カエルツボカビが世界的に蔓延
 カエルツボカビ症は、ツボカビの一属一種の真菌カエルツボカビによって引き起こされる両生類の致死的な感染症である。野生の個体群でのこの疾病に対する効果的な対策は存在しない。ただし、カエルの種によって感受性は異なり、アフリカツメガエル( Xenopus laevis )やウシガエル( Rana catesbeiana )は感染しても発症しない。

 この病気は北米西部・中米・南米・オーストラリア東部で劇的な両生類の減少あるいは絶滅を引き起こしてきた。この病気は世界的な両生類の生息数と、世界の両生類種の30%もの種数の減少に関連している。減少のうちいくらかはこの菌によるものと信じられているが、感染に抵抗している種もあり、またいくつかの個体群が感染が低レベルで持続して生き延びていることも報告されている。

 このほど、この感染症を拡散している真犯人が明らかになった。ザリガニだ。いったいどうやってカエルツボカビを拡散しているのだろう?

 この数十年、カエルツボカビによって引き起こされる感染症がカエルなどの両生類の間で蔓延している。300以上の種が絶滅の危機に瀕しており、すでに絶滅してしまった種も多いと考えられる。しかし、体が小さく個体数の少ない種の場合、地上からその姿が消えてしまったことを確認するのは難しい。


Batrachochytrium_dendrobatidis

 「この感染症はひどい事件だ。地球上の生命の歴史において、私たちの知る限りのあらゆる感染症の中で、最もひどい事件だと言っていい」と、サンフランシスコ州立大学の保全生態学者バンス・ブリーデンバーグ(Vance Vredenburg)氏は言う。同氏はカエルを専門としている。

 カエルツボカビは1990年代の終わりに初めて確認された病原菌だ。以来、その拡散やカエルツボカビ症の発症のしくみについて研究が重ねられてきた。


 カエルツボカビ症はザリガニが拡散?
 中でも大きな謎とされてきたのは、カエルツボカビがカエルのいない池でも生息を続けられるしくみについてだ。研究者はそのような事例を何度も目にし、当惑するしかなかった。ある池で両生類が一掃されたとする。しばらくして、カエルなりイモリなりが何匹か帰ってきてその池に住み着いたとしても、その個体もやはり死んでしまう。このカビの宿主となる両生類は、その池にはしばらく存在しなかったにも関わらずだ。

 考えられる理由の1つは、カエルツボカビがほかの生物にも寄生しうることだ。タンパにある南フロリダ大学で生態学を学ぶ大学院生ティーガン・マクマホン(Taegan McMahon)氏は、カエルツボカビの宿主となっている可能性の高い生物種をいくつか観察した結果、ザリガニに的を絞った。この淡水の甲殻類が“容疑者”であるとされたのは、広く分布していることと、カエルツボカビの増殖に利用されるタンパク質のケラチンが、ザリガニの体に多く含まれることが理由だ。

 マクマホン氏が実験室環境でザリガニをカエルツボカビに接触させたところ、ザリガニは感染した。約3分の1の個体は7週間以内に死に、生き残った個体の大部分は保菌者となった。マクマホン氏が感染したザリガニをオタマジャクシと同じ水槽に入れると(ただし網で分離して、ザリガニがオタマジャクシを食べてしまうことはないようにした)、オタマジャクシはカエルツボカビに感染した。また、マクマホン氏らのチームがルイジアナ州とコロラド州の湿地帯で現地調査を行ったところ、カエルツボカビに感染したザリガニが確認された。

 これらのことから、ザリガニはたしかにカエルツボカビの“貯蔵庫”の役目を果たしていることが分かった。カエルツボカビは一時的にザリガニに寄生して生きながらえて、また両生類の体に戻る機会を窺っているらしい。カエルツボカビの正確な起源がどこなのか、なぜ近年急速に問題化しているのか、などといった疑問にはいまだ明確な答えが出ていない。しかし今回の研究によって、その拡散ルートの1つの可能性が示された。ザリガニは魚釣りの餌として使われるので、池から池へと移動させられることがあるし、食用に、あるいは愛玩用に世界中で販売されている。

 今回の研究は、カエルツボカビ症に関する未解決の疑問すべてに回答するものではない。たとえば、ザリガニは一般的な生物ではあるが、どこにでもいるわけではなく、カエルツボカビ症によってカエルが壊滅的な被害を受けた地域の中には、ザリガニがまったく生息していないところもあるとブリーデンバーグ氏は指摘する。それでも今回の研究は「ほかの宿主の可能性について、もう少し広く調べてみる必要がある」ことを示すものだとブリーデンバーグ氏は言う。

 今回の研究は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に12月17日付で掲載された。(Helen Fields for National Geographic News December 19, 2012)


 カエルツボカビ症とは?
 カエルツボカビ症は、ツボカビの一属一種の真菌カエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)によって引き起こされる両生類の致死的な感染症である。野生の個体群でのこの疾病に対する効果的な対策は存在しない。ただし、カエルの種によって感受性は異なり、アフリカツメガエル( Xenopus laevis )やウシガエル( Rana catesbeiana )は感染しても発症しない。カエルツボカビ症は、上記のカエルツボカビが、カエルの体表に寄生・繁殖し、カエルの皮膚呼吸が困難になる病気である。発病すると食欲の減衰が見られ、ひどくなると体が麻痺し、死ぬこともある。

 この病気は北米西部・中米・南米・オーストラリア東部で劇的な両生類の減少あるいは絶滅を引き起こしてきた。この病気は世界的な両生類の生息数と、世界の両生類種の30%もの種数の減少に関連している。 減少のうちいくらかはこの菌によるものと信じられているが、感染に抵抗している種もあり、またいくつかの個体群が感染が低レベルで持続して生き延びていることも報告されている。

 研究室での調査では、この菌は高温ではあまり活動しないとされており、また感染したカエルを高温に晒せば菌を殺せるとも言われているが、素人判断は薦められない。専門家の指導の下、抗真菌薬による治療が望ましい。飼育容器や捕獲に使用した器具や排水の滅菌は、100倍程度に希釈した市販漂白剤(200ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液)に15分つけ置き或いは60℃以上(但し、資料によっては50℃の記述もある)の温水で5分間が推奨されている。

 原因菌は、カエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis)で、1999年に新属新種として記載された。名前はコバルトヤドクガエル (Dendrobatidae azureus) からの分離株が用いられた事に由来する。

 既知のツボカビ門で唯一脊椎動物に感染するとされ、両生類の皮膚で増殖し病原性を顕す。また、無尾目のカエルだけでなく有尾目のサンショウウオ等にも感染することがある。

 カエルツボカビの増殖には蛋白質のケラチンが利用される。カエルのケラチンはオタマジャクシでは口の周囲にのみ存在するが、変態と共にケラチンの分布が増え、それに伴ってカエルツボカビも増える。

 発育に最適な温度は17℃から25℃とされるが高温に弱く、28℃で発育が止まり30℃以上で死滅するが、冷凍では不活化されない。 全国から集められた約5300サンプルを分析した結果、様々な遺伝子型(ハプロタイプ)があることが判明したが、遺伝子型毎の特性の解明は不十分である。また、長期の人工培地による培養は形態の変化を引き起こす。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia:カエルツボカビ症 National Geographic news:カエルツボカビはザリガニが拡散?


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