ヘリウム、世界的に供給不足
 ヘリウムとは何だろう?無色、無臭、無味、無毒で最も軽い希ガス元素である。すべての元素の中で最も沸点が低く、加圧下でしか固体にならない。太陽は水素の核融合でヘリウムを大量につくっている。存在量は水素に次いで宇宙で2番目に多い元素である。

 宇宙では大量に存在するヘリウムガスが、世界的な供給不足に陥っている。地球上では、ヘリウムは天然ガスに混ざって豊富に産出する。ところが、世界生産の7割超を握る米国で大規模ガス田の設備トラブルが相次ぎ、供給量が急減。

 東京ディズニーリゾートなど有名テーマパークでは、子どもたちに人気のキャラクター入りのバルーン(風船)が販売中止になった。ヘリウムガスは風船などのほか、半導体や医療機器といったハイテク製品にも幅広く活用されており、供給不足が長引けばさまざまな産業や生活に影響が広がる恐れがある。

 ヘリウムは工業的には生産できず、世界5カ国の天然ガス田からしか産出されない「希少資源」だ。中国など新興国での需要拡大に伴い、ここ数年、ヘリウムの供給不足が慢性化していた。「希少資源」であるヘリウムは世界の需給構造のタイト化が恒常的になり、価格の高騰が続いている。

 このように、貴重なヘリウムであるが、12月20日東京大の研究チームは、1リットルに換算するとわずか2グラムという、世界でもっとも軽い液体ヘリウムを発見したと発表した。ヘリウムというと通常は気体だが、どういうことだろう?


 1リットルで2グラム…最も軽い液体を発見
 研究成果は米物理学会誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。ヘリウムの一種である「ヘリウム3」が特殊な条件下で液体になったもので、これまで世界でもっとも軽いと考えられてきた液体水素の30分の1の軽さだという。

 気体状の物質は一般的に、温度を下げると液体になり、さらに下げると氷のような固体へと変化する。しかし、通常のヘリウムよりも軽いヘリウム3はこれまで、原子1個分の厚みしかない平面状の層の中に閉じこめると絶対零度(氷点下約273度)まで冷やしても気体のままだと考えられてきた。今回、研究チームが実際に、平面に閉じこめて温度を下げたところ、絶対零度近くで、密度が非常に低く、軽い液体に変わったのを確認したという。(2012年12月23日09時31分 読売新聞)

 今回のヘリウムは、ヘリウム3という、ヘリウムの同位体を使い、絶対零度-273℃まで温度を下げた結果、液体が得られた。では、ヘリウム3とは何だろう?

 ヘリウム3の原子核は、陽子2個と中性子1個からなり、通常のヘリウム原子(陽子2個・中性子2個)より軽い安定同位体である。ヘリウム3は核融合のD-D反応、陽子-陽子連鎖反応の際に発生する。また三重水素の娘核種であり、3Hのベータ崩壊により生成する。

 ヘリウム3は地球の大気中ではヘリウム4の100万分の1しか存在しない。しかしながら太陽大気中には0.0142%の同位体比で存在し。このため月面の岩石からヘリウム3の採掘を試みる研究も行われている。

 これは太陽大気中には宇宙の初期においてビッグバン原子核合成の結果生成したヘリウム3が蓄積しているのであるが、地球大気では地球創成期に存在していたヘリウムがほとんど宇宙空間に逸散し、現在の地球大気中に存在するヘリウムは大部分が岩石中のトリウムおよびウランなどのアルファ崩壊の結果生じたものであるためである。一方、月面においては太陽風から供給されるヘリウム3が蓄積している。

 1995年に探査機ガリレオが木星大気に測定用プローブを突入させ、大気を質量分析計で測定した結果3Heと4Heの比率は約1:10,000であった。


 地球になくて、月に大量に存在する、有望なエネルギー源
 月に豊富にあるといわれているヘリウム3。地球での電力消費量、数千年分に匹敵するエネルギー源になるという。どのようにして使うのだろうか?

 ヘリウム3(ヘリウム・スリー)は、ヘリウムという元素の中で、ちょっとだけ中身が違うもの(同位体元素)。ヘリウムは、元素の中では水素に次いで軽いもので、原子番号は2番でこれまた水素の次である。地球上にはあまりありませんが、例えば風船の中に入っていたり、吸うと声が変わるガスとして、皆さんにもなじみがあるかと思う。

 ヘリウムは地球にはあまりないが、太陽の中にはたくさんある。(そもそも、ヘリウムというのはギリシャ神話の太陽神「ヘリオス」にちなんで名付けられた)。このヘリウムは、太陽の中で水素が核融合反応を起こしてできたものだ。

 核融合反応とは何だろうか?太陽は地球の33万倍もの体積を持っている、巨大なガスの球。これだけ大きなものになると、中心の圧力はたいへん大きなものになる。

 また、それだけの物質が上にあるため、中心部ではものすごい重力エネルギーも生まれる。太陽の中心は1500万度という温度になるといわれており、高温・高圧の中で、水素の原子がくっついてヘリウムになるという反応が起きる。このときに膨大なエネルギーが生まれて、それによって太陽が輝いている。

 さて、この太陽の中の核融合反応で、ヘリウム3ができる。このヘリウム3は、太陽風(太陽から流れてくる粒子の流れ)に乗って、月へ届く。月には大気がないので、ヘリウム3は月の表面の砂(レゴリス)に吸着される。月ができてから45億年の間に、太陽からのヘリウム3は月の表面の砂にずっと吸着され続けてきたと考えられている。


 ヘリウム3は夢のエネルギー
 ところで、ヘリウム3それ自体も、核融合反応の材料になる。ヘリウム3と、水素の一種である重水素がくっつく(核融合する)と、ヘリウム4(普通のヘリウム)と陽子になる。このときに飛び出す陽子が膨大なエネルギーを発生させる。

 このような核融合を、人間の手で行う研究は、日本をはじめ、世界中で進められています。核融合は、原子力(核分裂)に比べて発生できるエネルギーが大きく、また放射能が少ないという特徴がある。

 月に豊富にあるヘリウム3を使えば、どのくらいのエネルギーが得られるのだろうか?

 計算では、月の砂に吸着されているヘリウム3をすべて使えば、現在の世界で使われている電力の数千年分のエネルギーが得られるとされている。また、日本全体の1年間の消費電力をまかなうためには、数トンのヘリウム3があればよいといわれている。ヘリウム3の核融合は他にも利点がある。陽子の運動としてエネルギーを取り出せばよいので、効率がよい。放射性廃棄物や、二次的に出る放射線の量も少なく、その意味ではヘリウム3は「理想の核融合燃料」。

 ヘリウム3は、月の砂を600度以上に加熱すれば得られます。しかし、ヘリウム3は月の砂に均等にごくわずかずつ含まれているだけですので、そのためには膨大な砂を処理しなければならない。

 仮に、ヘリウム3を10トン取り出そうとすると、月の砂は100万トンも必要になってしまう。日本の年間消費電力をまかなうために、月の砂を毎日3000トン近くも処理しなければならない。

 また、いま研究されている核融合に比べて、ヘリウム3の核融合は、必要な温度が高く、技術的にもたいへん難しいとされている。ですから、実用化できるのはもっとずっと先のことになると思う。

 このようにヘリウム3によるエネルギーを使えるのは、まだまだ先の話ではある。しかし、私たちが将来月に進出して、月面基地を作る頃になれば、あるいはヘリウム3による核融合発電で、快適な月の生活を送れるようになっているかも知れない。


参考HP Wikipedia:ヘリウム3 月探査情報ステーションFAQ:月のエネルギー源ヘリウム3とは何か?


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