“宇宙の始まり”への挑戦
 宇宙の果てはどうなっているのだろう?宇宙の始まりはどうなっていただろう?…これは現在も探求が続けられている、天文学の最大テーマの一つである。

 2012年4月24日、国立天文台などの研究チームは、すばる望遠鏡(米ハワイ島)を使った観測で、これまでで最も遠い127.2億光年先に、銀河が集まる銀河団を見つけたと発表した。約137億年前の宇宙誕生から10億年に満たない時期の「原始銀河団」の発見は、宇宙の構造が形成される過程を解明する手掛かりになった。

 今回、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、137億年前のビッグバンから数億年後の“宇宙の夜明け”に誕生した、7つの銀河の姿を撮影するのに成功した。発見したのは米カリフォルニア工科大や東京大、米航空宇宙局(NASA)などの国際チームで、12月12日に発表した。

 最も古いものはビッグバンから3億8千万年後にできた。7つの銀河の形成時期には2億年以上の幅があり、研究者は「宇宙の温度が冷えて最初の星々が生まれた夜明けの時期を経て、一度にではなく徐々に銀河がつくられたことが確認できた」としている。

 チームには欧州宇宙機関(ESA)も参加。今年8~9月にハッブル望遠鏡の能力を最大限に使って、宇宙の限られた領域を集中的に観測した。撮影できた遠くの7つの銀河について光の波長成分を分析した結果、ビッグバンが起きた3億8千万~6億年後に形成されたと推定した。(共同)


Hubble Ultra Deep Field

 原始銀河団としては、2005年にすばる望遠鏡が発見した126.5億光年が最も遠いとされていたが、2012年4月に127.2億光年。今回のものは133.2億光年と観測するたびに宇宙の始まりに近づいていく。人類はやがて最初に輝いたとされる恒星「ファースト・スター」まで観測できるようになるのだろうか?

 宇宙で最初の星や銀河を発見することは、天文学の最大テーマの一つ。NASAはハッブルの後継となるジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を開発しているほか、日本の国立天文台を含む国際研究グループは次世代超大型望遠鏡「TMT」をハワイ・マウナケア山に建設する計画を検討している。


 “宇宙の夜明け”が見えた?
 ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、宇宙の歴史を130億年以上さかのぼった時代の銀河が7個発見された。初期宇宙の銀河をまとまった数で観測できたのは初めてのことで、銀河の数の統計的なデータから、今につながる宇宙の重要イベント「再電離」を探る有力な手がかりが得られたことになる。

 ハッブル宇宙望遠鏡の近赤外線観測から、130億年以上前の宇宙に存在する銀河が7つ見つかった。これらの銀河は137億年前の宇宙誕生から3億5000万~6億年後のものと見られる。その1つはわずか3億8000万年後という、これまでに発見された銀河のうちもっとも遠くのものかもしれない。

 こうした初期宇宙における銀河をまとまった数で観測できたのは初めてのことで、宇宙の歴史をさかのぼるにつれて銀河の数が減るという推測に沿う結果となっている。このことは、この時代の銀河が徐々に集まって、宇宙誕生から数億年後にその放射で「再電離」が起こったとする説を裏付けるものだ。再電離とは、宇宙誕生後初めて作られた中性水素原子が、銀河などからの紫外線で再び電子と陽子に分けられ(電離し)、宇宙の暗黒時代が終わりを告げたという、宇宙の歴史における一大イベントである。

 初期の銀河に含まれる恒星の放射がこの電離を起こすにじゅうぶんなものだったかどうかは、これまで議論の的になってきた。今回の研究からは、再電離は数億年以上も続き、銀河はゆっくり星や物質を生み出していったと考えられる。一瞬の劇的なイベントではなく、長期間のゆるやかなプロセスだったということだ。

 この研究成果は、米カリフォルニア工科大学のRichard Ellisさんが主導するハッブル宇宙望遠鏡の超遠方観測プロジェクトによるもので、今年夏に空の特定の一区画を6週間かけて観測し、その一連の研究成果の最初のものとして発表された。

 HubbleSiteのYouTubeチャンネルでは、日本時間15日午前3時からこの発表に関するWebセミナーが放映された。(2012年12月14日 HubbleSite)


 宇宙の始まりと宇宙の構造
 観測によれば、宇宙はおよそ137億年前に誕生した。それ以来宇宙は3つの段階を経過してきている。未だに解明の進んでいない「最初期宇宙」は今日地上にある加速器で生じさせられるよりも高エネルギーの素粒子からなる高温の状態であり、またほんの一瞬であったとされている。そのためこの段階の基礎的特徴はインフレーション理論などにおいて分析されているが、大部分は推測からなりたっている。

 次の段階は「初期宇宙」と呼ばれ、高エネルギー物理学により解明されてきている。これによれば、はじめに陽子、電子、中性子そして原子核、原子が生成された。中性水素の生成にともない、宇宙マイクロ波背景が放射された。そのような段階を経て、最初の恒星とクエーサー、銀河、銀河団、超銀河団は形成された。(Wikipedia)

 今回発見されたのは、これまでで最も遠い、133.2億光年という距離の銀河である。数千万~数兆個という恒星が集まって銀河は成り立っており、これらの銀河が数十~数千個集まって銀河団が形成されている。

 銀河団がいくつか集まって超銀河団が形成され、超銀河団が連なりさらに大きな構造(銀河フィラメント)を形作る。その間にはほとんど銀河の見られない超空洞(ボイド)があることもわかってきた。観測可能な銀河は、少なくとも1700億個存在する。


 宇宙最初の星「ファースト・スター」
 宇宙最初の恒星を「ファースト・スター」という。宇宙の年齢は現在137億歳であると考えられている。星や銀河が光輝く美しい宇宙の姿になるにはそれほどの長い年月が必要だったようだ。

 誕生してから数億年の頃までの時期は宇宙の「暗黒時代」と呼ばれ、これまでどのような波長でも観測がなされていない。つまり、この時代を伝える「光」をわれわれはまだ捉えることができておらず。その様子を知ることができないでいるのである。最初の数億年の間、星や銀河などが生まれる前の宇宙には、ガスと暗黒物質が薄く漂い、それにビッグバンの名残である弱い電磁波が飛び交うだけで、文字通り暗黒の宇宙だったと考えられる。

 暗黒宇宙に光を灯したのは、宇宙に生まれた最初の星「ファースト・スター」である.ファースト・スターの誕生により暗黒宇宙は終焉し、やがて光輝く銀河宇宙へと変貌をとげていく。

 ファースト・スターが誕生したのは宇宙創成から3億年ほど経った頃である。計算では宇宙の平均的な場所を仮定したが、所によって多少の差があるため、宇宙の一番星が光り出したのは1億~3億年の頃というのが妥当であろう。いずれにせよ137億年の宇宙の進化史のかなり早い段階であることになる。次に、原始星(生まれたばかりの星)の質量は太陽の100分の1程度であった。

 中心温度は絶対温度1万度を超え、また密度は1cm3 あたり0.001g 程度、ちょうど空気と水の密度の間くらいに相当する。まわりには大量の温かいガスが存在し、それらが中心にむかって落ち込んでいくため、この小さな星の種はすぐに成長し、巨大な星になると考えられる。実際に3次元シミュレーションから得られたガスの降着率を用いて、原始星進化の詳細な理論計算をおこなったところ、最終的には質量がおよそ太陽の100倍以上にもなることがわかった。どうやら初期宇宙の星は小さく生まれて大きく育つようだ。

 質量が太陽の100倍というのは明るさでは太陽の百万倍以上にもなる.宇宙がまだ数億歳という若さの時に、このようなとても明るいファースト・スターが闇を照らし出し、暗黒時代に終わりを告げたのだろう。吉田直紀(東京大学数物連携宇宙研究機構)


参考HP Wikipedia:銀河 国立天文台:すばる望遠鏡が見つけた宇宙最遠方の銀河団

始まりの科学 宇宙、銀河、太陽系、種、生命、そして人類まで (サイエンス・アイ新書 36)
矢沢サイエンスオフィス
ソフトバンククリエイティブ
銀河―宇宙に浮かぶ不思議な天体 ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた驚きの宇宙
沼澤 茂美,脇屋 奈々代
誠文堂新光社

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