宇宙でどうやって糖類がつくられるのか?
 宇宙で糖類が発見された。いったいどうやってつくられ、どうやって発見されたのだろう?… 宇宙にあるガスと塵が集まって、恒星として輝き出すときに、その星が発する光によって雲の温度が上がり、塵の表面ではいろいろな分子がつくられる。この分子が蒸発し、雲の中を漂うようになると、分子からは特有の電波が放出される。(ド・ブロイの物質波)これを、アルマ望遠鏡のような高い感度を持つ望遠鏡を使ってとらえる。

 発見したのは、デンマーク、ニールス・ボーア研究所のジェス・ジョーゲンセン氏らの研究チーム。アルマ望遠鏡を使った観測により、若い太陽のような星のまわりを観測したところ、糖類分子があることを発見した。このような星のまわりに糖類分子が見つかったのは初めてのこと。この発見は、生命の構成要素となるような物質がこれから作られる惑星に取り込まれていくうえで適切な場所、適切な時期に確かに存在していることを示しているという。

 研究グループが見つけたのはグリコールアルデヒドという物質で、糖類の中では最も単純な構造をしている。グリコールアルデヒドが見つかったのは、IRAS 16293-2422という名前の、太陽と同じくらいの質量の星ふたつからなる連星系。グリコールアルデヒドそのものはこれまでにも宇宙で発見されていたが、これから惑星が作られていくような若い星のまわりで見つかったのは今回が初めてのことだ。


C2H4O2

 糖類といえば私たちは、砂糖のような甘いものを連想する。グリコールアルデヒドとはどんな糖類なのだろうか?今日は宇宙で発見される物質はどうやって調査するのか?糖類とは何か?について調べる。

 アルマ望遠鏡、若い2連星の周囲に糖類分子を発見
 
国立天文台は8月29日、デンマークのニールス・ボーア研究所のジェス・ジョーゲンセン氏らの研究チームが、アルマ望遠鏡を使った観測により、若い恒星の周囲に糖類分子を発見したと発表した。研究の詳細な内容は、「Astrophysical Journal Letters」に掲載される予定だ。

 研究グループが見つけたのは「グリコールアルデヒド(C2H4O2)」という物質で、糖類の中では最も単純な構造をしている。グリコールアルデヒドが見つかったのは、へびつかい座ρ星領域、地球から400光年の距離にある「IRAS16293-2422」という名称の、太陽と同程度の質量の恒星2つからなる連星系だ。

 グリコールアルデヒドそのものはこれまでにも宇宙で発見されていたが、これから惑星が作られていくような若い星の周りで見つかったのは今回がはじめてのことだ。

 グリコールアルデヒドが見つかった場所は、中心の星からの距離が太陽系では天王星の軌道(28億7000万km)ほどの距離のところ。そこはまさに惑星がこれから作られていく場所であり、そのような場所に生命の構成要素となるような物質が発見されたことは大きな意味を持つといえる。

 研究グループのリーダーであるジョーゲンセン氏は、「生まれたばかりの星の周りでは、ガスや塵が環を作って回っている。その中に、私たちは単純な糖類であるグリコールアルデヒドを見つけた。この物質は、私たちが普段コーヒーに入れている砂糖とそれほど違わないものだ」と、語っている。また、この分子が、生命の起源に密接に関わるRNAの構成要素の1つでもあることも強調した。

 今回の発見は、アルマ望遠鏡の高い感度が存分に活かされた形だ。これまで観測の難しかった波長の短い電波を、しかもアルマ望遠鏡の一部のアンテナだけを使った科学評価観測の段階で検出できたことから、アルマ望遠鏡のフル稼働時の性能が期待される。

 宇宙ではさまざまな化学反応が起きている
 また研究グループのメンバーの1人で、デンマーク・オーフス大学のセシル・ファブレ氏は、今回の発見でさらに驚いたこととして、「発見したグリコールアルデヒドが連星系を構成する1つの星に向かって落下している様子をとらえたこと」とした。これは何を示すのかというと、単に惑星が作られる場所に糖類分子が見つかったということだけでなく、その糖類分子が惑星に降り積もっていく可能性が十分にあるということである。

 星や惑星の材料となるガスや塵の雲は絶対温度約10度(-263℃程度)の低温であり、多くのガス分子は塵の表面に氷となって付着する。宇宙空間は希薄なため、分子同士が宇宙を漂っているときに出会って化学反応を起こすことは極めてまれだが、塵の表面にはさまざまな分子が集まってくるため、多様な化学反応が起こって複雑な分子が作られるのだ。

 このような塵やガスを大量に含む低温の雲の中心で星が生まれると、その星が発する光によって雲の温度が上がり、塵の表面で作られたいろいろな分子が蒸発する。こうして雲の中を漂うようになった分子からは電波が放出されており、アルマ望遠鏡のような高い感度を持つ望遠鏡を使えばこの電波をとらえることができるというわけだ。

 IRAS16293-2422は、生まれたばかりの星としては比較的地球に近い位置にあるため、これまでも多くの天文学者によってこの星の周りにある分子ガスやそこでの化学反応が研究されてきた。高い性能を持つアルマ望遠鏡を使えば、このような星の周りで惑星が作られているところを、これまでにない高い精度で観測をすることができるという。

 ジョーゲンセン氏は、残る大きな疑問として、星の周囲を回るガスが惑星に取り込まれてしまうまでに、どれくらい複雑な分子が作られるのか、ということを挙げる。このことは地球以外の惑星でどのように生命が作られるか、ということを考える際のヒントになるだろうという。また、この謎に迫る上でアルマ望遠鏡での観測は欠かせないものになるだろうと、同望遠鏡に大きな期待を寄せている。(マイナビニュース 2012/08/30)

 糖類とは何か?
 糖とは、多価アルコールの最初の酸化生成物であり、アルデヒド基 (−CHO) またはケトン基 (>C=O) をひとつ持つ。アルデヒド基を持つ糖をアルドース、ケトン基を持つ糖をケトースと分類する。

 これ以上分解できない糖を、単糖(monosaccharide)というが、単糖は、複数の糖が結合(脱水縮合)してさらに大きな糖(多糖、オリゴ糖、二糖)を形作る際の構成要素となる。単糖の一般組成は、nの値が3以上の(CH2O)nで表せる。

 単糖2分子がグリコシド結合により1分子となったものを二糖といい、単糖3分子が結合したものを三糖という。単糖2分子 - 20分子程度が結合したものをオリゴ糖という。さらに多くの単糖が結合したものを多糖という。

 単糖は、炭素の数によっても分けられる。糖を構成する炭素の数が3つであれば三炭糖(トリオース)、4つであれば四炭糖(テトラオース)、5つであれば五炭糖(ペントース)、6つであれば六炭糖(ヘキソース)、7つであれば七炭糖(ヘプトース)となる。ただし、このような名称は専ら単糖にのみ用いる。単糖の例としては、グルコース(六炭糖)、リボース(五炭糖)、トレオース(四炭糖)、グリセルアルデヒド(三炭糖)などがある。

 グリコールアルデヒドとは何か?
 グリコールアルデヒドは化学式C2H4O2で表される。ジオース(Diose)という、単糖(二炭糖)に分類されることがある物質。単糖の一般組成は、nの値が3以上の(CH2O)nであるため、ジオースは定義的には単糖ではない。しかし、(CH2O)nを満たすことからしばしば最も基本的な単糖として扱われる。アルドジオースであるグリコールアルデヒドのみが唯一可能なジオースである。(ケトジオースは2炭素では不可能)

 グリコールアルデヒドはアミノ酸のグリシンを含む多くの前駆体から形成する。解糖系のフルクトース-1,6-ビスリン酸上のケトラーゼの反応によって形成することができ、この化合物はペントースリン酸経路中でチアミンピロリン酸によって輸送される。

 グリコールアルデヒドは多くの植物、天の川で確認されている。正確には糖類ではないが、惑星間でのグリコールアルデヒドの発見は“宇宙空間で見られる糖類”として多くの出版物で報告されている。

 今回、2012年、IRAS 16293-2422という原始星において、惑星ができつつあると考えられている原始星では初めてグリコールアルデヒドが発見された。グリコールアルデヒド(Glycolaldehyde)は、存在できるものの中ではアルデヒド基とヒドロキシル基の両方を持つ最もシンプルな分子である。

参考HP Wikipedia:グリコールアルデヒド 単糖  国立天文台アルマ望遠鏡:赤ちゃん星のまわりに生命の構成要素発見

宇宙進化の謎―暗黒物質の正体に迫る (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社
叡知の海・宇宙―物質・生命・意識の統合理論をもとめて
クリエーター情報なし
日本教文社

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