ニュートリノとは何か?
 物質を構成する最小の粒子を素粒子とよぶ。素粒子は大きく2種類に分類され、物質を構成する粒子をフェルミ粒子、力を媒介する粒子をボース粒子と呼ぶ。物質を構成するフェルミ粒子は更に、クォークとレプトンに分類される。クォークやレプトンの大きさはわかっていないが、仮に有限の大きさがあるとしても陽子のスケールにおいても点とみなすことができる大きさである。

 クオークとレプトンだ。レプトンには6種類あり、荷電レプトンとニュートリノに分類される。荷電レプトンは、電荷 −1 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。荷電粒子には、電子、ミュー粒子、タウ粒子の3つがある。ニュートリノには、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3つがある。

 クォークにも6種類あり、上系列と下系列に分類される。上系列は電荷 +2/3 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。 アップクォーク 、チャームクォーク、 トップクォークの3つがある。下系列は電荷 −1/3 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。 ダウンクォーク、ストレンジクォーク 、ボトムクォークの3つがある。

 ニュートリノは電荷を持たず、他の素粒子との反応がわずかで、透過性が非常に高い。そのため、原子核や電子との衝突を利用した観測が難しく、ごく稀にしかない反応を捉えるために高感度のセンサや大質量の反応材料を用意する必要があり、他の粒子に比べ研究の進みは遅かった。

Neutrino

 最近では、観測技術が向上し、さまざまな装置でニュトリノの新たな性質がわかってきた。スイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(OERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出する実験では、光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告された。

 この実験では、「光より速い粒子が世界で初めて発見された」と話題になったが、光ケーブルの接続不良や、ニュートリノ検出器の精度が不十分だったことを理由に取り消されている。

 また、南極に設置された「Ice Cubeニュートリノ観測所」では、南極の氷にあたって発光する、ニュートリノのわずかな光をとらえる装置であるが、今回通常のニュートリノより10倍以上高いエネルギーの高エネルギーニュートリノを検出した。

 高エネルギーニュートリノは、銀河系に閉じ込められることがないので、銀河系外からやってきたものであると考えられている。発生源は、宇宙最大の爆発現象とされる「ガンマ線バースト」や、銀河の中心にある巨大ブラックホールなどが考えられるがよくわかっていない。いずれにしても激しい天体現象により、高エネルギーのニュートリノも同時に生成される。そして、ニュートリノは地球に届くまでほとんど他の物質と相互作用せずに直接飛んでくる。

 ニュートリノ、「超光速」撤回 名古屋大などが正式に発表
 素粒子のニュートリノが光より速く飛ぶとの実験結果を昨年9月に報告した名古屋大などの国際研究チーム「OPERA」は8日、測定精度を高めた再実験の結果、ニュートリノの速度は光速と誤差の範囲で同じだったとして、「超光速」の当初報告を撤回した。京都市で開かれているニュートリノ・宇宙物理国際会議で正式に発表した。
 
 「超光速粒子」の報告は、質量を持つ物質は光速を超えないとするアインシュタインの相対性理論に反するため世界的な論争を呼んだ。科学者の多くは当初から懐疑的だったが、研究チームの撤回表明で論争は終結する見通しとなった。
 
 実験はスイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(OERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出。当初は光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告された。
 
 速度を測定するため、GPS(衛星利用測位システム)で時刻を合わせる時計を発射側と到着側に計3台設置。このうち到着側で地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続不良や、ニュートリノ検出器の精度が不十分だった可能性が見つかり、今年5月に再実験を行っていた。
 
 再実験では光ケーブルの接続を十分に確認した上で、地上と地下の時刻合わせを1ナノ秒単位で正確に監視。ニュートリノが検出器を通過する時刻も、誤差を従来の25分の1の1ナノ秒に抑えて確認できるように装置を改良した。
 
 超光速粒子をめぐっては昨年11月、同じ研究所の別の実験チームがノーベル賞学者の見解をふまえて反論したほか、今年3月には検証実験で否定。光ケーブルの接続不良問題も浮上したことで、超光速は誤りとの見方が広がっていた。(産経新聞 2010年6月8日)

 未知の天体から?高エネルギーニュートリノ観測
 千葉大などの国際研究チーム「IceCubeプロジェクト」が、これまで観測されたことのない高エネルギーのニュートリノを2個、南極で観測した。

 京都市で開かれているニュートリノ・宇宙物理国際会議で8日、発表した。未知の天体から地球に飛来したと見られ、高エネルギーを放つ天体の理解につながるという。

 チームは、南極点付近の氷河に、1立方キロ・メートルの範囲にわたって検出装置を埋め、昨年5月に本格的な観測を開始。同8月と今年1月に計2個、大気中などで発生する高エネルギーのニュートリノより10倍以上高いエネルギーのニュートリノを検出した。可視光に比べると1000兆倍高いエネルギーだという。

 このニュートリノの放出源は、宇宙最大の爆発現象とされる「ガンマ線バースト」や、銀河中心にある巨大ブラックホールなどが考えられるが、よく分かっていない。発表した千葉大の石原安野あや研究員は「より多くの高エネルギーニュートリノを観測し、天体の謎を解明していきたい」と話している。(2012年6月9日 読売新聞)

 アイスキューブ・ニュートリノ観測所
 アイスキューブ・ニュートリノ観測所(The IceCube Neutrino Observatory)は、南極のアムンゼン・スコット基地の地下に設置されたニュートリノ観測所。南極の厚い氷の中にDOM(Digital Optical Module)と呼ばれる球体の光センサーモジュールを数千個並べてある。1つのDOMは耐圧球の中に浜松ホトニクス製の光電子増倍管、地表の施設にデジタルデータを送るためのデータ収集回路、電源、磁気シールドが内蔵されている。
 
 完成は2010年12月18日(ニュージーランド時間)。熱水ドリルで南極の氷に深さ2450mの垂直の穴(string)を86本掘削し、それぞれのstringの深さ1450mから2450mの間に60個のDOMが縦に並べられている。86本全てのstringを合わせてarrayと呼び、合わせて86x60=5160個のDOMが氷の奥深くに埋め込まれていることになる。これらのセンサーは深さ方向に1km、上から見て1km2の正六角形の領域に分布しており、全体として1km3もの体積を持つ巨大な検出器を構成している。

 アイスキューブはこれらの高エネルギー(100GeVから数PeVまで)のニュートリノを検出できる。その天体現象が激しければ激しいほど、アイスキューブで検出できる見込みが高い。その意味では、アイスキューブはスーパーカミオカンデよりもピエール・オージェ観測所(世界最大の宇宙線観測所)に近い。アイスキューブは北半球方向からやってくるニュートリノを高感度で観測できる。検出自体はどの方向からのものでも可能であるが、南半球からのニュートリノは宇宙線由来のミュー粒子によるバックグラウンドによってかき消されてしまう。アイスキューブの探索はまず北半球に的を絞り、南半球への拡大は臨時の作業として行われる。
 
 アイスキューブで検出されるニュートリノは望遠鏡で捕らえられる光に比べたらほんのわずかなものではあるが、高い解像度を持っている。数年後には宇宙マイクロ波背景放射やガンマ線望遠鏡にも似た北半球方向の宇宙の地図を作成するかも知れない。また、KM3NeT(地中海の水深2500-4500mに設置される予定のニュートリノ観測所)が南半球の地図を作成しているかも知れない。なお、アイスキューブでは2006年1月29日に最初のニュートリノを観測している。(Wikipedia)

参考HP Wikjipedia:ニュートリノ アイスキューブ・ニュートリノ観測所

ニュートリノ天体物理学入門―知られざる宇宙の姿を透視する (ブルーバックス)
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世紀の大発見がもたらす未来 超光速ニュートリノとタイムマシン
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徳間書店

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