日本人研究者が3人…ノーベル賞有力候補者
 ここ数日、朝めっきり寒くなった。こうなると、いっきょに秋の雰囲気に変わる。今年、秋分の日は9月22日。秋分の日が9月23日でなくなるのは1979年(9月24日)以来33年ぶり。9月22日になるのは1896年以来、116年ぶりの出来事だ。

 秋といえばノーベル賞発表の季節でもある。スウェーデンのノーベル財団は、今年のノーベル賞の発表日を4月13日に公表している。それによると、医学生理学賞は10月8日(日本時間午後6時30分)、物理学賞は9日(日本時間午後6時45分)、化学賞は10日(日本時間午後6時45分)、平和賞は12日、経済学賞は15日。文学賞は未定。
 米国の情報提供会社トムソン・ロイターは9月19日、ノーベル賞の有力候補者として、東京理科大の藤嶋昭学長(70)ら日本人3人を含む21人を発表した。
 日本人では、生理学・医学賞候補として、細胞同士を接着させる物質カドヘリンを見つけた竹市雅俊・理化学研究所センター長(68)を挙げた。化学賞候補は、新しい光の触媒反応を見つけ、現在の光触媒化学の先駆けとなった藤嶋学長と、金の触媒作用を見つけた春田正毅(まさたけ)・首都大学東京名誉教授(64)。


2012NobelPrize

 同社は、論文が他の論文に引用された回数などを分析し、科学3分野に経済を加えたノーベル賞有力候補を毎年、発表している。昨年までに162人を挙げ、昨年の受賞者9人を含む26人が実際にノーベル賞を受賞している。(読売新聞 2012年9月19日) 今日は3人の日本人ノーベル賞候補者について調べる。


 「光触媒」 藤島 昭氏
 藤嶋 昭(1942年3月10日~ )は、日本の化学者。現在東京理科大学学長。専門は光電気化学、機能材料化学。愛知県出身(東京生まれ、生後まもなく愛知県豊田市へ移っている)。初代東京大学特別栄誉教授。財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。2006~2007年度日本化学会会長。他に日本学術会議会員、化学委員会委員長、光機能材料研究会会長、電気化学会会長、光化学協会会長、川崎市教育アドバイザーなどを歴任している。

 光触媒は今、いろいろなところで使っているが、キーワードは2つある。それは酸化チタンと光である。酸化チタンを10~20nm(ナノメートル)の大きさの粉末にして、いろいろな物質にコーティングする。すると、酸化チタンの粒は非常に小さいので透明コーティングになる。これに太陽光が当たると強い酸化力がはたらく。これが、光触媒の原理であり、これにより殺菌効果が確認されている。

 また、コーティングされた表面に水をかけると水が全面を覆ってしまう、超親水性効果という現象も確認されている。すると、油汚れがあっても、水が油を浮かせてしまう。これも光触媒の大きな特徴の1つ。これらの効果は、既に建材のセルフクリーニングや、空気や水の浄化、殺菌、ガラスの曇り防止など、様々な場面で利用されており、製品も出ている。

 光触媒作用で消臭効果のある造花というのが市販されている。あれはどうなのだろうか?

 それは偽物の可能性が高い。効果の疑わしい光触媒製品も沢山ある。酸化チタンはそれだけではコーティングできない。固定するための材料(バインダー)が必要だが、有機物に埋められたらバインダーがぼろぼろになってしまう。だから、本当の光触媒には高度な技術が入っていて、油や煙草の汚れを取ることはできるけれども、バインダーには反応しないようにしている。

 神奈川サイエンスパーク内にある、光触媒ミュージアムでは、いろいろな光触媒の製品が展示してある。ここでは本物しか展示していないない。そこに造花はない。建物、タイル、ガラスなどに塗る光触媒、それから空気清浄機など。「光触媒製品」と言われているものでも効果があるものと無いものがある。巷に出回っている光触媒製品をきちんと評価しようと、現在、標準化活動としてのJISとさらにISO化も行っている。


 細胞接着分子「カドヘリン」 竹市 雅俊氏
 竹市 雅俊(1943年11月27日~)は、日本の細胞生物学者、発生生物学者。現在理化学研究所センター長。京都大学名誉教授、日本学士院会員。理学博士(京都大学、1973年)。愛知県名古屋市生まれ。細胞接着分子カドヘリンの発見者として知られる。

 細胞同士を接着させる物質カドヘリンとは何だろうか?

 1969年、竹市雅俊は京大理学部の岡田節人教授の研究室に助手として着任した。1969年9月、京都大学で、細胞間接着と基質間接着に必要な金属イオンが異なることを発見する。細胞同士の接着にはカルシウムイオン、細胞基質との接着にはマグネシウムイオンが必要であることが分かった。その後、カルシウムイオンやマグネシウムイオンによって、接着する分子が細胞表面にあることをつきとめ、DNA上の遺伝子も特定した。

 カドヘリン (Cadherin) は細胞表面に存在する糖タンパク質の一群で、細胞接着をつかさどる分子であり、動物の胚発生に重要な役割を果たす。典型的なカドヘリン(クラシックカドヘリン)は、アドヘレンス・ジャンクションの構築を通じて、細胞と細胞の接着の形成と維持に関わる。クラシックカドヘリンは、その細胞外に5つのドメイン構造(ECドメイン)を繰り返し、1つの膜貫通セグメントと細胞内ドメインを有する。細胞内ドメインにはカテニンが結合し、細胞骨格への連結を行っている。

 カドヘリンは、その機能発現にカルシウムイオンを必要とし、カルシウムイオン存在下でプロテアーゼによる分解から保護される。カルシウム calcium と接着 adhere にちなみ、その発見者である竹市雅俊らにより命名された。ECドメインをもつ分子は脊椎動物ゲノム中に120個ほど見いだされ、カドヘリンスーパーファミリーと呼ばれている。


 「金クラスター触媒」 春田正毅氏
 春田正毅(はるたまさたけ)は、現在、首都大学東京名誉教授、首都大学東京大学院、都市環境科学研究科分子応用化学域、特任教授。研究分野は、金ナノ粒子、触媒化学である。

 金は化学的に不活性な金属と見なされていたが、直径10 nm 以下のナノ粒子として二酸化チタンなどの金属酸化物粒子上に分散・固定化すると、他の貴金属には無い優れた触媒特性を発現することが明らかとなってきた。

 金を3 nmほどのナノ粒子にすると、それが-78℃での一酸化炭素の酸化を可能にした。1987年、我が国の速報誌に掲載された。春田教授が40歳の頃である。それがランドマークとなって、固体表面の性状、基幹化合物の選択的で温和な条件での合成から製造プロセスも視野に研究を展開。金がナノ粒子となり、さらに小さくなって2 nm以下、金クラスターになれば、電子状態も変化する。

 量子サイズ効果によって電子構造が変化するクラスターの領域にまで金を微小化し、革新的な化学プロセスの開拓に資する触媒の創製を目指す。すなわち、金を直径2 nm 以下、原子数300 個以下のクラスターとして、種々の空孔構造を持つ金属酸化物、ナノカーボン、高分子材料など多様な物質上に分散・固定化する方法を開発するとともに、それらの触媒特性について幅広く探索。さらに、構造解析、計算科学、表面科学の立場から新規な触媒機能の発現の機構を明らかにすることを目標に研究は続いている。


参考HP 理化学研究所:竹市研究室 内府省:藤嶋昭氏インタビュー


トコトンやさしい光触媒の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社
多細胞体の構築と細胞接着システム (シリーズ・バイオサイエンスの新世紀)
クリエーター情報なし
共立出版

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