太陽フレアを予測し、回避せよ!
 11月。はやくもクリスマスのイルミネーションが、街を美しく飾りはじめた。気温も10℃を下回る日もあり、着実に冬の足音が聞こえてくる。これから年末、クリスマスとともに話題になることとして、マヤの予言がある。2012年の12月21~23日にかけて1つの区切りを迎える。そのときに何かよくないことが起きるのではないかという、終末思想と結びついたものだ。

 今の時代、確かに先が見えない不安がある。天変地異が起きるとしたら、その一つに太陽嵐(フレア)がある。それは、太陽フレアが放出するエネルギーが地球の磁場を混乱させ、強力な電流によって高圧変圧器が故障し、電力網が停止する可能性である。もし、そのような大惨事が起これば、被害額は「最初の1年間で1兆~2兆ドル」にのぼり、「完全復旧には4年~10年」を要すると米国では予測している。

 むろんこれは、地球全体に及ぶ被害のごく一部にすぎない。実際、1989年の極大期には、激しい磁気嵐がカナダのケベック州の電力システムを破壊し、9時間にわたって停電。600万人に影響し、復興に数ヵ月を要したという。もし事前に太陽嵐(フレア)の発生を予測できれば、何らかの対策が打てるのだが、そんなことは可能だろうか?

 今回、名古屋大学太陽地球環境研究所の草野完也教授を中心とする東京大学、京都大学の研究チームが、地球規模での大停電や電波障害などの影響を及ぼす太陽表面の爆発現象「太陽フレア」は、前兆として2種類の特殊な磁場構造が出現し、その数時間後に発生することを発見した。


Solar storm

 この成果は、スーパーコンピュータを使った数値実験や人工衛星の観測データの解析によって発生のメカニズムをつかんだもので、フレア発生の予測など、正確な宇宙天気予報の実現にも貢献が期待される。

 太陽フレアの発生は、黒点の周辺に蓄積された磁場エネルギーの一部が、太陽コロナのプラズマエネルギーとして突発的に解放される現象として考えられているが、詳しいメカニズムは解明されていない。そのため、太陽フレアが「いつ」「どこで」「どれ程の規模」で発生するかを、正確に予測することはこれまで困難だった。


 ねじれた磁場「反極性型」と「逆シア型」で発生
 研究チームは、太陽表面における「大規模な磁場のねじれ」と「小規模な磁場の変化」の相互作用を通して太陽フレアが発生するとの仮説を立て、海洋研究開発機構(JAMSTEC)にあるスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を使って、100通り以上の異なる磁場構造についての太陽フレア発生の有無を調べた。その結果、ねじれた磁場の中に「反極性型」と「逆シア型」の2種類の特殊構造を持つ小規模な磁場が存在したときに、太陽フレアが発生することが分かった。さらに発生する太陽フレアの規模は、大規模な磁場のねじれが強いほど大きくなることも明らかとなった。

 この検証のために、太陽観測衛星「ひので」が観測した2006年12月13日と11年2月13日に発生した太陽フレアのデータを解析したところ、地球シミュレータで予測した2種類の磁場構造が太陽表面に現れた数時間後に、それぞれの領域で太陽フレアが発生したことを確認した。また過去に観測された複数の太陽フレアも、予測に一致する磁場構造を伴っていた。

 今回の研究は、太陽フレアの発生条件となる磁場構造を世界で初めて特定したもので、太陽磁場の観測を通してフレアの発生を数時間前に予測することも可能になるという。

 太陽フレアは、巨大なものになると水爆100万個分のエネルギーを一度に放出し、強力なエックス線や粒子線、巨大な衝撃波などを生成する。その影響は地球上の電力網や通信、放送などの機器系統の故障ほか、人工衛星の機能障害、宇宙飛行士や航空機の乗員乗客らの健康被害にも及ぶことが指摘されている。実際1989年には巨大な太陽フレアによる磁気嵐で、カナダ・ケベック州で大停電が発生し、600万人が被害を受けたという。

 今回の研究は、科学研究費補助金基盤研究「太陽フレア・トリガ機構の解明とその発生予測」の支援を得て行われた。研究成果は米国天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」(11月20日号)に掲載される。(名古屋大学プレスリリース)


 太陽嵐(フレア)とは何か?
 太陽嵐(solar storm)とは、太陽で非常に大規模な太陽フレアが発生した際に太陽風が爆発的に放出され、それに含まれる電磁波・粒子線・粒子などが、地球上や地球近傍の人工衛星等に甚大な被害をもたらす現象である。

 太陽は、太陽黒点数の変化周期である約11年のほか、約200 - 300年などのいくつかの活動周期を持つと言われている。最も顕著なのは11年周期であり、およそ11年ごとに、活動が活発な極大期とそうでない極小期とを繰り返す。極大期には、人工衛星に搭載される電子機器などに被害をもたらすような強い太陽フレアが発生することがある。

 また、強い磁場、高密度のプラズマを伴った太陽風が磁気圏に衝突することで、強い電気エネルギーが磁気圏内に生成され、それが原因となって地上にも被害をもたらすことがある。太陽活動に関する研究が発展した近年、この太陽フレアによって地上に大きな影響がもたらされることも考えられるようになり、「太陽嵐」と呼ばれている。

 太陽フレアのことを一般的に太陽嵐と呼称する場合もあるが、ここでは主に大規模な被害が懸念される格段に強い太陽フレアについて記述する。過去に発生したと推定されている太陽嵐は以下のとおりである。

 1859年の太陽嵐 非常に激しいCMEが発生、18時間足らずで地球に到達し現在でも史上最大とされる規模の磁気嵐を発生させた。まだ普及途中であった電信機器は回路がショートし火災が発生した。

 1958年 激しい太陽フレアとCMEが発生。アラスカのフェアバンクスでは非常に明るいオーロラが観測され、メキシコでも3度に渡ってオーロラが観測された。

 2003年11月4日 観測史上最も激しい太陽フレアは2003年11月4日のもので、人工衛星や惑星探査機に影響が及び、国際宇宙ステーションでも念のため避難が行われた。しかし、被害は限定的で一時的なものであった。この観測史上最大の太陽フレアはX28であったが、これをはるかに凌ぐ規模の太陽フレアが発生する可能性が指摘されている。(Wikipedia)


 今後発生が予想されている太陽嵐
 地球上の海水が熱塩循環という大循環をしているように、太陽内部でも、磁気を帯びたガスがベルトコンベアーのように循環をしていると考えられている。この循環は40年程度で太陽内部を一巡するが、この長さが約30年-50年程度と前後する場合がある。速くなっている場合は、多くの磁力線が閉じてエネルギーが蓄積されていることを意味し、近い将来磁力線が開いてエネルギーを解放する可能性が高いと考えられている。この解放の周期は約50年周期で、かつ、太陽磁場が反転して磁力線が大きく動く極大期(11年周期)に合わせて発生する。

 近年循環が早かったのは1986年-1996年であり、その直後の2000年の極大期には解放されなかったため、次の極大期に太陽嵐が発生する可能性があるとされている。もし発生すれば、前回太陽嵐の被害が現れた1859年や1958年などと比べても、人工衛星が格段に増え、電気が生活を支え、電気製品や電子機器があらゆるところに利用されている現在、生活の末端から社会全般までの色々な場所に影響が及ぶ可能性も指摘されている。被害については未知数な点が多いが、仮に1859年と同レベルの太陽嵐が発生すれば、全世界で2兆ドル規模の被害が発生するとの試算がある(アメリカ研究評議会 (NRC) 、2008年)。

 2010年6月、NASAは「次の太陽嵐が2013年5月頃に発生する可能性がある」という見解を発表した。ただ、2008年から始まった第24周期の黒点数の推移は、2009年のNASAの予想によれば1928年に近いものになり80年ぶりの少なさになると考えられている。なお、さらに遡って2006年の時点では、第24周期は第23周期と同等の活動レベルであり、第25周期で大きく活動が低下すると考えられていた。

 いずれにせよ、近年は約11年周期である太陽活動周期が長期化してきている。第23周期終盤の黒点数極小期は2007年末から始まったが、その後2008年1月に黒点磁極分布が反転して第24周期に突入してもしばらく活動は低迷し、極小期が当初の予想より大幅に長引いた。一時期は黒点数がほとんどゼロとなり、太陽風や放射照度も精密観測が始まった過去約1世紀で最低のレベルを記録した。2009年7月初旬には活動が活発化し始めたが、今回の谷と谷の間の周期は約13年と大幅に伸びていて、過去同様に周期が伸びた時期には寒冷化する傾向にあることから、小氷期の到来を懸念する声がある。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia:太陽嵐 名古屋大学太陽地球環境研究所:太陽フレアの発生原因となる磁場構造を解明


太陽の科学―磁場から宇宙の謎に迫る (NHKブックス)
クリエーター情報なし
日本放送出版協会
徹底図解太陽のすべて―輝きのメカニズムから,地球環境への影響まで (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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