猛威をふるうノロウイルス
 ノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎が猛威をふるっている。原因とみられるのが新たに検出された「変異型」のノロウイルス。感染力が強いとされるこの「変異型」が、東京、大阪など、16の都道府県に広がっていることが確認された。

 全国的に猛威をふるいはじめているノロウイルス。感染すると下痢やおう吐、発熱などの症状が現れる。通常は3日以内に回復するが、体力の弱い幼児や高齢者は死亡する場合があるため、注意が必要だ。

 「1日大体20~30人、日によってはもっとたくさんの患者が来る。例年のおそらく1.5倍から2倍ぐらいの患者がいると思う」(杉並堀ノ内クリニック 粂川好男小児科院長)

 東京都によると、263か所の医療機関で、主にノロウイルスが原因で、感染性胃腸炎になった患者数を調査した結果、先月26日から今月2日までの1週間で6210人にのぼっている。これは去年のおよそ2倍、3年前のなんと8倍の患者数。

 福岡市でも10月ごろから急激に患者が増え始めたという。「少し例年より早いような気がします」(下村小児科医院 下村国寿院長)この小児科医院では、待合室が、おう吐や下痢を訴える子供たちでいっぱいになる日もある。


Norovirus

 「保育園に通っているんですけど、昼間に2回おう吐して、けさから下痢を2回くらい」(母親)診断の結果、ほとんどがノロウイルスによる感染性胃腸炎。

 大分市の病院でも10月ごろから患者が増え始め、最近は1日の受診患者の半数にあたるおよそ120人が、ノロウイルスによる感染性胃腸炎だという。「子どもや高齢者は脱水症状に陥りやすい。(イオン飲料などを)1口飲んでは胃やおなかを休める。ゴクゴク飲むとまた吐いてしまうおそれがある」(大分こども病院 藤本院長)

 愛知県ではこの時期の感染性胃腸炎の報告数が、去年に比べて4倍になっている。「吐いたり、下痢をしたり。上に長男もいるんですけど3人連続で(感染)」(母親)

 新潟県では上越市の小学校で、給食の餅菓子を食べた児童440人あまりがノロウイルスに感染。被害が拡大していることから先週、「食中毒発生注意報」を発令した。


 遺伝子変異した、ノロウイルスGII/4型
 冬に流行するノロウイルス。感染力が非常に強く、ウイルスがついた手や食べ物などを介して口から感染し、激しいおう吐や下痢を引き起こす。健康な大人の場合は、数日で回復するが、子どもやお年寄りなどでは脱水症状を起こして重症化したり、吐いた物をのどに詰まらせて窒息し死亡したりするおそれがあり注意が必要だ。

 実はこれらの患者数増加の原因とみられているのが、感染力の強い新しいタイプのノロウイルス。「今回流行しているノロウイルスの多くが、これまで見つかっていないタイプの新しい変異を起こしたウイルス」(国立医薬品食品衛生研究所 野田衛室長)

 10月、新潟県長岡市の2つの福祉施設で起きたノロウイルスの集団感染。患者を調べた結果、変異型のウイルスが見つかった。このウイルスは、2006年に大流行したGII/4と呼ばれるタイプの遺伝子が変異したものだという。

 「新しいウイルスということで、多くの人が抗体がないため、感染しやすくなっている」(国立医薬品食品衛生研究所 野田衛室長)

 これまでに変異型のウイルスは北海道や東京、沖縄など16の都道府県に広がっていることが確認されている。2006年の大流行も、こうした遺伝子の異変がきっかけと見られている。

 「今回見つかった変異はそんなに大きい変異ではないが、変異が流行拡大につながる危険性は否定できない。今後も注意が必要」(国立医薬品食品衛生研究所 野田衛室長)(TBSnews 2012年12月11日)


 ノロウイルスとは?
 ノロウイルス(Norovirus)は、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種である。カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や吐瀉物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。

 「NV」や「NoV」と略される。日本ではかつて「お腹の風邪」と呼ばれていた。ノロウイルスはヒトに経口感染して、十二指腸から小腸上部で増殖し伝染性の消化器感染症(感染性胃腸炎)を起こす。毒素は分泌せずに十二指腸付近の小腸上皮細胞を脱落させ特有の症状を発生させる。死に至る重篤な例はまれであるが、苦痛が極めて大きく、稀に十二指腸潰瘍を併発することもある。特異的な治療法は確立されていない。感染から発病までの潜伏期間は12時間~72時間(平均1~2日)で、症状が収まった後も便からのウイルスの排出は1~3週間程度続き7週間を越える排出も報告されている。年間を通じて発症するが、11~3月の発症が多く報告される。

 2007年5月に報告された厚生労働省食中毒統計による2006年の食中毒報告患者数は、71%がノロウイルス感染症である。ヒトへの感染に於いては血液型で感染率に差があり、血液型抗原であるH(O), A, Leb型抗原に吸着されやすい事から、O型は罹患しやすくB型は罹患しにくいことが報告されているが、これはウイルス株の各遺伝子型によって様々であることが明らかになっており、日本も含め世界中で流行しているGII/4遺伝子型株などは、H(O), A, Bの全てを含む多様な抗原に吸着されやすい事が判明している。ヒト以外では発症しないとされ、発症機序を含め十分に解明されていない。


 症状と感染経路
 主な症状は、嘔吐・下痢・発熱で、症状には個人差があるが、主な症状は突発的な激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、悪寒、38℃程度の発熱で、嘔吐の数時間前から胃に膨満感やもたれを感じる場合もある。これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもない。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、死亡した例(吐瀉物を喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されている。

 また感染しても発症しないまま終わる場合(不顕性感染)や風邪症候群と同様の症状が現れるのみの場合もある。一般に「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それらが実はノロウイルスによる感染症の可能性も低くはなく(エンテロウイルス等の他の原因もある)、単なる風邪ではない場合がある。これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されているため、注意が必要である。

 ノロウイルスによる感染症は経口感染が原因で、その感染経路から以下に大別できる。
1.飲食物からの感染(感染型食中毒):  a. 食中毒:ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して感染。 b. 水系感染:水道水、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲み感染。
2.ヒトからヒト: c. 感染者の糞便や吐瀉物から手指を介して感染。 d. 感染者の糞便や吐瀉物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から空気感染。(飛沫感染或いは塵埃感染とも呼ばれる) e. 感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べ感染。(Wikipedia)


 感染予防、一番の対策は手洗い!
 激しいおう吐や下痢を引き起こすノロウイルスなどの感染性の胃腸炎の患者が、ことしは、この5年間で最悪のペースで増えている。大阪の病院では、入院患者など48人が下痢やおう吐の症状を訴え、入院患者2人が死亡し、複数の患者からノロウイルスが検出されたことが、4日、明らかになるなど、子どもやお年寄りが集まる保育所や高齢者施設などでの集団感染も相次いでいる。では、感染を予防するためには何に注意すればよいのか?専門家は「手洗い」と「消毒」が大切だと指摘している。専門家が指摘するポイントをまとめた。

 手洗い: 爪を短く切ったうえで、石けんを十分に泡立てて、ブラシなど使って指の間や爪まで入念に洗いよくすすぐことがポイント。帰宅した時や、調理をする前、食事の前、トイレのあと、それに、感染した家族がおう吐したものの処理やオムツ交換をしたあとなどには、丁寧に手洗いすることが大切。

 消毒: ノロウイルスによる感染症の場合、おう吐物や便にはウイルスが大量に含まれていて、感染源となりうるので、十分注意して処理する必要がある。12日以上前に、ノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて感染が起きたケースも報告されており、専門家は感染が広がる前に早く処理するよう呼びかけている。

 ノロウイルスは塩素系の消毒剤や家庭用の漂白剤でなければ、効果的な消毒はできない。おう吐物などを処理する場合、使い捨てのマスクや手袋をしっかり着用し、ペーパータオルや雑巾などでふき取り、水ぶきしたあと、消毒する。処理につかった手袋などは、すべて袋に密封して廃棄する。おう吐物などで汚れた衣服は、マスクと手袋をしたうえで水洗いし、さらに消毒する。

 いきなり洗濯機で洗うと、洗濯機がウイルスで汚染され、ほかの衣類にもウイルスが付くので、避ける。感染した人が使った食器やタオル、それに衣類などもほかのものと分けて洗ったうえで、塩素系の消毒剤に浸し、消毒する。

また、食べものを通じて感染する場合も多いため、特に子どもやお年寄りなどは加熱が必要な食品は十分に加熱して食べるよう呼びかけている。加熱の目安は、85度以上で1分以上。調理器具なども使ったあとは洗って、塩素系の消毒剤に浸すか、85度以上の熱湯で1分間加熱し、消毒する。

専門家は、「ノロウイルスの感染を防ぐためには、こうした予防策をひとつひとつ徹底するしかない」と話している。過去5年で最大の流行となっているノロウイルス。自分のためにも家族のためにも、手洗いと消毒を徹底しよう。(NHK 2012年12月5日)


参考HP Wikipedia:ノロウイルス ノロウイルスの予防法と基礎知識:ノロウイルス感染経路

改訂ノロウイルス現場対策―その感染症と食中毒 つけない・うつさない・持ち込まない
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幸書房
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