絶滅危惧2万種、レッドリスト2012
 6月19日、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」2012年版が発表された。自然界の絶滅リスクは、今年もさらに高まったようだ。レッドリストは、種の絶滅の危険度を「情報不足(DD)」~「絶滅(EX)」の8段階で評価。IUCNによると、「世界の生物多様性の実態を表す非常に重要な指標」という。

 2010年にコロンビアのアマゾン熱帯雨林でティティ属のサル(Callicebus caquetensis)が発見された。アゴひげが特徴的なこの新種は2012年に初めて調査の対象となり、絶滅危惧IA類(絶滅寸前)に分類された。生息する森林の喪失、分断により、種の消滅に瀕する非常に危険な状態だ。IUCNによると、同じ生活の場を奪い合うコロンビア東部の地元住民が、食用に捕獲することもあるという。

 今回のレッドリスト更新では計6万3837種が評価され、1万9817種に絶滅のおそれが判明。両生類の41%、哺乳類の25%が危機的な状況である。2012年版レッドリストは、ブラジルのリオデジャネイロで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の前日に発表された。

Callicebus caquetensis

 「動植物とその生息地、遺伝子などの生物多様性を保護しなければ、持続可能な発展などあり得ない。自然の恵みで生きる70億の全人類のためにも重要だ」と、IUCNの事務総長ジュリア・マートン・ルフェーブル(Julia Marton-Lefevre)氏は話す。 「このレッドリストがリオに集う世界中の指導者に対するメッセージとなり、地球上のあらゆる生命を守る取り組みが進んでほしい」。(National Geographic News 2012年6月28日)

 アマゾンの新種サル「ティティ」
 2010年8月12日、コロンビアのアマゾン熱帯雨林で新種のサルが発見されたと環境保護団体が発表した。“もじゃもじゃ”の赤いアゴひげがなんとも愛らしい。

 ティティ属の一種(学名:Callicebus caquetensis)で、1960年代に初めて科学者の目に触れた。その後はコロンビア南部カケタ県で繰り広げられた長年の政治闘争が調査を阻んでいたが、2008年にようやく実現し新種のサルと確認された。

 「ネコほどの大きさで、サルとしては珍しい一夫一婦制が興味深い」と、調査責任者で首都ボゴタにあるコロンビア国立大学の霊長類学者トーマス・デフラー(Thomas Defler)氏は話す。オスとメスのつがいが尾をからませて寄り添う姿が樹上で頻繁に目撃されるという。

 カケタのティティ属のつがいは年間1頭のペースで出産し、授乳を除く育児のほとんどは父親が担当する。オスがこれほど育児に積極的な理由は不明だが、進化上有利に働くのかもしれない。

 今回の調査は、コンサベーション・インターナショナル(CI)の霊長類アクション基金(Primate Action Fund)とコンサベーション・インターナショナル・コロンビアの支援を受けて実施された。8月12日公開の「Primate Conservation」誌第25号オンライン版に詳細が掲載されている。

 クロアリドリ、レッドリスト2012
 アマゾン地域でオナガクロアリドリの鳴き声が絶える日が近づいている。6月19日に発表された国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」2012年版で保護の優先度が3段階高まり、準絶滅危惧(NT)から絶滅危惧IA類(絶滅寸前)となった。

 ブラジル北部とガイアナ西部の河川沿いの生息地は、開発の進行で20年以内に消滅する危険があるという。「住んでいるのは世界でここだけだ。現地で早急に保護するしかない」とIUCNは報告している。(National Geographic News June 28, 2012) 

 幻のカエル、レッドリスト2012
 イスラエル北部のフラ峡谷に生息するパレスチナイロワケガエル。非常に希少で、1955年以降は失われた種と考えられていたが、2011年、絶滅両生類10種を世界規模で探索するプロジェクトが再発見した。国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」2012年版では、絶滅危惧IA類(絶滅寸前)に分類された。

 個体数激減の原因は、マラリアを媒介する蚊の駆除が目的で行われた湿地帯の排水と考えられている。1964年、フラ峡谷南西部の3.5平方キロがイスラエル初の自然保護区となったが、組み込まれたのは生息地のわずか5%に留まっている。

 IUCNによると同保護区には、このカエルをエサにすると疑われる鳥類も生息しているという。現在フラ峡谷内では、他の場所にも生き残っていないかどうか調査が進められている。(National Geographic News June 28, 2012)

 キガオミツスイ、レッドリスト2012
 オーストラリア、シドニーのタロンガ動物園で飼育されるキガオミツスイ。消滅の瀬戸際にあり、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」2012年版では、絶滅危惧IB類(絶滅危機)からIA類(絶滅寸前)へと保護の優先度が高まった。

 オーストラリア南東部にだけ生息し、IUCNによれば過去数十年間で個体数が急減している。干ばつや農地の拡大で森林が分断され、花の蜜をめぐる他のミツスイ種との競争が激化したためという。(National Geographic News June 28, 2012)

 カマドドリ、レッドリスト2012
 ブラジルとガイアナの狭い地域に生息する、カマドドリ科のチャミミカマドドリ。すでに国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」2008年版で、絶滅危惧II類(危急)からIB類(絶滅危機)へと保護の優先度がランクアップ。2012年版ではIA類(絶滅寸前)まで進み、極めて危険な状態である。

 チャミミカマドドリが住む森は、牛の放牧地や大豆農園の開発により減少。アマゾン流域の森林破壊予測モデルによれば、2023年までに生息地の80%が失われるという。(National Geographic News June 28, 2012)

 持続可能な開発に関する世界首脳会議
 持続可能な開発に関する世界首脳会議(World Summit on Sustainable Development:"WSSD")は、2002年8月26日から9月4日まで(首脳による会議は9月2日から9月4日まで)南アフリカ共和国のヨハネスブルグで国際連合により開催された、地球環境問題に関する国際会議のことである。ヨハネスブルグ・サミット、地球サミット(特に「地球サミット2002」「第2回地球サミット」「ヨハネスブルグ地球サミット」など)、環境開発サミット、持続可能な開発に関する世界サミット、リオ+10などとも呼称する。

 1992年にブラジル連邦共和国のリオデジャネイロ市において環境と開発に関する国際連合会議が開かれ、持続可能な開発を旨とする「アジェンダ21」が採択された。持続可能な開発に関する世界首脳会議は、それから約10年後に開かれた会議であり、地球環境問題に対する取り組みを評価する意味もあった。すなわち、「アジェンダ21」の実施状況を点検し、今後の取り組みを強化することが、この会議の大きな目的であった。

 持続可能な開発に関する世界首脳会議には、1992年の環境と開発に関する国際連合会議と同様に、ほぼすべての国際連合の加盟国や多くの非政府組織 (NGO) が参加し、最終的には「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」などが採択された。 そのほかにも、各国や多様な関係主体によって、数多くの文書が作成された。

 この会議をめぐっては、先進国と開発途上国との格差をめぐる南北問題の深刻化を受けて、問題に対する真剣な取り組みが感じられないという批判もあり、国際社会における地球環境問題の扱いに深刻な課題が生まれてきていることを指摘する声もある。(Wikipedia)

 国連持続可能な開発会議(リオ+20)
 10年ぶりに開催された、地球環境保全のための国際会議。今年は6月20日から22日までリオデジャネイロ(ブラジル)で開催され,国連加盟188か国及び3オブザーバー(EU,パレスチナ,バチカン)から97名の首脳及び多数の閣僚級(政府代表としての閣僚は78名)が参加したほか,各国政府関係者,国会議員,地方自治体,国際機関,企業及び市民社会から約3万人が参加した。

 我が国からは玄葉外務大臣及び長浜内閣官房副長官を始め,関係省庁(外務省,環境省のほか,内閣官房,総務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省)及び政府顧問(市民社会の代表)からなる政府代表団130名が参加した。

 我が国政府代表として参加した玄葉大臣は,政府代表演説(20日)に加えて全体会議の議長代行も務めた(21日午前)ほか,20日のジャパンイブニング,21日の日本政府公式サイドイベント等に出席した。また,主催国であるブラジルのパトリオッタ外相及びヌコアナ=マシャバネ南ア外相との二国間会談を行った。長浜官房副長官は,21日のハイレベル・ラウンドテーブル,日本政府公式サイドイベント等に出席したほか,22日には政府顧問との意見交換を行った。

 会議初日の20日,玄葉外務大臣は政府代表として演説を行った。その中で,未曾有の大震災を経験した我が国にとって「持続可能な社会とは何か」という問題に世界ととともに答えを見いだしたいということ,全てのステークホルダーが共通の利益のために力を合わせる必要があることを訴えた。

 また,「人間の安全保障」の考え方に立ち,「緑の未来」イニシアティブを実行していくことを明らかにした。その中で,環境未来都市の世界への普及,世界のグリーン経済への移行,強靭な社会づくりの3本柱を中心とする貢献策(概要(PDF))を発表した。具体的には,(ア)世界各国の国づくりに役立てるため,長年,省エネやリサイクルに取り組んできた我が国の経験を活かした「環境未来都市」の成功事例を発信していくこと,(イ)我が国の優れた再生可能エネルギー技術を活用して各国のグリーン経済への移行を支援していくため,今後3年で1万人規模の緑の協力隊を編成して途上国の人づくりに協力するとともに今後3年で30億ドルの支援を行うこと,(ウ)世界中で防災に対する関心を高め,強靱な社会をつくるため,本年7月に「世界防災閣僚会議in東北」を開催するとともに,今後3年で30億ドルの支援を行うこと等を表明した。

 事前の事務レベルの交渉により,成果文書「我々の求める未来」(全283 パラグラフ, 49ページ)は19日昼に実質合意され,首脳及び閣僚級による3日間の議論を経て22日夜に採択された。 同文書は,(ア)グリーン経済は持続可能な開発を達成する上で重要なツールであり,それを追求する国による共通の取組として認識すること,(イ)持続可能な開発に関するハイレベル・フォーラムの創設等,(ウ)都市,防災を始めとする26の分野別取組についての合意,(エ)持続可能な開発目標(SDGs)について政府間交渉のプロセスの立ち上げ,(オ)持続可能な開発ファイナンシング戦略に関する報告書を2014年までに作成することなどを主な内容とする。(外務省 平成24年6月24日)

参考HP National Geographic news:絶滅危惧種2万種レッドリスト2012 外務省:国連持続可能な国際会議(リオ+20) Wikipedia:持続可能な開発に関する世界首脳会議

これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景
クリエーター情報なし
みすず書房
はて・なぜ・どうしてクイズレッドリストの生きものたち (環境問題チャレンジブック)
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合同出版

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