダ銀河は地球から約250万光年離れた比較的近い位置にあり、時速約40万キロメートルで地球に近づいている。(産経新聞 2012.6.3)

 銀河系とアンドロメダ銀河が衝突するとなると驚くが、宇宙では珍しいことではない。現に、アンドロメダ銀河の周囲には伴銀河としてM32、M110 (NGC205)が観測できるが、これらの伴銀河はいずれアンドロメダ銀河と衝突し吸収されてしまうと考えられている。

Andromeda

 そればかりかわれわれの銀河系も、他の銀河と衝突している真っ最中である。銀河系の伴銀河であるマゼラン雲は2つの銀河からなる。 大マゼラン雲 (Large Magellanic Cloud = LMC) 小マゼラン雲 (Small Magellanic Cloud = SMC) 共に、アンドロメダ銀河と同じ局部銀河群に属する矮小銀河である。これらの銀河はやがて銀河系に吸収されてしまう。

 アンドロメダ銀河
 アンドロメダ銀河(Andromeda Galaxy 、M31,NGC224)は、アンドロメダ座に位置する肉眼で確認可能な渦巻銀河である。さんかく座銀河、銀河系(天の川銀河)、大マゼラン銀河、小マゼラン銀河などとともに局部銀河群を構成する。地球から約254万光年の距離に位置し、およそ1兆個の恒星から成る渦巻銀河で、直径22〜26万光年で、直径8〜10万光年である我々の銀河系(天の川銀河)よりも大きく、局部銀河群で最大の銀河である。

 また、M33と共に、肉眼で見える最も遠い物体である。見かけは一時期、我々の銀河系である天の川銀河と似ていると言われていたが、アンドロメダ銀河のバルジは2つの巨大ブラックホールが存在し、連星系を成していることが観測より明らかになり、天の川銀河のバルジと比較してガスや暗黒物質が非常に少ないことも判明し、さらに、天の川銀河の方のバルジに棒構造が発見されたことにより、ハッブル分類上でも両者は渦巻銀河のアンドロメダ銀河と棒渦巻銀河の天の川銀河に区別されるなど違いがはっきりしてきている。

 アンドロメダ銀河の周囲には伴銀河としてM32、M110 (NGC205)が観測できる。これらの伴銀河はいずれアンドロメダ銀河と衝突し吸収されてしまうと考えられている。
 
 アンドロメダ銀河のスペクトルは青方偏移を持ち、我々の銀河系に対して秒速約300kmで接近している。約40億年後にはこの2つの銀河は衝突して合体し、1つの巨大な楕円銀河を形成すると予想されている。

 大・小マゼラン雲
 マゼラン雲は、大マゼラン雲 (Large Magellanic Cloud = LMC)と小マゼラン雲 (Small Magellanic Cloud = SMC)の2つの銀河からなる。共に、局部銀河群に属する矮小銀河で、銀河系の伴銀河である。LMCとSMCは互いには7万5000光年離れており、地球からは21度離れて見える。
 
 20世紀末まで、LMCとSMCは銀河系に最も近い銀河と2番目に近い銀河と思われていた。しかし、1994年にいて座矮小楕円銀河 (SagDEG) が発見され、順位は繰り下がった。
 
 両銀河は、銀河系に接近するたびに強い潮汐力を受けている。両銀河は棒渦巻状の構造を持つが、潮汐力により大きく乱れている。一方、銀河系のディスクも、わずかに変形している。また、両銀河と銀河系の間に中性水素の帯であるマゼラニックストリームができている。
 
 両銀河の速度はハッブル宇宙望遠鏡により正確に測定され、480km/sと出ている。この速度は、両銀河が銀河系に重力的に束縛されていない可能性を示唆している。これが正しいなら、マゼラン雲の効果として説明されてきた現象は修正の必要がある。

 大マゼラン雲も小マゼラン雲も、Sm 型の棒渦巻銀河で、とともに銀河系の伴銀河となっており、アンドロメダ銀河などとともに局部銀河群を構成している。南天にあるため、日本からは見ることができない。南半球では、かじき座とテーブルさん座にまたがるぼんやりとした雲のように見える。

 大マゼラン雲は、太陽系からおよそ16万光年(5万パーセク)の距離、質量は銀河系の10分の1程度、直径は銀河系の20分の1程度の矮小銀河であり、小マゼラン雲は、太陽系からおよそ20万光年の距離に位置し、質量は銀河系の6分の1程度とされる。将来的にはどちらも銀河系と合体すると考えられている。

 いて座矮小楕円銀河
 いて座矮小楕円銀河(Sagittarius Dwarf Elliptical Galaxy, SagDEG)は銀河系の伴銀河の一つである。いて座に位置する矮小銀河で局部銀河群に属する。 質量は銀河系の約 1/1000 程度、直径は約10,000光年で、現在の地球からの距離は約70,000光年である。銀河系中心から半径約50,000光年の極軌道を描いて銀河系の周りを回っている。

 これは大マゼラン銀河までの距離の約 1/3 である。 SagDEG は銀河系に最も近い伴銀河の一つだが、地球から見て銀河系中心の反対側に位置するため、天球上で非常に大きな面積を占めているにもかかわらず非常に暗い。このため、この銀河が発見されたのは1994年になってからであった。発見後すぐに、これまで知られている銀河の中で我々の銀河系に最も近いことが明らかになった。

 SagDEG は銀河系に比べて年齢が古く、星間塵をほとんど含んでいない。銀河の大部分を構成する星は銀河系の普通の星よりも古くて金属量の少ない種族IIの星である。 現在の軌道から考えると、SagDEG は数億年後には銀河系のディスクを通過することになり、やがてはゆっくりと銀河系に合体するものと考えられている。

 しかし SagDEG の今までの正確な歴史や将来についてはまだ不明な点もあり、議論の余地が多い。 発見当初、多くの研究者は、SagDEG は過去に大きな破壊作用を受けており、最初に持っていた物質の多くが既に銀河系に混ざってしまっていると考えていた。しかし SagDEG は今なお引き伸ばされた楕円体の形状を保っており、銀河系中心から距離約50,000光年の極軌道を描いて運動していることが分かっている。銀河系に落ち込む以前は星々の丸い集団だったかもしれないが、この先は数億年にわたって巨大な潮汐力を受けて破壊され始めるものと思われる。

 数値シミュレーションによると、この矮小銀河から引き剥がされた星々は銀河の軌道に沿って長い軌跡を描いていることが示唆されている。この星の軌跡は後に見つかっている。 しかし、SagDEG は数十億年にわたって既に10回ほど銀河系を周回していると主張する研究者もいる。もしそうであるならば、このような強い潮汐力を受けてなお形を保っていることから、この銀河のダークマターは通常よりも強く集中している可能性もある。 一方、SagDEG と大マゼラン銀河の星のタイプが似ていることを指摘する研究者もいる。彼らは、過去に両者が何らかの原因で分離して、最近になって銀河系を回るようになったと主張している。

 おおいぬ座矮小銀河
 最近まで、SagDEG は銀河系の外にある銀河の中で地球に最も近いと考えられてきたが、2003年新たに、より距離の近いおおいぬ座矮小銀河が発見された。 この銀河はいて座矮小不規則銀河 (SagDEG) と混同しないように注意する必要がある。この銀河は SagDEG よりもずっと近い約2万5千光年にある矮小銀河である。なお、球状星団の M54 は、銀河系ではなく SagDEG に属している。 

 このように、銀河は一生を通じて星間雲や矮小銀河との合体を通じて物質を吸収し続ける。この物質はほとんどが水素やヘリウムだが、恒星の誕生と死が繰り返されるうちに重元素が増えてゆき、その中に惑星を持つようになる。 銀河の発展は相互作用と衝突が大きな影響を与えた。初期宇宙では、銀河の合体は一般的な出来事であった。そしてそれらは形態論から外れた形ばかりだった。

 アンドロメダ銀河は時速40万キロメートルで近づいている。そして今回、40億年後には衝突する可能性が指摘された。この衝突において活発な星形成が行われた後、二つの銀河は一度通り過ぎると考えられるが、その際に太陽系がアンドロメダ銀河側に移されてしまう可能性も3%程度ある。そしてふたたび近づき、最終的には一つの楕円銀河になると考えられる。

 過去にも、天の川銀河は小型の銀河と何度も衝突しており、その証拠は次々と見出されている。しかし、アンドロメダ銀河のような巨大銀河と大規模な相互作用が起こることは希である。時間が経過するとともに、同規模の銀河が衝突する事例は少なくなる。ほとんどの明るい銀河では、頻繁に衝突が発生した時期は約100億年前であり、過去数10億年間にわたり抱える星の総数は大きく変化していないと考えられている。(Wikipedia) 

参考HP 国立天文台:すばる望遠鏡ウルトラ赤外線銀河の謎を解明

銀河―宇宙に浮かぶ不思議な天体 ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた驚きの宇宙
沼澤 茂美,脇屋 奈々代
誠文堂新光社
ハッブル望遠鏡宇宙大展望―厳選された80の最新観測 (ニュートンムック Newton別冊)
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