大量絶滅で76%の生物種が死亡
 大量絶滅は、過去(顕生代)に5回起こっており、これをまとめて、ビッグファイブとよぶ。多細胞生物が現れたベンド紀(エディアカラ紀)以降、5度の大量絶滅が起きている。すなわち、オルドビス紀末、デボン紀末、ペルム紀末(P-T境界)、三畳紀末、白亜期末(K-T境界)である。また、これらよりは若干規模の小さい絶滅が数度あった。

 なかでも、古生代後期のペルム紀末、P-T境界(約2億5100万年前)の大量絶滅はひどかった。地球の歴史上最大の大量絶滅といわれている。海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅した。既に絶滅に近い状態まで数を減らしていた三葉虫はこのときに、とどめをさされる形で絶滅した。

 三畳紀/ジュラ紀境の大量絶滅では、アンモナイトのほぼすべてのグループが姿を消すなど、頭足類の歴史上最大の絶滅が起きた。また、爬虫類や単弓類も大型動物を中心に多くの系統が絶え、当時はまだ比較的小型だった恐竜が以降、急速に発展していく。全ての生物種の76%が絶滅したと考えられている。

 「ベレムナイト」はイカに近縁な頭足類で、体の内部に石灰質の殻を持つことを特長とし、アンモナイトと共に、恐竜時代の中生代の海洋生態系の中で重要な地位を占めた生物である。今回「ベルムナイト」が、三畳紀末(P-T境界)の大量絶滅を生き延びたことが確認された。


LateTriassicGlobal

 大量絶滅を生き延びた「ベレムナイト」
 東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町の海岸からは、前期ジュラ紀から白亜紀末(2~0.65億年前)の地層が見つかっており、そこにはベレムナイトの内殻が、発見されている。ベルムナイトは、世界中の前期ジュラ紀から白亜紀末(2~0.65億年前)の地層から発見されていて、ヨーロッパを中心に研究が進められ、地球環境変動を反映したダイナミックな進化史が明らかにされてきた。

 現在の通説では、ベレムナイトは、ジュラ紀最初期(ヘッタンギアン期:約2億年前)に、殻の直径5mmほどの小型な種類が北西ヨーロッパに出現し、プリンスバッキアン期(約1.8億年前)までは、ヨーロッパのみに生息し、多様性も低かったと考えられてきた。

 実は、ベレムナイトは日本各地でも発見されているのだが、昔の幾つかの分類学的研究があるぐらいで、海外研究者は日本の産出記録をきちんと認識してこなかった。

 今回、北海道大学(北大)の研究グループが、宮城県南三陸町の海岸部での野外調査を実施、ジュラ紀最初期のベレムナイト産出層の層序や堆積環境、化石の産状などを明らかにしたほか、室内で採取された標本の分類学的研究を実施した。また、ヨーロッパの前期ジュラ紀のべレムナイトや、日本と同様に疑問視されていた、中国の後期三畳紀のベレムナイトとの比較検討を行った。

 その結果、南三陸町から、ヨーロッパでの出現と同時期の、中型と超大型の2種のベレムナイトが多産したことから、「ベレムナイトはジュラ紀最初期にヨーロッパで起源した」とする通説は「後期三畳紀~前期ジュラ紀に現在の南中国や日本周辺に原始的なグループが生息し、ジュラ紀最初期にはすでに多様化を遂げていた」と全面的に改訂する必要があることが明らかとなった。

 発掘された南三陸町産の中型のベレムナイトは、鞘さやの背側に1本の溝を持っており、これは一般的なベレムナイトにはない特長となっている。同様の特長を持ったベレムナイトは中国四川省の後期三畳紀カーニアン期の地層(約2.3億年前)からすでに報告されていたが、ヨーロッパの記録よりも遥かに時代が古いことが疑問視され、形態の特異性はほとんど注目されてこなかった。

 しかし、今回の発見によりこれらの特異なベレムナイトは、ベレムナイトの進化初期を代表する原始的なグループ(おそらく新亜目)を構成するものであると考えられると研究グループでは説明する。

 一方、超大型のベレムナイトは、現在のところ部分的な標本しか得られていないとのことだが、前期~中期ジュラ紀に繁栄するグループに属し、鞘の太さ(33mm)はジュラ紀前期末~中期に生息した世界最大級のベレムナイトに匹敵し、大型化がジュラ紀最初期にすで達成されていたことを示唆するものになるという。

 これらの成果から、ベレムナイトの起源は通説であったジュラ紀最初期よりも少なくとも3,300万年ほど遡り、ベレムナイトは三畳紀/ジュラ紀境界の大量絶滅イベント(約1億9960万年前)を生き延びていたことが示されたこととなる。

 同成果は同大大学院理学研究院の伊庭靖弘氏、福井県立恐竜博物館の佐野晋一氏、ドイツ・ルール大学地球科学専攻のJorg Mutterlose氏、高知大学理学部の近藤康生氏らによるもので、詳細は米国地質学会誌「Geology」に掲載された。 (北大プレスリリース 2012/10/27)


 ベレムナイトとは?
 ベレムナイト(Belemnites、またはベレムナイト類:Belemnoidea)は白亜紀末に絶滅した軟体動物門・頭足綱の一分類群である。形態的には現生のイカに類似し、特にコウイカに近縁であるとされている。

 ベレムナイトは体の背部から先端にかけて鏃(やじり)型の殻を持っていた。この殻の形状に由来し、ベレムナイトの化石を矢石(やいし)と呼ぶ事もある。

 ベレムナイトはデボン紀のバクトリテス類(Bactritoids、真っすぐな殻を持つオウムガイの仲間)を起源とし、化石は下部石炭系から白亜系にかけて産出する。特にベレムナイトはジュラ紀から白亜紀にかけて繁栄しており、中生代の海成層からアンモナイトと共に大量に産出する。絶滅の時期も、アンモナイトと同様に白亜紀の末期である(→ K-T境界)。

 ベレムナイト類のいくつかの種、特にヨーロッパのチョーク層から産出するものは示準化石として重要であり、地質学者が地層の年代を決定するのによく用いる。日本国内では北上山地のジュラ紀-白亜紀の地層から産出するが、欧米に比べて産出は極めてまれである。

 ベレムナイトの殻は生存時には外套膜に覆われ、実際には内骨格として機能していた。殻は鞘 (rostram)、房錘 (phragmocone)、前甲 (pro-ostracum) の3部分よりなる。鞘は体の末端部にあり、緻密な石灰質の塊であるため化石として残りやすい。房錘は内臓が入った外套腔のすぐ外側にあり、中空の円錐形をした構造である。現生のオウムガイと同様に、ベレムナイトは房錘の空洞内のガスと体液の比を調整することで浮力を得ていたらしい。前甲は背中側にうすく延びた構造で、現生のコウイカの殻と同様に軟体部を支えていた。

 生時のベレムナイトが軟体部の後端にある房錘で浮力を生じると、軟体部は水より比重が大きいので頭が下を向いてしまう。しかし、さらに後ろにある鞘は中まで緻密に詰まった石灰質の硬い塊であるために比重が大きく、ここで浮力を相殺してバランスをとることができる。つまり遊泳時のベレムナイトには、房錘で上向きの、軟体部と鞘で下向きの力が働き、一種の天秤のような機構が姿勢の水平を保っていたと考えられている。

 ベレムナイトの殻は方解石からなり、一般に化石としての保存状態が良い。殻の鞘の部分の断面には、放射状に伸びる方解石の結晶と同心円状の成長線が観察される。また殻は化学分析の試料に適しており、試料中の同位体比から生存時の古水温を復元する用途にもよく用いられる。アメリカ・サウスカロライナ州の Pee Dee 層から産出するベレムナイトは PDB(Pee Dee Belemnite)と呼ばれ、炭素同位体比(13Cと12Cの割合)の標準物質として利用されている。

 イギリスやドイツなどからは、軟体部の輪郭まできれいに保存されたベレムナイトの化石が見つかっている。それによると、ベレムナイトは殻に比べてはるかに大きな流線型の体と大きな眼を持っていた。また、現生のイカ類と同様に墨汁嚢はあったが、離れたところから射出するように伸びだして獲物を捕らえる触腕はなかった。

 触手に吸盤を持っている現生のイカ類とは異なり、ベレムナイトは小さなフックを持っていた(現生のイカ類でも吸盤の縁には角質のぎざぎざしたリングが装着されているし、カギイカのようにフックをもつ種類も存在する)。ベレムナイトは獰猛な肉食動物で、小さなフックがついた触手で獲物を捕まえては、くちばし状の顎板で肉をむしって食べていた。当時の海棲爬虫類はベレムナイトを捕食しており、例えばイクチオサウルスの腹部からはベレムナイトのフックが大量に見つかっている。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia:ベルムナイト 北海道大学:被災地の化石が古代生物の進化の歴史を塗り替えた


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