火成岩を発見
 NASAの火星探査車「キュリオシティ」が火星を探索している。先日調査した岩石が、地球の火成岩と類似する成分を持っていることがわかった。さらにキュリオシティは、スコップを使って初めての土壌サンプル採取も行った。

 「キュリオシティ」が調査した火星の岩石の名は「ジェイク・マティアビッチ」。9月22日に行った接触調査の結果で予想外の発見があった。「ジェイク・マティアビッチ」の化学組成は、地球の火山地帯でよく見られる火成岩の組成と似ていたのだ。このような火成岩は主に地殻下のマントル内で、比較的水が豊富なマグマが圧力上昇で結晶化して形成される。

 まだ1個の岩石を調査しただけであり、その形成過程が地球と同様であるとは言い切れないが、少なくとも岩石の形成を研究する良いスタートラインになるだろう。今回は化学カメラ装置とアルファ粒子X線分光器を同時に運用することでジェイク・マティアビッチの詳細な情報が得られたが、キュリオシティにはさらに多くの分析装置が搭載されているため、今回の結果は今後の岩石や土壌調査の序幕にすぎない。

 続いてキュリオシティは「ロックネスト」と名づけられた地域で10月9日と12日に2回、土壌サンプルの採取を行った。今回の採取サンプルは成分分析ではなく、装置クリーニングに使われる。採取した砂を使って、分析装置内についているかもしれない地球の物質をこすり落とすのだ。2回目まではこのようなクリーニングのための採取で、3回目の採取サンプルからは成分分析に使われる予定だ。(NASA)


Mars_Curiosity

 光る物質を発見
 そして、米航空宇宙局(NASA)は10月18日、「グレネルグ」と呼ばれる科学的に興味深い地点に到着したと発表した。そこで、火星の土壌の中から光る物質が見つかり、成分などを調べていることも明らかにした。

 すくい出した土壌の中に、小さな光る物体があるのを発見。物体は約1ミリと砂粒ほどの大きさで、当初はキュリオシティからはがれ落ちた物質ではないかとの見方もあったが、詳しく調べた結果、もとから火星にあった物質のようだとの見方が優勢になったという。採取した物質はキュリオシティに搭載されたX線回折装置に取り込んで、成分の解析を進めている。

 キュリオシティは8月6日に火星に着陸し、地表を移動しながら探査を進めている。グレネルグの後は、堆積層から形成される標高約4800メートルの「シャープ山」の探査に向かい、生命が存在していた痕跡を探す。(CNN 2012.10.19)

 わくわくする発見を続けるキュリオシティ。次に目指すシャープ山には何があるのだろう?10月20日NHK放送のNHKスペシャル「火星大冒険 生命はいるのか?」 では、目指すべきものはシャープ山の麓にある、粘土鉱物という岩石をふくむ地層…と述べていた。


 粘土鉱物を探せ!
 キュリオシティは、着陸地点で火星生命の発見につながる重要な画像を撮影していた。それはあのシャープ山の麓にある。望遠レンズで狙うと…むき出しになった岩肌が鮮明に映し出されたのである。NASAは 急きょこの画像についての記者会見を開いた。

 「この地層です!まさに これを調べるために降り立ったのです。」科学者を興奮させたのは画像に映し出されたたくさんのしま模様の地層。地層は 海底などに土砂が降り積もって出来る。

 下の方の地層は およそ40億年前つまり海があったとされる時代に出来たものだと考えられている。更にこの地域を上空から観測すると驚きの発見があった。地層のあった場所の光の色を細かく分析するとそこに粘土鉱物という岩石が存在する事が分かったのだ。

 粘土鉱物の地層の発見は極めて重要な意味を持っている。というのも 粘土鉱物こそ火星生命発見の切り札だからだ。一体なぜ、粘土鉱物が火星生命発見の切り札なのか?その答えは オーストラリアにあった。

 オーストラリアには、10億年をはるかに超える太古の地層が残されている。その中に火星にあるものと同じ粘土鉱物を含む地層がある。太古の生命の姿に粘土鉱物から迫ろうという…この地層は今から16億年も前のものだ。古代の深い海の底に粘土が堆積したもの。博士は この場所の粘土鉱物から驚きの発見をした。

研究室で 粘土鉱物を細かく砕きその内部に含まれる成分を詳しく調べる。すると…生物の体を構成する特有の有機物が現れた。これは、16億年も前に生きていた微生物のかけらだと考えられる。これほど古い生命のかけらを保存できたのは粘土鉱物の特別な能力のおかげだ。

秘密は粘土鉱物の構造にある。顕微鏡で見ると 粘土の粒は薄い板のようになっている。水の底に粘土が堆積する時その間に微生物が挟まる。これが 岩石化すると真空パックのように密閉され生命のかけらである有機物が10億年以上も保存されるのだ。

この驚きの能力を持つ粘土鉱物なら火星でも 生命のかけらを保存しているに違いない。粘土鉱物は まさに タイムカプセル。もしキュリオシティが生命のかけらを見つけたいなら火星で粘土鉱物を探すべきなのだ。キュリオシティは 今粘土鉱物の地層に向けて移動を開始している。


 着陸地点は扇状地
 キュリオシティはすでに過去に水の流れた跡を発見している。キュリオシティの着陸地点には水が流れていた。液体の水は 生命が代謝をし生きていく上で不可欠なものだ。火星で水の痕跡を見つけた事は生命発見に向けた大きな一歩といえる。

 しかも この発見、現在の火星からは想像もつかない驚きの世界の存在を指し示すものだった。探査機が上空から撮影した着陸地点付近の画像にその手がかりがある。キュリオシティが降り立ったのは赤道近くにある直径150kmのクレーターの中。

 着陸地点を上空から見ると地面に不思議な模様があるのが分かる。扇形の地形が広がっている。これは何なのか。これと似た地形が地球にもある。それは、カリフォルニア州、デスバレー。火星の扇形の地形とそっくりだ。これは 扇状地と呼ばれている。扇状地は、山の中を流れてきた川が平野に土砂を大量に堆積させこのような地形を作る。

 火星の扇状地も 太古の川が膨大な量の土砂を運んで作ったものなのだ。その証拠に上流へと たどっていくと川の跡がくっきりと残っている。この扇状地の幅は 10km以上。巨大な扇状地が出来るという事はここに 生命に不可欠な水が膨大な量流れていた事を示している。

しかも 最新の観測によれば水があったのはこの場所だけではない事も分かってきた。上空を巡るNASAの探査機がレーザーで 火星の地形を1mの精度で調べた。地形の凸凹をよく見てみよう。クレーターが目立つゴツゴツした地域とクレーターが少ない滑らかな地域がある。

 拡大すると、2つの地域は1本の境界線できれいに分かれている。こうしたラインは北極を囲むように続いている。多くの科学者はこのラインの内側に40億年前海があったと考えている。その規模は、火星表面の1/3を覆うほどだったと推定されている。


 水はどこからきたのか?
 生命に欠かせない水。それは一体どこから来たのか。答えは太陽系が生まれた時代にある。実は水は火星などの惑星の材料であるチリとガスの中に既に含まれていた。これらは 互いに衝突合体を繰り返しながらより大きな岩石となり火星へと成長していく…。衝突のエネルギーで岩石はドロドロに溶ける。この時、岩石内部の水が水蒸気として放出され原始の火星の大気に取り込まれていく。

 やがて 火星が冷えると大気中の水蒸気が雨となって降り注ぐ。こうした生い立ちの結果膨大な量の水が火星にもたらされ海が出来たと考えられている。これまでの研究から 火星の海は40億年前から35億年前ごろにかけて存在していたと見られている。

 火星の海を研究している、カリフォルニア工科大学ジョセフ・カーシュビンク博士(Joseph L. Kirschvink)。博士は 火星の海が その環境にどのような影響を与えたのか探っている。今回、キュリオシティが川の跡を発見した事でダイナミックに水が動く、火星の環境が見えてきたと言う。

 40億年前火星の海は 水の大循環という大きな役割を担っていた。すなわち 水は 海から空へ空から陸へと巡っていた。もし、海のある時代の火星に降り立つ事ができればこんな風景が広がっていただろうという。海から蒸発した水が空に雲を作り雨となって陸の川を流れていたはずである。

 40億年前の火星は、まるで現在の地球のようだったとカーシュビンク博士は考えている。キュリオシティの降り立った巨大な扇状地は、生命にふさわしい環境が火星にあった事を示す貴重な証拠なのである。


 「地球生命の火星起源説」
 さらに、カーシュビンク博士は、「地球生命の火星起源説」を唱えている。これは地球より、先に火星で生命が誕生し、地球に飛来してきたというもの。生命誕生には高分子な物質が自然発生する環境が必要で、そのためには水があるだけではだめで、乾燥と湿潤の繰り返しが必要なのだそうだ。

 それには陸と海の境界線が理想的だけれど、生命が誕生したと推定される40億年前の地球には海だけで陸がなかった。一方、40億年前の火星には海と陸の両方があり、より生命誕生には適していたと考えられ、火星で誕生し岩石の中で生息していた細菌が、火星への隕石衝突の結果、宇宙へ飛び出し、地球までやってきたと考える方が可能性が高いというのが「地球生命の火星起源説」である。

 でも、さすがに隕石が地球にやってくるには相当な時間がかかり、宇宙線も浴び、大気圏突入でも高熱にさらされる。しかし、こうした疑問も、火星→地球間の飛行時間は、計算上0.1%の隕石が10万年以内に到達。細菌は宇宙空間でも冷凍凍結保存効果で生き延びる。そのうち10数個の隕石は10年以内に到達する。耐宇宙線細菌というものも存在すること、大気圏突入時でも40度以上になるのは岩石の表層から3ミリのところまでという実測から、この一見突飛に見える仮説も決して簡単に否定できない。


参考HP Wikipedia:マーズ・サイエンス・ラボラトリィ NHK:火星大冒険!生命はいるのか? Geographic news:火星に広範囲な水系、川床の跡発見


2035年 火星地球化計画     (角川ソフィア文庫)
クリエーター情報なし
角川学芸出版
火星計画DVD THE PROJECT MARS 2+3
クリエーター情報なし
工画堂スタジオ

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ ←One Click please