南鳥島海底に大量のレアアース
 日本の領土は世界第61位、世界の陸地のうちわずか 0.25%しかない。それに対して領海と排他的経済水域を合わせた広さでは、世界6位となり、その海水量を計ると、世界で4位の海水量になるという。これは凄い事だ、これを活用しない手は無い。(日本は世界4位の海洋大国 山田吉彦著)

 ハイテク製品に欠かせず、現在、中国が独占的に供給している、希少な金属「レアアース」が、日本の排他的経済水域にある南鳥島近くの海底に多く存在していることが、東京大学の調査で分かった。日本の経済水域でまとまった量のレアアースが確認されたのは初めてで、埋蔵量は国内の消費量の220年分余りに上るとみられている。

 東京大学の加藤泰浩教授の研究グループは、海底の火山活動で放出される熱水がレアアースを吸着しやすいことに注目し、太平洋の海底で採取された泥の分析を4年前から進めてきた。その結果、日本の排他的経済水域にある南鳥島近くの水深5600メートルの海底の泥に、ハイブリッド車のモーターに使われる「ジスプロシウム」や、液晶テレビに使われる「テルビウム」などのレアアースが高い濃度で含まれていることが分かった。

Rare earth elements

 研究グループによると、こうした泥は少なくとも1000平方キロメートルの範囲に広がっているということで、濃度や面積などから国内の消費量の227年分に当たる680万トンのレアアースが存在すると推計されている。日本の排他的経済水域の海底でまとまった量のレアアースが確認されたのは今回が初めてで、研究グループは今後、国内の企業と共に採掘に向けた取り組みを進めることにしている。

 海底のレアアースを巡っては、去年、太平洋に陸上の埋蔵量の800倍のレアアースが存在する可能性があることが明らかになったが、公海の海底にあるため、採掘には国際調整が必要となっていた。調査に当たった東京大学の加藤教授は、「レアアースが見つかった場所が日本の経済水域だということは、自国の資源として開発できるという意味で非常に重要だ。実際に資源がどのように存在しているか、すぐに調査を行うべきだ」と話している。

 日本のレアアース調達の現状は
 「レアアース」はハイテク産業に欠かせない重要な資源だが、アメリカ地質調査所によると、世界の生産量の97%を中国が占めている。その中国の最大の輸出国は、ハイブリッド車や液晶テレビの製造などで年間3万トンのレアアースを必要としている日本。おととし、中国が、環境保護などを理由に輸出量を前の年より40%減少させたことや、尖閣諸島沖で起きた中国漁船の衝突事件のあと、輸出が滞ったことなどから、日本企業には強い懸念が広がった。

 このため、日本では中国以外のレアアースの調達先を探す動きが進んでいて、去年3月にはオーストラリアで大規模な鉱山の採掘権を獲得したほか、ことし5月にはカザフスタンとも協力を強化することで合意している。

その一方で、アメリカ地質調査所によると、世界の陸上にはおよそ1億1000万トンのまだ採掘されていないレアアースが存在するとみられ、国別の埋蔵量は、中国が48%、カザフスタンなど旧ソ連の諸国が16%、アメリカが11%などとなっている。

 さらに去年7月、東京大学の加藤泰浩教授の研究グループは、太平洋の海底の泥に大量の「レアアース」が存在していることを突き止め、その埋蔵量は陸上の800倍に上るとみられている。レアアースの安定供給には調達先の多角化が課題となっていて、今回発見された南鳥島近くの海底のレアアースは、日本が自国で採掘できる資源として注目される。(NHKnews 2012年6月28日)

 日米欧、中国レアアース輸出規制めぐりWTOにパネル設置要請
 一方、日・米・欧州連合(EU)は6月27日、中国のレアアース(希土類)輸出規制をめぐる問題で、世界貿易機関(WTO)に紛争解決小委員会(パネル)の設置を要請した。

 日米欧は3月、中国のレアアースを含む資源輸出規制をめぐりWTOに正式に仲裁を申請。4月に当事者間による協議が行われたものの、中国の対応は不十分としてパネル設置の要請に踏み切った。

今回の案件には、タングステンやモリブデンのほか、17種類の希土類が含まれている。米欧とメキシコは1月、中国の原材料輸出規制に絡む同様の案件に勝訴している。

 欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は声明で「レアアースなどに関する中国の規制はWTOの協定に違反している。引き続き世界の市場を大きくゆがめ、われわれの企業が不利な立場に立たされている」と指摘。「今年のWTOの非常に明確な判断にも関わらず、中国政府は輸出制限を撤廃する対応をとっていない」と述べた。

EU当局者によると、欧州企業はレアアースの調達先を中国以外に拡大することが不可能に近いため、数十億ユーロ規模の損害を被っている。

中国は17種のレアアースについて世界全体の生産量の約97%を占めており、日米欧は、中国が国内メーカーに供給するレアアース価格を引き下げ、海外企業に対して圧力をかけていると批判。

EUと米国は、海外企業は中国企業に比べ倍の価格でレアアースを調達しなければならず、欧米のメーカーや消費者の利益が損なわれていると指摘している。

 米国のカーク通商代表は「それらの金属は、ハイブリッド車向けバッテリー、風力タービン、エネルギー効率の高い照明、鉄鋼、最先端のエレクトロニクス製品、自動車、石油化学製品など、米国が生産する製品や米国の製造業セクターにとって重要な原材料だ」とした上で、「米国の労働者やメーカーがレアアースなどの原材料に公正かつ平等にアクセスできることが重要だ。中国はWTOに加盟した際、それを約束している」と述べた。

 中国は3月、中国は世界全体のレアアース生産量の90%しか占めていない上、米国など他国は以前に環境汚染への懸念からレアアース製錬施設を閉鎖したとして、そうした訴えは不公正だと反論している。(2012年6月27日 ロイター)

 レアアースとは何か?
 レアアースとは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)やサマリウム(Sm)、ディスプロシウム(Dy)などの希土類元素(rare earth elements)の酸化物や塩化物などの総称である。元素の化学的性質が類似しており分離しにくいため、かつては混合希土(ミッシュメタル)として、鉄合金として使われていた。近年は分離・精製技術が進歩し、蓄電池や磁石の性能向上などに利用されている。地球上の限られた地域に偏在する資源で、国際的に中国の生産シェアが非常に高く、日本も需要の9割を中国からの輸入に依存している。

 希土類元素は、原子の構造上、原子核の周りを回る電子の配置に特殊性があり、他の元素にはない特異な化学的・物理的性質を有する。例えば、ユウロピウムなどの酸化物は長寿命で色温度が可変な蛍光体として、カラーテレビのブラウン管や蛍光灯の3波長蛍光管に使用される。日立製作所の「キドカラー」は、ブラウン管の赤色発光体に「希土」類を使って「輝度」の高い美しい色を実現したカラーテレビという意味でネーミングされた。

 この他、強力な磁石の材料、フラットパネルディスプレーの研磨剤、排ガス浄化触媒、水素吸蔵合金など様々な用途の素材として活用され、今後ますます需要が増加すると考えられている。

 例えば、ハイブリッド車や電気自動車のモーターの磁石に使われているのは、ネオジム(Nd)やサマリウム(Sm)に加え、ディスプロシウム(Dy)といわれる元素が使用され、安価で効率の良いモーターを作るのに役立っている。また、この磁石は、MRIなど医療用機器でも大活躍している。

 光学用途としては、レーザーを作るためのガラスににネオジム(Nd)、エルビウム(Er)、イッテリビウム(Yb)といった元素が使われる。これらの元素が、特殊な波長の光を励起することが出来るので、レーザー用に向いている。

参考HP アイラブサイエンス:日本は世界第4位の海洋大国 Wikipedia:レアース

レアメタル・レアアースがわかる (日経文庫)
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社
レアメタルレアアース―これからの最先端技術に欠かせない (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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