恐竜絶滅の決定打はインドの隕石?
 先日グリーンランドで、地球最古のクレーター跡が発見されたが、巨大隕石の衝突により地球環境は激変し、生物の大量絶滅を引き起こしたことはよく知られている。6500万年前の恐竜絶滅もメキシコのユカタン半島に落下した1つの隕石が原因と考えられている。 

 2009年11月、恐竜の絶滅の原因は、数十万年の間隔でメキシコとインド付近に落下した2個の巨大な隕石のダブルパンチだった可能性があることが最新の研究で指摘された。
 
 恐竜の絶滅の原因を説明する学説として過去数十年間で最もよく知られているのが、6500万年前に落下した1個の隕石に着目したものである。直径10キロの隕石がメキシコのユカタン半島沿岸に落下して現在のチクシュルーブ・クレーターを作り、これが世界規模の気候変動を引き起こして恐竜の大量絶滅に繋がったとする説だ。
 
 しかし、恐竜に実際にとどめを刺したのは直径40キロに及ぶ別の隕石だったと主張する説が議論を呼んでいる。この最新の説によると、隕石はチクシュルーブの隕石の約30万年後にインド西岸沖に衝突したという。「恐竜たちは本当に運が悪かった」と、研究の共著者でテキサス州ラボックにあるテキサス工科大学の古生物学者シャンカール・チャタジー氏は語る。

Shiva crater

 地球上最大のクレーター「シバ・クレーター」 
 この2個目の隕石の衝突によってインド洋の海底に直径500キロの窪みができたとチャタジー氏は考えており、同氏の研究チームは1996年からこの窪みの調査を行ってきた。研究チームはこの窪みを、ヒンズー教の破壊と再生の神の名にちなんでシバ・クレーターと名付けた。「私たちの考えが正しければ、これは地球上で確認された最大のクレーターだ」とチャタジー氏は語る。

 シバ隕石の衝突の衝撃はあまりに強力だったため、衝突した場所の地殻が蒸発し、それによってさらに高温のマントルが噴き上がり、このクレーターの高く盛り上がったのこぎり状の縁が形成されたとチャタジー氏は推定している。

 さらに、衝突の衝撃によってインド亜大陸の一部が欠けてアフリカの方向に移動を始め、現在のセーシェル諸島が形成されたと研究チームは考えている。

 また、現在のインド西部で当時既に発生していた火山の噴火活動もシバの隕石の衝撃によって促進された可能性があるとチャタジー氏は話している。これまでにも、現在デカントラップと呼ばれるインドの火山地帯から放出された有毒ガスが、恐竜絶滅の決定的要因となったと推測する説があった。

「火山活動を実際に引き起こしたのも隕石の衝撃だったと考えたくなるのは無理もないが、それは違うと思われる。なぜなら火山活動は既に発生していたようだし、シバ隕石の衝撃はそれに拍車をかけただけだろう」とチャタジー氏は話す。

 この研究は2009年10月18日、オレゴン州ポートランドで開催中のアメリカ地質学会年次総会で発表された。(Ker Than for National Geographic News October 19, 2009)

 小惑星の衝突か、火山活動か
 多くの科学者たちは、小惑星か彗星の衝突、あるいは火山活動の暴発という2つの仮説のいずれかで白亜紀の絶滅を説明できると考えている。どちらの場合も、粉じんが空を覆って太陽エネルギーが地表に届かなくなったという筋書きだ。結果、植物の光合成が不可能になり、食物連鎖が全体的に崩壊したというのである。粉じんが地表に定着すると、今度は大気中に留まった温室効果ガスで気温が急上昇したと考えられる。長く続いた暗闇を生き延びた生物も、多くはその急激な気候の変化に対応できなかったのではないだろうか。

 隕石衝突説は、大量絶滅が起きた時期に形成された岩石層から高濃度の金属イリジウムが検出されたことが発想の原点になっている。この岩石層は、陸、海、問わず世界中に分布している。イリジウムは地球では希少な元素であるが、隕石にはこの岩石層と同じ濃度で含有されている。科学者たちはこの事実から、隕石か小惑星が地球に衝突して蒸発した際にイリジウムが世界中にまき散らされたと主張している。メキシコのユカタン半島で発見された直径180キロのチクシュルーブ・クレーターは、6500万年前に作られたと推定された。このときの衝撃で巻き上げられた粉じんが恐竜の絶滅を引き起こしたとの説が、多くの科学者の間で有力視されている。

 しかし、イリジウムはマグマの源泉である地球の中心核にも豊富に存在している。インドでは過去にマグマが洪水のように噴き出したことがあり、それが260万平方キロにわたって厚さ2.4キロ以上の岩石層を形成した。この大規模な火山活動も約6500万年前に起きたと推定されているが、その際には日光を遮断する“ちり”や“すす”、あるいは温室効果ガスと一緒にイリジウムも世界中にまき散らされたと考えられている。

 2つの仮説は両方とも一定の説得力を持っており、一部の科学者たちは両方が複合的に重なり合って大量絶滅が起きた可能性もあるとしている。あるいは、比較的緩やかな気候や海面水位の変動が本当の原因なのではないかと考える科学者たちもいる。真の原因が何であるにしろ、大量絶滅が起きたことで暴君ティラノサウルス・レックス(T・レックス)による支配が終わりを告げ、哺乳類の時代が幕を開けることになった。この後、哺乳類は急速に種類を増やし、恐竜の絶滅で空いた穴を埋めるようになる。(National Geographic)

参考HP National Geographic news:恐竜の絶滅 恐竜絶滅の決定打はインドの隕石?

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NHKエンタープライズ

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