再生エネ買い取り7月スタート 発電事業に企業参入相次ぐ
 太陽光や風力などで発電した電力を電力会社が買い取る再生可能エネルギーの全量買い取り制度が7月1日、スタートした。買い取り価格が高めに設定されたことで、企業の発電事業への参入が相次いでいる。経済産業省が買い取り対象として認定した大規模太陽光発電所(メガソーラー)、風力発電などの発電容量は6月28日時点で計約4万1600キロワットに上り、今年度は原発2基分にあたる250万キロワットにのぼると試算している。

 1キロワット時当たりの買い取り価格と期間は、太陽光が42円で20年間、発電容量20キロワット以上の風力が23.1円で20年間、1万5000キロワット以上の地熱が27.3円で15年間-など。経産省がすでに認定した施設は全国で計44件で、今年度中に再生エネ発電容量は現在の計約1950万キロワットから約2200万キロワットに拡大する見通しだ。

 「太陽光発電の普及に向けた歴史的な転換点になる」。太陽光発電協会の片山幹雄代表理事(シャープ会長)は6月29日の会見で、買い取り制度をこう評価した。同協会では、太陽光発電の累計発電容量は2010年度で350万キロワットだが、2030年度には1億キロワットに拡大、国内電力消費量の10%を賄うと予測する。

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 実際、太陽光発電への参入事業者は相次いでいる。ローソンは6月29日、2014年2月末までに全国の2000店で導入すると発表したほか、ヤマダ電機も来年3月までに約300店の店舗の屋上に設置する方針だ。太陽電池メーカーでも、京セラとシャープはそれぞれ鹿児島県や栃木県などでメガソーラーを自ら建設、発電から売電まで手がける事業に乗り出す。太陽電池価格の価格下落による収益悪化を発電事業で取り戻したい考え。
三井化学は三井物産などと共同で、出力5万キロワットのメガソーラーに加え、6000キロワットの風力発電も建設する。ただ、風力発電は風況などの事前調査が必要なため、太陽光と比べて出足は遅いようだ。

 地熱発電の計画も動き出している。国立・国定公園内での建設を条件付きで認める政府の規制が緩和されたためだ。出光興産や三菱商事などの9社連合が福島県で開発調査の意見交換を開始。北海道でも丸紅や石油資源開発がそれぞれ地元合意を前提に調査を検討している。天候に左右される太陽光や風力に比べ地熱は稼働率が7割と高く、安定電源に期待されるだけに、これまでの海外でのノウハウを国内市場でも生かしたい考え。

 ただ、買い取り費用を電気料金に転嫁する「賦課金」(サーチャージ)は毎年度見直す方針。加えて、再生エネの発電設備が急増し電気料金が大きく上昇すれば、買い取り価格そのものも見直す可能性もあり、発電事業のリスク要因となることもありそうだ。(Sannkei Biz 2012.6.30)

 再生可能エネルギー事業を展開する主な企業
 ソフトバンク     7月1日から京都府と群馬県でメガソーラー稼働
 ローソン       2014年2月末までに全国の店舗2000店で太陽光発電導入
 ヤマダ電機      来年3までに約300店舗に300億円を投資し太陽光発電設置
 森トラスト      福島県のゴルフ場に40億円を投資し1万キロワット規模のメガソーラー建設
 ミサワホーム     自社施工の戸建て住宅や賃貸住宅の屋根を借り太陽光パネルを設置して売電事業を検討
 日本製紙グループ本社 木質チップや廃材などを利用してバイオマス発電
 三井化学       三井物産や東芝など6社と共同で愛知県田原市に出力5キロワットのメガソーラーと6000キロワットの風力発電所を建設
 出光興産       三菱商事、住友商事など8社と共同で福島県に地熱発電所建設を検討

 再生可能エネルギーの固定価格買取制度
 我が国の「再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案」は2011年(平成23年)4月5日に国会に提出され、2011年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した。

 ドイツでは固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6.3%から2007年末には14%(見込み)に倍増させるなど、他の方式より大幅に勝る成果を挙げてみせた。この結果を踏まえ、現在では多くの学術的報告や公的機関がその優位性を認めている。採用数は特に2005年以降に急増し、2009年時点では少なくとも50以上の国々と25以上の州・地域で採用されている。現在では再生可能エネルギーの普及政策として、最も一般的な手法となっている。

 平成23年10月掲載、我が国の政府公報では次のように述べている。

 「日本のエネルギー自給率はわずか4%にすぎません。私たちは暮らしや産業の中で、毎日たくさんのエネルギーを使っています。しかし、日本では、原子力発電を除くと、エネルギー自給率(国内で使われるエネルギーを国内の資源でまかなえる割合)はわずか4%。エネルギーの中心となっている石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っている状況です。今後も安定的にエネルギーを確保していくため、化石燃料に替わるエネルギーの確保が課題となっています。

 再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出せず地球環境にやさしい、優れたエネルギーです。再生可能エネルギーの普及・拡大を目的に、平成24年7月から“再生可能エネルギーの固定価格買取制度”がスタートします。買取制度により、電気事業者は、一定の期間・価格で、再生可能エネルギーでつくられた電力の買取が義務づけられます。買取に要した費用は「賦課金」として消費者が負担し、電気代の一部として支払います。

 エネルギー資源が少ない日本で、今、新たなエネルギーとして注目されているのが、太陽光や風力、バイオマスなど自然の力を利用した再生可能エネルギーです。CO2をほとんど排出しないという環境面のメリットもあります。この再生可能エネルギーの普及・拡大を目的として、平成24年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートします。この制度は、再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもので、この買取りに要した費用は、消費者の皆さんに「電気代の一部」という形でご負担をお願いすることになります。社会全体で再生可能エネルギーを普及・拡大させていくために、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」

 消費者が負担する賦課金の単価は、全国一律
 「電気事業者が買い取る価格・期間については、再生可能エネルギー源の種類や設置形態、規模などに応じて、中立的な第三者委員会(調達価格等算定委員会)が公開の場で審議を行い、その意見を受けて、経済産業大臣が告示することになっています。買取価格、買取期間は、原則として毎年見直した上で、告示されます。法の施行後3年間は、集中的な再生可能エネルギーの利用の拡大を図るため、再生可能エネルギーの供給者の利潤に特に配慮することとしています。

  電気事業者が買い取った実績に基づき、費用負担調整機関において、消費者が負担する金額(賦課金の単価)が全国一律になるよう、調整を行います。電気の使用者は、賦課金単価に電気の使用量を乗じた金額を、電気料金の一部という形で負担することになります。なお、過重なものとならないよう配慮されます。

 きわめて大量のエネルギーを消費する事業者には、賦課金の8割またはそれ以上を減免する制度が設けられます。また、東日本大震災で著しい被害を受けた被災者の方は、平成24年7月1日から平成25年3月31日まで賦課金が免除されます。

 先行して導入された、太陽光発電の余剰電力買取制度では、制度開始から今までで、住宅用太陽光発電の価格は1キロワットあたり5万円程度価格が下がり(4キロワットの太陽光を設置した場合、20万円価格が低下したことになります。)、また導入量は4倍に伸びているなど、一定の成果を上げています。

 従来の制度を一歩すすめる、再生可能エネルギーの固定価格買取制度。これによって、再生可能エネルギーがますます普及していくことが期待されています。

 日本国内のエネルギー自給率を高め、地球環境にもやさしい再生可能エネルギー。この再生可能エネルギーの普及・拡大は日本全体にとってとても大切なことですので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」(平成23年10月掲載 政府公報オンライン)

参考HP アイラブサイエンス:平成24年7月1日スタート!再生エネルギー固定買取価格決定! 政府公報オンライン:平成24年7月1日スタート!再生可能エネルギー固定買い取り制度

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