経験したことのない大雨
 あまりの甚大な被害を前に自然の脅威と恐ろしさを感じずにはおれない。九州北部7月12日に発生した記録的豪雨のことだ。各地で土砂崩れや河川の氾濫、床上浸水などが相次ぎ、死者20人、行方不明者は7人に上った。13日も激しい雨が降り続き、各地で避難指示が出されるなど、多くの住民が不安な夜を過ごした。

 今回の豪雨では初めて「記録的な大雨に関する全般気象情報」が出され「これまでに経験したことのないような大雨になっています。この地域の方は厳重に警戒してください」と呼び掛けた。この情報でどれだけの住民が警戒を強めて対策を講じられたか。今後の調査を待ちたい。

 こうした情報提供は気象庁の予報官が重大な災害が予測される場合に一層の警戒を呼び掛け、住民に危機感を伝えるため今年6月に始めた気象情報の改善の一つだ。

 死者73人を出した昨年の台風12号による大規模な被害を受け、従来の長文ではなく短文で「○○豪雨に匹敵する大雨」「3日間の雨量がこの地域での1年分の雨量」など分かりやすく伝え、さらに、これまで自治体の役割だとして気象庁が踏み込まなかった「避難を心掛けてください」との呼び掛けも実施することになった。こうした改善で災害による被害が少なくなることを期待したい。

Cloud cluster

 ただ今回、気象庁は厳重警戒を呼び掛けたが、避難留意の文言は入れなかった。これだけの死者と行方不明者が出ていることを考えると、果たしてこの判断が適切だったのだろうかという疑問が残る。気象庁は検証が必要だろう。(琉球新報 2012.7.14)

 そもそも降水量の多い少ないとは?
 今回の気象庁が出した「経験したことない大雨」という表記に、「何だこりゃ」と思った人も多いのではないのではないだろうか?

 そもそも大雨というのは、どのくらいの量のことをいうのだろう?まず降水量だが、大気から地表に落ちた水(氷を含む)の量。雨や雪を気象台の雨量計や、アメダスなどで観測し、計測する。通常、水に換算した体積を単位面積で除した値を mm で表す。

 降水量は 0.5 mm 単位で計測され、10分間降水量、1時間降水量、日降水量などとして発表される。降水量が1時間 1 mm となる水の量とは、1 m² の面積に 1 mm 、つまり 100 cm × 100 cm × 0.1 cm = 1000 cm³ = 1 L なので、直立した人の上 ( 50 cm × 50 cm ) に 30分で 125 mL の水が降る量である。個人感覚、風の影響にもよるが、降水量1時間 1 mm 未満の雨であれば短い距離を傘なしで歩くことができる。1 mm を超えると一般に傘などの雨具が必要である。

 一時間 3 mm 以上で、舗装されていない道に水溜りが発生する強めの雨といえる。 地域によって異なるものの、1時間 20~40 mmで「大雨注意報」、40~60 mm で「大雨警報」が出される目安といえる。(Wikipedia)

 九州の記録的な雨量
 2012年7月14日読売新聞によると、活発化した梅雨前線の影響で、九州・山口地方では14日午前も局地的に激しい雨が降り、大分県の日田市と中津市、福岡県の筑後川流域などで被害が出た。大分県知事は災害対策基本法に基づき、陸上自衛隊の派遣要請を行った。午後1時前の時点で、両県を中心に40万人以上に避難指示・勧告が出ている。

 今回の大雨、熊本県など各地で記録的な雨量を観測している。1時間に降った雨の量は、熊本県阿蘇市乙姫で12日午前5時53分までに108ミリ、阿蘇山で午前6時39分までに94.5ミリ、高知県田野町で午前9時5分までに80.5ミリの猛烈な雨を観測し、いずれも統計を始めてから最も多くなった。

 さらに、24時間に降った雨の量としては、12日午後1時までに熊本県阿蘇市乙姫で507.5ミリと、20年余り前に水害が起きた平成2年7月に観測した425ミリを上回り、統計を始めてから最も多くなった。(NHK 2012.7.12)まさに、これが「経験のない大雨」と言えそうだ。

 これまでの記録としては、10分間降水量の記録 1位は、50.0mm 新潟県 阿賀町 室谷(アメダス:2011年7月26日)、1時間降水量の記録 1位は、153mm 千葉県 香取市 (アメダス:1999年10月27日)、長崎県 長崎市 長浦岳 (アメダス;1982年7月23日)、日降水量の記録 1位 851.5mm 高知県 安芸郡 魚梁瀬 (アメダス:2011年7月19日)などがある。(Wikipedia)

 原因は「湿舌」「クラウドクラスター」
 熊本や大分で12日に降った猛烈な雨について、福岡管区気象台は、熊本の西海上の「湿舌」と、積乱雲の集まり「クラウドクラスター」が原因だと述べている。

 気象台によると、梅雨の終盤は前線が対馬海峡付近に停滞し、その南西側で、西に張り出した太平洋高気圧に沿って暖かく湿った空気が流れ込む。この現象は「湿舌(しつぜつ)」と呼ばれる。今回の大雨は、この湿った空気が熊本の西海上で北からの寒気とぶつかり積乱雲のかたまりを次々に形成。11日夜以降、上空3000メートル付近の偏西風に乗ってこの雲が東へ移動し、12日未明から熊本付近にかかった。

 一方、九州北部の山地では、南西からの空気が斜面にぶつかって上昇、積乱雲となり大気は不安定になっていた。この二つの現象が重なり、気象台も「予想が難しい」という局地的大雨となった。熊本県阿蘇市の阿蘇乙姫では、12日午前0時からの半日で雨量は492ミリに達した。

 気象庁は6月27日から、重大な災害が迫ると考えられる雨の場合、「経験したことのないような大雨」「東海豪雨の時に匹敵する大雨」など危機感を簡潔に伝える表現を取り入れている。今回初めて使われた。(毎日新聞 2012年07月13日)

 積乱雲(Cb: Cumulonimbus)は、それらが集合して巨大な塊を形成することがある。この塊を「クラウドクラスター」(Cloud cluster)あるいは「Cbクラスター」(Cb cluster)と呼ぶ。  クラウドクラスターは様々なサイズや発達段階の対流雲で構成されており、水平スケールは数百キロメートルにも達する。  日本付近で発生する大型のクラウドクラスターの多くは梅雨期の東シナ海で発生・発達し、時として日本に大雨をもたらすことがある。

参考HP Wikipedia:降水量 気象衛星センター:クラウド・クラスター

都市型集中豪雨はなぜ起こる? ?台風でも前線でもない大雨の正体? (知りたい!サイエンス)
クリエーター情報なし
技術評論社
都市化と災害―とある集中豪雨災害の社会学的モノグラフ
クリエーター情報なし
大学教育出版

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please