神舟9号と天宮1号
 中国の宇宙開発がすごい。有人宇宙船「神舟9号」は6月18日、地上から約343キロ上空の軌道上で無人宇宙実験室「天宮1号」と自動操縦でドッキングし、乗組員の実験室への移動に初めて成功した。2020年をメドに計画されている長期滞在可能な有人宇宙ステーション建設に向け、中国がまた一歩前進した。

 6月16日に打ち上げられた神舟9号は予定の軌道に入った後、5回の軌道調整を繰り返し、天宮1号に接近した。予定より3時間遅れの6月18日午後2時(日本時間同3時)すぎにドッキングを開始。作業はわずか8分で完了した。天宮1号に移動した乗組員はまず6日間、科学実験などを実施した。その後24日にいったん切り離し、初の手動操縦によるドッキング実験も成功させた。

 技術移転を懸念する米議会の反対により日米欧が進める国際宇宙ステーション(ISS)計画から除外されている中国は、軍主導で独自の宇宙開発を進めてきた。有人宇宙船のドッキング実験は初とはいえ、自動操縦によるドッキング技術は昨年11月に打ち上げた無人宇宙船「神舟8号」で実証済み。中国中央テレビによる生中継で示された“自信”は、国際社会の脅威論を増幅しかねない。(産経news 2012.6.18)


Shenzhou 9

 中国初の女性飛行士
 さらに今回、中国初の宇宙飛行士が誕生している。中国の有人宇宙船「神舟9号」は6月29日午前10時(日本時間同11時)すぎ、13日間の飛行を終えて、内モンゴル自治区中部に帰還した。

 中国初の女性飛行士、劉洋氏を含む3人の飛行士は飛行中、無人宇宙実験室「天宮1号」に乗り移り、今後の長期滞在につながる医学的調査などを行った。中国メディアによると、帰還した飛行士には最初の食事として、かゆや漬物、羊肉の煮物、電解質飲料が用意されたという。

 宇宙船から姿を現した劉洋氏は「天空1号は宇宙のわが家だった。とても暖かく、快適だった。祖国の誇りと感じている」と話した。北京の航天飛行コントロールセンターで着陸を見守った温家宝首相は「中国国民が世界の科学技術のトップレベルにのぼる道のりで、新たな輝きを作った」などとたたえた。

 中国初の有人ドッキング実験などを成功させた今回の飛行で、2020年前後の宇宙ステーション建設に向けた、中国の宇宙開発が勢いづきそうだ。中国中央テレビは16日の打ち上げ以降、逐次、神舟9号のミッションを生中継し、中国の科学技術の発展を国内外にアピール。今秋の共産党大会を控え、求心力を高めたい胡錦濤指導部の意向がうかがえる。(産経news 2012.6.29)

 孤立化する中国政府
 ただ、今回の成功に対し、中国国内のWebサイトでは、祝福よりも現政府への不満を訴える投稿が多かったようだ。国民からすると宇宙どころではないということか。

 科学技術も大切だが、軍事費の多くを宇宙開発に費やす政府の姿勢は、国民生活とのバランスを欠いてるだけでなく、国際的にも協調性を欠いている。もっと、日本や周辺諸国に呼びかけ、共同開発を目指したらどうだろうか。

 中国の有人宇宙船「神舟9号」の打ち上げを記念し、3億人以上が利用する短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上で「神舟9号に手紙を送ろう」との呼び掛けがあったが、本来の狙いとは違って経済格差などへの不満を訴える投稿が殺到した。
 社会矛盾が深刻化する中で巨額を投じて宇宙開発を進めることへの不信感が背景にある。最高指導部が交代する秋の共産党大会に向け、胡錦濤指導部には、宇宙開発をアピールして国威発揚を図る狙いがあるが、冷や水を浴びせられた形だ。(共同 2012.6.23)

 中国の宇宙開発
 しかし、着々と成果を上げている中国の宇宙開発。この背景には何があるのだろうか?

 神舟は中華人民共和国が打ち上げた有人宇宙船。神舟5号によって同国初の有人軌道飛行に成功。有人宇宙飛行に自力で成功したのは世界でもソビエト連邦、アメリカ合衆国に次ぐ3番目で、42年ぶりとなった。

 ロシアのソユーズ宇宙船を基本としている為、構造は非常に似ている。3つのモジュールから構成され、小型の太陽電池パドルを備えた軌道モジュール、半楕円状の帰還モジュール、大きな太陽電池パドルを持った推進モジュールがある。

 地球に帰還するのは真ん中の帰還モジュールのみで、推進モジュールは使い捨てだが、中国固有の設計思想で作られた軌道モジュールは捨てずに周回衛星とすることができるほか、次回の有人打ち上げの際に宇宙空間で回収、ドッキングできるように設計されている。

 これにより、軌道モジュールを使用した長期の無人宇宙実験ができ、また将来の宇宙ステーション建設の際の技術習得につなげられると考えられる。

 帰還の方式もソユーズ宇宙船とほとんど同じである。逆噴射を行った後、帰還モジュールを分離して再突入する。突入時のGは4-5G、高度10kmでパイロットシュートを展開し、続いてドローグシュートを展開した後、高度8kmで主パラシュート1枚を展開(非常時は予備シュートを展開するが、これもソユーズ宇宙船と全く同様)、高度6,000mで280kgのヒートシールドを投棄、投棄20秒後に座席のシート高を上げて着地時の衝撃に備える。高度1mで4基の固体ロケットを噴射して衝撃を緩和させる。

 ロシアのソユーズ方式
 中国は米ソの宇宙開発時代初期にソ連の援助で独自の宇宙開発計画を推進しようとしたが、1960年代に両国の関係が悪化したため(中ソ対立)、ソ連からの技術供与が中断した。このため同国は自力でロケットなどの開発を進めた結果、1970年4月24日、ソ連(現ロシア)・アメリカ・フランス・日本に次いで世界で5番目に長征1号ロケットで人工衛星「東方紅1号」の打ち上げに成功した。また、1975年11月26日には帰還式人工衛星の大気圏再突入に成功している。

 1986年から宇宙計画の大綱といえる「863計画」の中では有人宇宙飛行に初めて触れ、宇宙船の検討を行ってきた。アメリカ航空宇宙局 (NASA) が未来の宇宙機関として宣伝してきたスペースシャトルの様に、有翼式の再使用型宇宙往還機を推す声がほとんどであった中、技術者たちは使い捨てのソユーズ方式を選んだ。スペースシャトルのような宇宙往還機は非常に複雑な技術であり、基礎技術の弱い中国では不可能だとして、堅実な方法を選んだのである。

 1992年4月に「神舟」計画(プロジェクト921)を発表する。この命名は、江沢民国家主席(当時)によるものであるといわれる。 1993年6月には、宇宙事業制作を統括する中国国家航天局(中国航天)、ロケット・人工衛星の国営企業、中国航空航天総公司を設立して高性能ロケットの開発に集中。 1995年3月にロシア連邦と有人衛星技術供与協定を成立させ、ソ連の崩壊後、外貨獲得のためにロシアが提供してきたソユーズ宇宙船の技術を研究し、独自の宇宙船の開発を行ってきた。

 また、モスクワでの宇宙飛行士の訓練を受けて打ち上げを目指してきた。 2011年11月のThe voice of Russiaの報道によれば、ロシア機械技術研究大学の技術輸出部の部長と3人の職員がロシアの秘密技術を中国に違法に売った罪で2005年に5-20年の禁固刑を宣告されたということであり、ソユーズ宇宙船の技術が中国で使われている理由の一端が伺える。

 1998年5月2日に改良型ロケット試験機「長征2号丙」の打ち上げに成功(長征2Fとなる)。 中国はアメリカ・ロシア中心の国際宇宙ステーション (ISS) への参加を認められていないため、将来的には自前の宇宙ステーションの建造を目指している。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia:中国の宇宙開発

有人衛星シリーズ 中国航天員飛行記録 -宇宙飛行士飛行ルポ-
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オーム社
中国神舟―神舟一号から神舟六号まで
クリエーター情報なし
オーム社

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