日産 パリモーターショーで燃料電池SUV公開
 日産自動車は、9月27日にパリで開幕する「パリモーターショー」に、燃料電池SUV(スポーツ用多目的車)「TeRRA(テラ)」を公開すると9月12日、発表した。

 テラは前輪は、電気自動車(EV)「リーフ」で使用するモーター駆動で、後輪は、それぞれの車輪にモーターが取り付けられた「インホイールモーター型」の4輪駆動を採用する。後輪を駆動するのにドライブシャフトが不要なため、室内に突起がなく、フラットな室内平面となっている。

 現在、トヨタやホンダが燃料電池車のリース販売を行っている。日産はEVで先行しようとしているが、燃料電池車は、「究極のエコカーになる」と考えており、EV技術をベースに、燃料電池車の開発を進める方針だ。(MSN産経 news 2012.9.12)


FCV

 CO2問題、エネルギー問題を踏まえ、急速に普及してきたハイブリッドカー。次の飛躍はやはり電気自動車なのか? 実はもう1つの選択肢として研究開発が進んでいる自動車がある。水素を燃料として使う燃料電池車だ。

 来るべき未来の自動車は電気自動車なのだろうか? 概ねイエス。しかしそこに至る道程は、ガソリン自動車がハイブリッドカーになり、次に電気自動車がくる……というシンプルなものではなさそうだ。電気自動車へのミッシングリンクを埋めるもの。その答えの1つかもしれないのが、燃料電池車だ。


 電気自動車の課題を解決する燃料電池車
 ガソリン車が石油燃料を使ってエンジンを動かすのに対して、電気自動車は外部から電気を充電してモーターを動かす。そして燃料電池車は、水素を化学反応させて電気を生み出しモーターを動かす。ハイブリッドカーよりは電気自動車寄りと言える仕組みの自動車だ。
 一見して分かるとおり、燃料電池車は電気自動車に比べると複雑な仕組みだ。それでも一足飛びに電気自動車に進まず、燃料電池車の開発が続いている背景には、電気自動車が抱える大きな問題がある。
 「電気自動車が流行りだが、行動範囲が狭い、充電に時間がかかる」と、経済産業省 燃料電池推進室の飯田健太室長は話す。

 電気自動車の課題は、一回の充電で走行できる距離が短いことだ。“チョイ乗り”がメインの用途であり、すぐさまガソリン車にとって代わるには厳しい。一度に長い距離を走れるようにするには、大きく重く高価なバッテリーをたくさん搭載しなくてはならない。現実的な航続距離は100キロメートル程度と見られており、改善していくにはバッテリー技術の進歩が必須だ。
 そしてバッテリーの充電には時間がかかる。専用の電気自動車充電ステーションでも15分~30分。家庭の電源で充電するなら一晩はかかるというのが現状だ。さらにバッテリーをたくさん搭載すれば、比例して必要な充電時間も伸びる。
 この2つの課題を、燃料電池車はすでに解決している。
 「ポイントは航続距離と(燃料の)チャージ能力。(燃料電池車は)ガソリン車と同等だ」と、燃料電池車「FCXクラリティ」を開発した本田技研工業の守谷隆史執行役員は話す。
 電気を充電するのではなく、水素を使うことで燃料をチャージする時間は短縮できる。水素ならば、発電に使う燃料電池ユニットを合わせても、同じ重さのバッテリーよりも長い時間走ることができる。
 FCXクラリティ(試乗記事)は航続距離620キロ。510キロの道程を無給油で走行する実証実験もクリアした。水素の充填時間は3~4分とガソリン車と変わらない。
 一方で、ガソリン車の課題であるCO2排出量や、消費エネルギーに関しては改善されている。「ガソリン/ディーゼル車に比べて、車両起源のCO2排出量は2分の1以下。CCSや再生エネルギーと組み合わせることで80%減にできる。車両の消費エネルギーは2分の1以下にできる」(新日本石油の村松幾敏副社長)

 ちなみにCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)とは、CO2回収・貯蔵技術のこと。水素は天然ガスを改質したり、発電所の電力を使って水を電気分解することで得られる。「水素を産み出すために天然ガスを使ったり、火力などでの発電が必要になったりするので、CO2はやっぱり発生しているのではないか?」という疑問への答えがCCSだ。プラントで集中して水素を取り出す形ならば、CO2を隔離して地中などに保存することが可能になる。現在各石油会社、電力会社などが主体となり、大規模実証実験に向けて調査を行っている。


 燃料電池車が抱える課題
 燃料電池車は、まさに電気自動車とガソリン車のいいとこ取り。しかしまだ実用には時間がかかる。「2015年に一般販売開始。2025年には補助金なしで、燃料電池車が自立的に販売できるようにしたい」(経済産業省の飯田氏)というのが現在のスケジュールだ。

 大きな課題は2つある。「燃料電池車の問題は、コストと、水素ステーションが必要なことだ」と飯田氏。現在、燃料電池車のコストは1台あたり1億円程度。これを2015年にはガソリン車の3~5倍の価格に、2020年には1.2倍まで下げていくというのが経済産業省の計画だ。
 コスト高の原因は、水素を使って発電する燃料電池ユニットにプラチナなど高価な材料が必要なこと。そして水素を使うということで高圧タンクなど水素周りの専用部品が必要なこと。最後に高圧電装など電気系の専用部品が必要なことだ。
 ホンダでは量産化によるコスト削減に向けて製造工程の自動化を進めるとともに、部品点数の削減、普及材料を使った燃料電池の開発に取り組んでいる。電気系専用部品については、ハイブリッドカーとの共用化を進める。この点はハイブリッドカーの普及によるコスト削減と性能向上がそのまま転用できる。また水素周りの技術については標準化が必要だと守谷氏は話す。日米欧で規格や基準、法規が異なることがコスト高につながるからだ。「水素充填の圧力、急速充填手法などが、地域によって統一されていない」(ホンダの守谷氏)

 もう1つの課題である水素ステーションについては、ステーション自体の建設コストと、水素の値段がネックとなっている。ガソリンステーションの建設費が数千万円なのに対し、水素ステーションは現状約6億円。
 2015年から燃料電池車の普及に先行して水素ステーション数を増やし、技術革新と共に量産によってコストも低下させていくという計画だが、運営側の設備投資負担は重い。2025年までに約4500億円が必要と見積もられている。水素ステーションを進める新日本石油の松村氏は、「普及初期は設備投資負担が大きくステーション自立は困難。低炭素社会に向けた国全体の投資と捉え、産官民で応分の負担をする制度設計が必要だ」と話す。
 現在水素ステーションは実験規模であり全国で15カ所程度だが、2015年の普及開始と共に1000カ所まで増やす。まずは高速道路のサービスエリアにステーションを設置していき、その後“水素タウン”と呼ばれる都市にステーションを集中配備していく計画だ。2030年までにはステーション5000カ所を目指す。ガソリンステーションは全国に現在約5万カ所あり、10カ所に1つは水素も供給できるようになるイメージだろう。


 燃料電池車、今後の動き・展望
 燃料電池車(Fuel Cell Vehicle)は、燃料電池を搭載した自動車で、水素と酸素の化学反応で得られる電気エネルギーを利用し、モーターを駆動させる。ガソリン駆動車に比べてエネルギー効率が高いのが特徴。排出されるのは水だけで、CO2やNOx、SOxなどの温室効果ガス・大気汚染物質が排出されないため、「究極のエコカー」とも言われている。

 メリットとしては、・エネルギー効率が高い。 (燃料の原料採取~走行までの効率が、ガソリン車で15%程度、燃料電池車で30%程度とされている。) ・CO2などの温室効果ガス、NOx、SOxなどの大気汚染物質が排出されない。 ・1回の水素充填で、ガソリン車と同等の距離を走行することができる。 (例えば、トヨタの「FCHV-adv」で830km(10・15モード走行時)。)

 デメリットとしては、 ・水素製造技術が確立されていない。 ・水素の供給インフラが整っていない。 ・燃料電池の触媒に白金を使っていることなどから、製造コストが高い。などがある。

 現在、トヨタやホンダが燃料電池車のリース販売を行っている。トヨタは、2008年9月に「FCHV-adv」を環境省に、ホンダは同11月より、「FCXクラリティ」を官公庁や一部の民間企業に対して販売。また、トヨタは日野自動車と共同で燃料電池バスを開発。中部国際空港のシャトルバスやランプバスとして貸し出された他、東京マラソンなどのイベントにも利用されている。 他にも、日産が2008年11月に「X-TRAIL FCV」を日光市に納入、スズキもGMと共同で燃料電池車を開発するなど、市場投入に向け、開発が進められている。
 最近では、トヨタが2015年に燃料電池車を商用生産すると発表し、徐々に市場投入に向けた動きが加速している。また、白金代替触媒の実用化に向けた研究も進んでおり、今後は製造コストがどれだけ下がるかも注目だ。
 また、インフラ整備の面では、経産省主導のJHFCプロジェクトが、燃料電池車の普及や水素ステーションのインフラ整備に向けた研究・活動を実施中。現在、関東地方を中心として合計11カ所の水素ステーションを設置している。一方、民間でも、新日本石油や東京ガスなど13社が、2009年7月に「水素供給・利用技術研究組合」を設立。2015年をめどに水素供給ビジネスを事業化させるとしている。

 海外では、2009年12月11日、ダイムラーが同社初の量産型燃料電池車「BクラスF-CELL」を発表。まず200台を量産し、2010年春から米国と欧州でリース販売を開始する予定だ。最高速度は170km/h、航続距離は400km程度。


参考HP 環境ビジネスOnline:電気自動車 Business Media 誠:もう一つの電気自動車、燃料電池車 JHFC:燃料電池車のしくみ


燃料電池車・電気自動車の可能性
クリエーター情報なし
グランプリ出版
疾(はし)れ!電気自動車―電気自動車〈EV〉vs燃料電池車〈FCV〉
クリエーター情報なし
築地書館

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