体温を上げると免疫力がアップする
 よく、「体温を上げて免疫力をあげよう」…というが、これはどうしてだろう?また、どうやって体温を上げればよいのか?

 「体温を上げるとよい」その理由は、病気やストレスなどで傷ついた細胞を修復する、熱ショックタンパク質(HSP)が増えるからである。細胞というのは水分を除くとほとんどがタンパク質でできている。 ところが、活性酸素や紫外線などさまざまな原因で、いつもタンパク質は傷ついている。それを修理しているのがこの「HSP」だ。

 「HSP」はその名前の通り、熱を受けると生成されるタンパク質。体温を上げればよい。その方法は、入浴や運動。でも、体温は意外にもすぐには上がらない。また上がりすぎると熱中症になることもある。入浴であれば週2回、42℃で10分が目安で、入浴後保温が必要。運動であれば1日30分のジョギングを2週間続けるとHSPが10%増加する。ちょっとしたコツでHSPを高めたいものだ。


HSP

 今回、そのHPSを増やすことで、皮膚のシワを防げることが分かった。発見したのは、慶應大慶應大学薬学部の水島徹教授らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、皮膚科学の分野で最も権威のある米国科学雑誌「Journal of InvestigativeDermatology」に掲載されると共に、9月19日からイタリアで開催される、欧州研究皮膚科学会で発表される予定だ。

 シミと並んで肌の主な悩みになっているシワの原因は、皮膚にあるコラーゲン層の減少および劣化だ。肌のクッションの役割を果たしているのがコラーゲン層で、クッションが薄くなったり、弾力がなくなったりするとシワができると考えれば理解しやすい。

シワの最大の原因は紫外線だ。紫外線を浴びることでコラーゲンはその質が劣化し、生産量が減ってしまったり、コラーゲン分解酵素が増えてしまったりして、その結果、シワが生じてしまうのである。

 さまざまな熱ショックタンパク質
 一方、熱ショックタンパク質(HSP)は、細胞が熱などのストレスを受けると細胞内で作られるタンパク質の1種だ。熱だけでなく、毒物や紫外線などさまざまなストレスを受けると増え、細胞をストレスに強くすることが知られている。

 HSPにはさまざまな種類があるが、中でもHSP70は細胞を保護する作用が最も強い点で注目されているHSPだ。研究グループでは以前から、皮膚におけるHSP70の働きを研究し、紫外線による皮膚の傷害を抑えたり、紫外線によるシミ(メラニンの過剰な生産)を抑えたりすることを発見してきた。

 こうした結果は、HSP70を増やす物質が理想的な抗シミ化粧品になることを示している。ちなみにメラニンは紫外線から皮膚を守る働きをしているため、単にメラニンの生産を抑えるだけの抗シミ化粧品は、紫外線による皮膚傷害を悪化させてしまうので抗シミという点ではマイナスである。

 実際に研究グループでは、HSP70を増やす天然物を検索し、「ヤバツイ」や「アルニカ」という植物の成分が安全にHSP70を増やすことを発見。これらを配合した化粧品はすでに再春館製薬所が商品化済みだという。一方、これまでHSPとシワに関してはまったく研究されておらず、今回初めて詳細な研究が行われ、成果が挙げられた形だ。

 マウスをお湯につけて確認
 まずマウスの皮膚を42℃のお湯に5分間つけると、HSP70などのHSPが増えることが発見された。次に、42℃のお湯に5分間つけてHSPを増やした後に、紫外線を当てるという処理を10週間継続し、シワの形成を調査。

 結果は、37℃のお湯に5分間つけた対照グループのマウスでははっきりとしたシワができたが、42℃で温熱処理をしてから紫外線を当てたグループではシワがほとんどできないというものだった。また、HSP70を常に生産している遺伝子改変マウスでも同様にシワの抑制が見られた。これらの結果は、HSP70が紫外線によるシワを防ぐことを示しているといえるだろう。

 またこのメカニズムを検討したところ、HSP70がコラーゲンを分解するタンパク質を減らすことが確認された。なお、HSPには、コラーゲンの生産を助け、コラーゲンの質を高めるHSP47というタンパク質もある。研究グループでは、温熱によるシワの抑制には、HSP70だけでなく、HSP47も働いていると考え、現在研究を進めているところだ。

 42℃というのは、ちょっと熱めのお風呂の温度だ。人間でも紫外線を浴びる前にお風呂に入ると、マウスと同様にシワを防ぐことができる可能性があり、今後の応用研究が期待されると、研究グループは述べている。(マイナビニュース)

 熱ショックタンパク質
 熱ショックタンパク質(Heat Shock Protein、HSP)とは細胞が熱等のストレス条件下にさらされた際に発現が上昇して細胞を保護するタンパク質の一群であり、分子シャペロンとして機能する。ストレスタンパク質(Stress Protein)とも呼ばれる。

 HSPが初めて発見されたのは1974年であり、ショウジョウバエの幼虫を高温にさらすとある特定のタンパク質が素早く発現上昇することがアルフレッド・ティシェールらにより報告された。1980年代半ばになるとHSPは分子シャペロン機能を有すること、細胞内タンパク質輸送に関与することなどが認識されるようになった。HSPはその分子量によりそれぞれの分子の名前がつけられており、例えばHsp60、70、90はそれぞれ分子量60、70、90kDaのタンパク質である。

 一方、低分子量タンパク質であるユビキチンは酵素複合体であるプロテアソームを介したタンパク質分解において重要な役割を果たしているが、この分子もまたHSPとしての性質を持つ。HSPはヒトからバクテリアに至るまで様々な生物種において広く類似した機能を発現することが知られており、そのアミノ酸配列は生物の進化の過程においてよく保存されている。

 HSPの発現は細菌感染や炎症、エタノール、活性酸素、重金属、紫外線、飢餓、低酸素状態などの細胞に対する様々なストレスにより誘導されることが知られている。核内タンパク質である熱ショック転写因子(HSF)はDNA上の熱ショックエレメント(HSE)に結合することによりHSPの発現を制御する転写因子として働くが、熱ストレスによりHSFが誘導される詳細な機構については十分に明らかにされてはいない。

 分子シャペロン機能
 シャペロン (chaperone) とは、他のタンパク質分子が正しい折りたたみ(フォールディング)をして機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称である。分子シャペロン (Molecular chaperone) 、タンパク質シャペロンともいう。 シャペロン(chaperon または chaperone)とは元来、若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性を意味し、タンパク質が正常な構造・機能を獲得するのをデビューになぞらえた命名である。

 多くのシャペロンは熱ショックタンパク質 (Heat shock protein:Hsp)、つまり温度が上昇したときに発現されるタンパク質である。これは、タンパク質のフォールディングが熱によって重大な影響(変性)を受けた場合に、そのタンパク質の折りたたみを制御する。ほとんどのタンパク質はシャペロンなしでも折りたたまれるが、一部にはシャペロンを必須とするものもある。

 リボ核酸(RNA)からの翻訳により生成した新生タンパク質は不安定な状態にある。自由エネルギー的には常に最低の状態にあるわけではなく様々な立体構造をとりうるが、タンパク質は正しい折りたたみ(フォールディング)の過程を経て安定化する。HSPはこの新生タンパク質に結合することによりタンパク質のフォールディングを制御する分子シャペロンとしての機能を持ち、分子シャペロンの多くはHSPである。

 高温条件化において変性したタンパク質、あるいは新生タンパク質のうちフォールディングの段階に問題があり、機能できないものなどにはHSPが結合してその処理を行うことが知られている。HSPはこのような高次構造の破壊されたタンパク質の修復およびタンパク質変性の抑制機能を有し、修復が不可能であると判断されたタンパク質はユビキチン化を受け、プロテアソームと呼ばれる酵素複合体へ運搬されて分解を受ける(タンパク質の品質管理)。このフォールディングの段階に異常があり、不良品タンパク質が細胞内に蓄積するとフォールディング病と呼ばれる疾患に陥る。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:熱ショックタンパク質 シャペロン マイナビニュース:42℃のお風呂にに入った後は、紫外線によるるシワができにくい

HSPと分子シャペロン (ブルーバックス)
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