黄金の国ジパングの復活
 2012年12月12日、今年の世相を表す「今年の漢字」に「金」が選ばれた。ロンドンオリッピックの金メダル、山中教授のノーベル賞。金環日食、金星の日面通過など賑やかだった2012年の天文現象を思い出す。

 一方、2012年10月9日、住友金属鉱山は、金を産出する菱刈鉱山(鹿児島県伊佐市)で新たな金鉱床を発見したと発表した。埋蔵量は約30トン、時価1300億円相当とみられ、2018年から採掘を始める。

 新鉱床は、これまで採掘していた場所より深い場所で発見された。採掘作業には総額約32億円を投資。今年11月から新しい坑道を整備し、採掘の障害となっている温泉水をくみ上げるポンプも設置する。

 菱刈鉱山は1985年から採掘を開始。これまでに計約200トンの金を産出し、国内の金産出量の9割以上を占める。新鉱床以外にも約150トンの埋蔵を見込んでいる。菱刈鉱山は、現在日本の金の産出量日本一の鉱山。資源の乏しい日本。ここで新しい鉱床が見つかったことはよいことだ。

 不景気の続く日本。日本の将来が不透明だが、かつては「黄金の国ジパング」と呼ばれた国。資源はなくとも、あらゆる分野で、金メダルのような活躍をして、すばらしい国にしていこうではないか。

 ところで、金の鉱床はどうやってでき、どうやって発見するのだろう?


Hebinonegoza_Yabumurasaki

 金鉱床のでき方
 常温では金は水に溶けないのだが、地下のマグマの熱と強い圧力のもと、300℃以上に熱せられた地中深くの熱水により、鉱物から溶かし出される。熱水は地表に向けて上昇しながら、圧力や温度の低下により沸騰し、また、化学反応を起こし、200~250℃で金や銀を石英と共に吐き出す。

 これが地層の割れ目にたまったり、鉱物にしみ込んだりして、海底に噴き出してくる。このようにしてできた岩石の金の含有量は普通の岩石の数千倍以上になっている。こうしてできた金鉱石が浸食されて砂金になったり、堆積した地層も見られる。

 菱刈金山(鹿児島)の金鉱脈は、500万年前より後の火山活動でできたもの。それは、地下のマグマが基盤岩を押し上げた際にできた割れ目に沿って、金を含んだ高温の熱水が地表近くまで上昇し、石英と共に金が沈着して形成された、浅熱水鉱床と言われている。この熱水は地表にまで達していて、このため金鉱のすぐ上の安山岩が、熱水で粘土質に変質したり、鉄分が変化している。

 菱刈の金鉱脈の先端は、標高80~120mにあって、金の平均含量が80ppm(普通は6ppm以下)、予想採鉱可能な金含量が120トンという高品位の金鉱脈で、佐渡金山(新潟)の金鉱床の総生産量77トンを上回るということで、大きな話題となった。ppmは100万分率(1ppmは100万分の1)。

 その後、1997年(平成9年)5月31日に、1985年(昭和60年)の操業開始からの金の生産量が83.1トンに達し、1601年(慶長6年)~1989年(平成元年)まで操業した、佐渡金山の83トンを抜いて、金の産出量が日本一となり、2003年(平成15年)3月末には、128.8トンに達した。

 また、菱刈金山は、鉱石1トン中の金含量は約40グラムで,現在操業中の金鉱山では,世界一の金品位で、埋蔵推定量は260トンと言われている。


 金鉱床の見つけ方
 ところで、金属鉱床の探査に植物を利用する例として、古くから金属鉱脈を探査するとき、山師の間では金山草(かなやまそう)と呼ばれ、その目印としたシダ植物、ヘビノネゴザは、よく知られた指標植物である。

 1987年(昭和62年)頃、西村和雄氏(京都大学農学部農芸化学教室、1945~ )は、金属鉱業事業団の依頼を受け、菱刈金山の鉱脈を中心に、東西3km、南北4kmの調査区域を設け、そこに生育している植物の葉に含まれる金を含む約30元素を中性子放射化分析し、金鉱脈の存在を特定できるか検討した。(西村和雄氏(ホームページ):http://www.daikian.com/h-kazuyan.html.)

 採集の対象とした植物は、ススキ、カンザブロウ、ヤブツバキなど6種類、シダ、単子葉植物各1種類、双子葉の木本植物4種類。その結果、2種類の植物(ヤブムラサキ、ホソバカナワラビ)の金含量(10~36ppb)が他の植物より非常に高く、金鉱脈の位置とほぼ一致していることを明らかにした。ppbは10億分率(1ppbは10億分の1)である。

 植物による金の取り込みについては、プラム(スモモ?)の類は根から青酸化合物を分泌するので、これが金と錯体を形成し、金が可溶化するという報告もあるが、菱刈金山のヤブムラサキとホソバカナワラビがそれと同じように青酸を分泌しているかは不明。なお、外国には、金を取り込む植物として、チェコスロバキアのイヌスギナ(Equisetum palustre)、ブラジルのガマ(Typha latifolia)などが知られており、組織中にシアン配糖体を含み、金をシアン化物(青酸化合物)として取り込んでることが確かめられている。

 菱刈鉱床は世界有数の「金」鉱床で、その埋蔵量は約250トンと推定されているが、これを見つけた当時の金属鉱業事業団(現在の石油天然ガス金属鉱物資源機構、JOGMEC)では1987年から植物を用いた「植物地化学探査」を行ってきており、その広報HP上でも、植物地化学探査ではヤブムラサキが金鉱床指示植物として有効であると明言している。


参考HP サイエンス(科学)から眺める歴史散歩の話題:菱刈金山の金鉱床と金集積植物

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南アフリカ金鉱業史―ラント金鉱発見から第二次世界大戦勃発まで
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