国内にメダカ2種類、遺伝子違う「北日本集団」
これまで1種類とされていた国内の野生メダカのうち、青森県から兵庫県の日本海側に生息するメダカは別種であることを、近畿大学の大学院生らが突き止めた。論文はドイツの魚類学専門誌に掲載され、新種として認められた。近畿大が6月4日発表した。
このメダカは「北日本集団」と呼ばれ、それ以外の地域の「南日本集団」とは遺伝子に違いがあることを、酒泉満・新潟大学教授が1980年代に報告した。しかし、形態の違いは詳しく調べられず、日本のメダカは学名「オリジアス・ラティペス」の1種類とされてきた。
近畿大大学院生の朝井俊亘としのぶさんらは、3年間かけて全国50か所で約600匹を採取。北日本集団には、1.オスの背びれの切れ込みが小さい。2.ウロコの輪郭が網目状に黒っぽい。3.尾の近くに斑点がある――という独特の特徴があることがわかった。(2012年6月6日 読売新聞)
朝井さんは2011年12月、研究成果をドイツの学術誌に発表した。その際、新たに記載された北日本集団の種に「オリジアス・サカイズミ」という学名を付けた。サカイズミとは、1980年代に分子遺伝学の見地から日本のメダカを北日本集団と南日本集団に大別した酒泉満・新潟大学教授の姓からの命名。
和歌山県白浜町出身の朝井さんは、同県立田辺高校を卒業後、近畿大学農学部水産学科で学んだ。学部時代からメダカの発育に関する研究に打ち込んでいたという。卒業後は近畿大学附属新宮高校(同県新宮市)で理科の教諭を務めたが、「どうしても研究の道を諦めきれず」(朝井さん)、大学院への進学を選んだ。現在、水圏生態学研究室に所属。指導教員は学部時代と同じ、細谷和海教授。
朝井さんは今後、日本のメダカの進化の過程を解き明かすため、アジア各地での分類学的調査を進める予定。その第一歩として今年6月、韓国での調査を行なうことにしている。
「メダカは実は謎だらけの生き物。研究課題は山積しています。日本の2種の進化過程を探るうえでも今後、韓国だけでなく中国大陸に分布するメダカ類の調査が必要になるでしょう」と意欲を見せる朝井さん。
今後の抱負について「これからもつねに新しい研究に取り組みたい。そして、得られた知識や経験を後輩や周囲に伝え、指導できるようになりたいですね」と笑顔で語った。(近畿大プレスリリース 2012年6月 8日)
メダカは海水でも平気?
メダカ(Oryzias latipes)またはニホンメダカは、ダツ目 メダカ科(アドリアニクチス科)に属する魚。体長 4 cm 程の淡水魚。学名の Oryzias latipes は『稲の周りにいる足(ヒレ)の広い』という意味である。
目が大きく、頭部の上端から飛び出していることが、名前の由来になっている。飼育が簡単なため、キンギョ同様、観賞魚として古くから日本人に親しまれてきたほか、様々な目的の科学研究用に用いられている。西欧世界には、江戸時代に来日したシーボルトによって、1823年に初めて報告された。
日本、台湾、朝鮮半島、中国、ベトナム、スリランカなどに分布する。この他、イラン、トルクメニスタンなどにも移入されている。北アメリカにも移入された地域がある。日本では本州から琉球列島にかけて分布する。北海道の一部地域にも移入されて分布している
メダカの体色は、野生型では焦げ茶色がかった灰色だが、突然変異型では体表の、黒色、黄色、白色、虹色の4種類の色素胞の有無あるいは反応性の違いによって様々な色調を示し、カラーメダカと呼ばれる。突然変異型には以下のものがある。
1.ヒメダカ(緋目高) - 黒色素胞(メラノフォア)がないため体色がオレンジ色をしている。観賞用や教材用に流通している。
2.シロメダカ(白目高) - 黒色素胞がなく黄色素胞(キサントフォア)が発達していないため、体は白い。
3.アオメダカ(青目高) - クロメダカと見た目が似ている。
4.アルビノ(白子) - 黒色と黄色の色素細胞が全くない。体が白いだけでなく、眼が血液の色で赤い。実験用に作製された。
5.透明メダカ - 黒色、白色(ロイコフォア)、虹色(イリドフォア)の3種の色素胞を持っておらず、体が透けて脳や内臓まで見えるため、解剖を行わなくても生きている生物の内臓を研究できるようになった。名古屋大学の若松佑子によって作製された。
これらと区別するため、野生型のメダカを通称クロメダカとも呼ぶ。流れのゆるい小川や水路などに生息し、動物プランクトンなどを食べる。蚊の幼虫ボウフラを好んで食するため、ボウフラを退治する益魚としても知られている。
1回の産卵で、約10個の卵を産む。通常、春から夏にかけて産卵し、孵った仔魚は夏、秋の間をかけて成長し、次の年に産卵する。早い時期に孵化したもののなかには、その年の秋に産卵をする個体もある。メダカの産卵時期と水田に水が張られる時期は一致しており、日本の稲作文化とともに共存してきた「水田の魚」とも称される。
また、腎機能が発達しているため耐塩性が非常に高く、海水と同程度の塩水でも生存できる。 ほかの淡水魚にはないこの体質を利用し、台風などの洪水で海に流されても河口付近の汽水域に駐留し、流水量が緩やかになってから遡上することができる。一般にメダカの寿命は1~2年といわれているが、人工的な飼育下ではその限りではなく、長いものでは3~5年程度生きる。
1999年、環境省レッドリスト(絶滅危惧II類)入り
かつて日本では、童謡「めだかの学校」にも歌われたように、小川にはごく普通にメダカの群れが見られた。しかし、1980年代あたりから野生のメダカが各地で減少し始め、姿を見ることが難しくなった。減少の主な原因は、農薬の使用や生活排水などによる環境の悪化、護岸工事や水路の整備などによる流れの緩やかな小川の減少、繁殖力の強い外来種(ブルーギルやカダヤシなど)による影響が挙げられている。また、メダカは水田のような一時的水域に侵入して繁殖する性質が強く、近年の農地改良に伴う用排分離により、用排水路から繁殖時に水田内に進入することが困難になっていることが特に致命的となっており、メダカの繁殖力を著しく削いでいる。
こうしたメダカを取り巻く環境の変化により、1999年2月に環境庁(当時)が発表したレッドリストにて絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)(絶滅の危険が増大している種)にメダカが記載され、メダカは2003年5月に環境省が発表したレッドデータブックに絶滅危惧種として指定された。身近な生き物だったメダカが絶滅危惧種となったことはマスメディアにも大きく取り上げられ、日本各地で保護活動が活発に行われるようになった。
しかし、絶滅危惧種であるメダカを守ろうとする保護活動が、メダカの遺伝的多様性を減少させる遺伝子汚染という新たな問題を起こしている。メダカの生息水域ごとの遺伝的な違いは詳しく研究されており、アロザイム分析により遺伝的に近いグループごとにまとめると、北日本集団と南日本集団に大別される。
2007年8月のレッドリスト見直しの際も、メダカの絶滅危惧II類(VU)の指定が「メダカ北日本集団(Oryzias latipes subsp.)」と「メダカ南日本集団(Oryzias latipes latipes)」の2つに分けて記載された。北日本集団と南日本集団は遺伝的には別種といってよいほど分化がみられるが、生殖的隔離は認められておらず、両者の分布境界にあたる丹後・但馬地方では雑種の存在が確認されている。
この大きな遺伝的分化は少なくとも数百万年前には発生していたといわれている。アロザイム分析によれば、南日本集団については生息している水域ごとに「東日本型」、「東瀬戸内型」、「西瀬戸内型」、「山陰型」、「北部九州型」、「大隅型」、「有明型」、「薩摩型」、「琉球型」の9種類の地域型に細分されるとの結果がでている。さらに、ミトコンドリアDNAの解析からはこれらの水域ごとの遺伝的に異なる個体群にはそれぞれ相互に異なる環境適応の構造が検出されている。
絶滅危惧に指摘されたことで、にわかに保護熱が高まった結果、こうした遺伝的な違いなどへの配慮をせずにメダカ池やビオトープ池を作り、誤って本来その地域に放流すべきでない他の地域産のメダカや、観賞魚として品種改良を施された飼育品種であるヒメダカを放流した例が多数ある。実際に、関東地方の荒川・利根川水系に生息する個体群のほとんどは、瀬戸内地方や九州北部に分布するはずのメダカであることが判明している。ひどいところでは、誤ってカダヤシをメダカのいる池に放流してしまった例もある。
現在は、地域ごとに遺伝的に大きな多様性を持った地域個体群の局所的な絶滅の進行が危惧されており、遺伝的多様性に配慮した保護活動が望まれている。メダカの保護には生息地の保全がまず重要とされ、安易な放流は慎むことが求められる。生態系全体を考慮したうえでやむを得ず放流が必要な場合は、日本魚類学会が示した「生物多様性の保全をめざした魚類の放流ガイドライン」などを参考にしつつ、専門家の意見を聞くべきである。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:メダカ 近畿大プレス:日本のメダカ実は2種類
日本のメダカを飼おう!―育て方とふやし方 | |
クリエーター情報なし | |
誠文堂新光社 |
クロメダカ10匹プラスおまけ5匹 計15匹(万一の場合の保証有)【生体 名生園】 | |
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こだわりの生体をお届けします 名生園 |
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