頭部に生殖器をもつ魚
 生物には私たちが想像もできないような形態を持つものがいる。今日紹介するのは、頭部に生殖器を持つイワシとサメのなかまだ。何でそんなところに生殖器をもつのか理解できない。一つはトウゴロウイワシというちょっと変わったイワシのなかま。もう一つはギンザメというサメのなかまだ。以下はNational Geographic newsからの引用だ。

 新種の魚がベトナムで発見された。トウゴロウイワシ目、トウゴロウメダカ科に属し、学名は「Phallostethus cuulong」。同科の既知の21種は、口の下に交尾器官を持つ特殊な魚だ。Phallostethusは、ギリシャ語で“胸にペニス”の意味がある。

 今回見つかった新種のオスも、交尾時に腹ビレの骨格が変形した“プリアピウム”という交尾器官でメスの体を固定する。そして、メスの頭部にある泌尿生殖器の開口部に精子を注入する」と、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立自然史博物館の魚類担当学芸員リン・パレンティ(Lynne Parenti)氏は説明する。


Phallostethus cuulong

 パレンティ氏は、この通称「男根魚」の別種が交尾している様子をシンガポールの研究所で観察したことがある。頭部で繋がったオスとメスがVの字になり、まるで小さなハサミが水槽内をせかせか泳いでいるようだったという。

 観賞魚として親しまれているグッピーを含め、多くの魚類は瞬時に交尾を完了するが、男根魚は長時間に及ぶと同氏は話す。

 頭部に生殖器の理由
 トウゴロウメダカの仲間と同様に、新種も2.5センチに満たない小型で、体色もほぼ透明だという。

 標本9匹は、メコン川流域にある水深の浅い河川のフィールド調査で発見された。男根魚が好む、沿岸部の汽水性河川である。

 この生息域は、数十年来の開発ラッシュで深刻な打撃を受けているが、男根魚は適応能力が非常に高く、環境の変化に柔軟に対応しているようだ。パレンティ氏によると、道路脇の水路で採集されたケースもあるという。「フィールド調査の対象として魅力の薄い場所柄もあり、関心を示す生物学者はほとんどいない」。

 頭部に生殖器を持つ理由は進化上の謎とされてきたが、解明の糸口はある。

 まず、トウゴロウメダカ科は体内受精タイプの魚種が多いグループに含まれている(魚類は一般的に体外で受精する)。この科のオスの多くは、体内受精に合わせた身体変形が見られるため、男根魚も同じように適応を果たしたと見るのが妥当だ。

 さらに、「頭部で結合した方が格段に効率が良い」とパレンティ氏は指摘する。メスの標本を調べたところ、精子が充満した卵管が見つかったという。受精がほぼすべての卵に行き渡る可能性が高い。

 生物分類で、トウゴロウメダカ科トウゴロウメダカ属としては、今回でやっと3種目の発見であり、「まだまだ不明点は多い」とパレンティ氏。「一見、可愛らしい小魚だが、身体の造りは非常に複雑。今回のフィールド調査の結果に期待して欲しい」とコメントしている。

 研究の詳細は、7月3日発行の「Zootaxa」誌に掲載されている。(Christine Dell'Amore for National Geographic News August 28, 2012)

 額に性器官、ギンザメの新種を発見
 2009年9月22日、アメリカ、カリフォルニア州で見つかったギンザメの新種、“Eastern Pacific black ghostshark”(学名:Hydrolagus melanophasma)。新種と特定されたこのギンザメは、太陽の当たらない場所を好む。また、オスは額(ひたい)にこん棒のような性器官があり、容貌はハンサムとは言いがたい。

 このギンザメはこれまで、調査用のレーダーにもとらえられていたようだ。1960年代以降、専門家も体長90センチほどのこの変わった魚を見かけていたが、世界中の博物館の収蔵品の中にも名前が見当たらなかった。

「新種であることがわかったのは、最近になって研究チームが薬品漬けになって保存されていた魚の棚を調べたときのことだ」と、研究の共著者でカリフォルニアのオークランド博物館主任学芸員であるダグラス・ロング氏は話す。この魚の身体を正確に計測したところ、その独特な比率からギンザメの個別の種であると考えるにいたったという。

「この“生きた化石”は、およそ4億年前にサメから分岐した。極端な深海環境に適応することで生き残ってきたのだろう」とロング氏は言う。

 「Zootaxa」誌の9月号で発表された今回の研究によると、新発見のギンザメは、種の数が近年激増しているアカギンザメ属の仲間であることがわかった。種の特定技術が向上したおかげだという。

 ロング氏はこう話す。「ギンザメには他の現生動物には見られない身体的な特徴がある。たとえばオスには、額から生えた可倒式の性器官がある。この器官は、先にトゲがついたこん棒に似ており、まだ仮定の段階だが、メスを刺激するか、近くに引き寄せるために使われているようだ」。

 「この風変わりな魚は、深い海の複雑さを物語っている。今後われわれが不思議な新しい生物に出会う可能性も大きいだろう。クリスマスみたいなものだ。具体的になにが得られるかはわからなくても、なにか素敵なことが起こり得ることはわかる」 。 (National Geographic News September 23, 2009)

 トウゴロウイワシ
 トウゴロウイワシ(Hypoatherina valenciennei)は、トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科ギンイソイワシ属に分類される魚。トウゴロイワシともいう。

 インド洋から太平洋西部、日本では琉球諸島をのぞく相模湾から西に広く分布する。沿岸性の魚で、河川河口部の汽水域にも進入し、海面近くを大群をなして泳ぐ姿が見られる。体長は10cm前後のものが多く、最大で15cm程度まで。カタクチイワシに似ることからイワシの名を冠するものの、分類上はボラやダツなどに近縁であり、二基の背鰭をもつ。小エビなど動物プランクトンを主食とする。6-8月にかけて産卵し、寿命は2年ほどである。

 鱗が硬質で剥がれにくく一般に食用とはされない。釣り針にかかることも多く外道として避けられるが、食べられないわけではない。寿司ネタや干物にすると美味という。釣り上げた上でスズキやヒラメなどの大型魚を狙う生き餌に使う人もいる。(Wikipedia)

 ギンザメ
 ギンザメ(Chimaera phantasma)とは、ギンザメ目ギンザメ科に属する魚類である。ギンブカとも呼ばれる。太平洋北西部に広く分布し、水深500m以浅で見られる。またインド洋東部やニューカレドニア近海にも分布するが、太平洋の個体群よりもやや深い所に生息する。日本近海では、日本海を含む北海道以南に分布する。

 属名Chimaeraはギリシア神話に登場する怪物・キマイラ(キメラ)に由来し、独特の姿形から名付けられたものである。種名phantasmaは、「幽霊」「幻影」といった意味。英語では"Rat fish"、"Rabbit fish"などの名称もあるがこれらはギンザメ類全般に対して用いられる名称であり本種のみに言及する場合は"Silver chimaera"の名称を用いることが望ましい。

 全長1.1m。体色は銀白色。外見上サメやエイなどの板鰓類と異なる点は、鰓孔(外鰓孔)を一対しかもたないことである。大きな胸鰭をもち、海底付近を上下に羽ばたくようにして遊泳する。背鰭前縁に1本の毒腺のある棘をもつ。刺されると痛むが、人に対する毒性は弱い。歯は癒合し、硬いものをすり潰すのに適している。餌は底性の貝や甲殻類である。

 卵生。雄の頭部には鈎状の突起があり、交尾時に雌を押さえ付けるのに用いられる底引き網などにかかることがあるが、水産上は重要でない。肉は一般的に不味とされており、かまぼこや練り製品になる。

 深海底に生息しているため、生きている姿を目にすることは稀である。水圧等の影響により水から揚げると死んでしまうことが多いが最近本種の飼育に成功したという声もあり、謎に包まれた生態の解明に役立つのではないかと期待されている。背鰭にある棘は大きく、毒をもつので取り扱いには注意を要する。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:トウゴロウイワシ ギンザメ National Geograpic news 額に性器官、ギンザメの新種を発見

進化しすぎた「新種生物」ファイル
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