巨大氷山の分離
 デンマーク領グリーンランドで氷河から崩落・分離してできた巨大氷山の映像を、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星テラ(Terra)搭載の高性能光学センサー「アスター(ASTER、Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer)」が21日に撮影した。この画像では右側が北の方角になっている。

 氷山は16日、グリーンランド北西部のペテアマン氷河(Petermann Glacier)の先端から分かれ、フィヨルドを漂流し始めたことが確認された。この画像で氷山の面積は約32.3キロ平方メートルであることが分かった。(2012.7.19 AFP)

 アメリカ国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、分離の原因は表面の融解ではなく、激しい海流の可能性が高いという。しかし、他の多くの氷河と同様、ペテアマン氷河も近年の気温上昇により縮小が進んでいる。

 グリーンランドの氷床が異常融解
 7月の数日間でグリーンランドの巨大な氷床の融解が異常に進み、ほぼ全域がぬかるみに変わってしまったことが、NASAの衛星画像からわかった。30年前に人工衛星で記録を取り始めて以来、最も速く解氷が進んでいるという。

 地球温暖化と結びつけたくなるところだが、150年に1度は起きてもおかしくないことだとする科学者もいる。また、このような氷解が普通になれば、現在の海面上昇がさらに進む可能性があるとの指摘もある。

 解氷の大部分は4日間のうちに起こった。人工衛星で撮影されたマップは、7月8日の段階で氷床の40%が解けていたことを示している。その数字が、12日までに97%に跳ね上がった。

 この解氷の規模とスピードに驚いた科学者の一人が、カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所のソン・ヌギエム(Son Nghiem)氏だ。同氏は声明で、「あまりに異常なことだったので、本当なのか、データの間違いによるものなのか、最初は結果を疑った」と述べている。

 解氷は、グリーンランドで最も標高が高く(海抜約3200メートル)気温が低い場所にあるサミット観測所にも及んだ。

 自然なサイクルの一部か
 メリーランドにあるNASAのゴダード宇宙飛行センターの氷河学者ローラ・ケーニグ(Lora Koenig)氏は、人工衛星による観測が始まる以前にはこのようなことがあったことがわかっていると指摘する。

 NASAの衛星データ解析チームのメンバーであるケーニグ氏は声明で、「サミット観測所の氷床コアから、今回のような融解が平均して150年に1回の頻度で起きており」、前回は1889年であったことがわかると述べている。

 そのため、地球温暖化が今回の急激な解氷の要因だったのかは微妙だ。何十年も前の氷床コアを証拠に、「今それを目撃するのは想定外のことではないと主張することは可能だ」と、ジョージア大学の気象学者で、研究チームに参加しているトーマス・モート(Thomas Mote)氏は話す。

 今回の氷床融解と時を同じくして、グリーンランド上空に高気圧の峰が形成され、中部大西洋から暖かい大気が流れ込んでいたことが、原因の特定をいっそう難しくている。

 異常な氷床融解が続けば海面上昇に影響も
 今回の研究に参加していないドイツ、ポツダム気候影響研究所の氷河学者アレキサンダー・ロビンソン(Alexander Robinson)氏は、氷解の規模とスピードは「衝撃的だ」と話す。「こうした天候パターンが、地球温暖化によって引き起こされたのかを調べる研究が喚起されると思う」。

 これまでのところ、大規模氷解の影響で何かが引き起こされたということは難しいようだ。例えばこの7月、グリーンランドで一部の河川が氾濫したが、これを「今回の事象と結びつけることはできない」とモウト氏は話す。

 しかし、気候変動によって今回のような大規模な融解の頻度が増えれば、海面上昇に拍車がかかる可能性があるとの指摘もある。

 氷解の拡大により、氷床の外側で雪が固まったいわゆる万年雪が、解けた水を再び氷床に取り込むことが難しくなるのだ。ロビンソン氏はこう説明する。「表面の一部が解けたときに厚い万年雪があれば、そこで再び氷結して氷床に戻ることができる。しかし、氷床の融解と氷結が繰り返されると、長期的には万年雪が薄くなり、再氷結して氷床になる体積は小さくなってしまう」。(Ker Than for National Geographic News July 27, 2012)

参考HP National Geographic news:グリーンランド巨大な氷塊が分離 グリーンランドの氷床が以異常融解

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