「はやぶさ2」…あの感動をもう一度
 2003年5月9日、鹿児島県肝付町のJAXA内之浦宇宙空間観測所から「はやぶさ」は打ち上げられた。イオンエンジンの実証試験を行いながら2005年夏にアポロ群の小惑星 (25143) イトカワに到達した。

 2005年11月、イトカワに2回着陸した後、通信が途絶。復旧後の2007年1月、カプセルのふたを閉めて地球への帰路についた。60億kmの旅を終え、地球に大気圏再突入。サンプル容器が収められたカプセルはオーストラリアのウーメラ立入制限区域内にパラシュートを展開して降下、2010年6月14日、無事に回収された。

 数々の困難を乗り越え、7年かけて地球に帰還した「はやぶさ」。光陰矢のごとし、あの感動からもう2年6ヶ月たつ。「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」の打ち上げが2014年12月の予定。ちょうど2年後に迫った12月26日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、開発を進めている小惑星探査機「はやぶさ2」を、相模原キャンパス(相模原市)で初めて公開した。

 プロジェクト責任者の国中均同機構教授は「はやぶさで、世界に先駆けて確立した技法をさらに洗練させる。是が非でも2014年12月に打ち上げたい」と意気込みを見せた。


Hayabusa2

 本体と折り畳まれた太陽電池パネルは、実際に宇宙に行くものが完成したが、観測や運用に使う機器は未搭載で、模擬の重りを取り付けてある段階。ロケット打ち上げ時の振動に耐えられるかの試験や、各種の機器との接続を確認する試験などを実施し、2014年夏以降の完成を目指す。

 はやぶさ2の目標は、有機物や水を含んだ岩石が存在するとみられる小惑星「1999JU3」。2014年に種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げて、2018年に小惑星に到達、地球への帰還は2020年を予定している。

 岩石のかけらを持ち帰り、初期の太陽系の姿や、生命の原材料となった物質を探る方針で、爆薬を使って小惑星に人工クレーターをつくり、風化していない岩石を採取する試みに初挑戦する。

 はやぶさ2は小惑星イトカワから微粒子を採取し、2010年に地球に帰還した「はやぶさ」と基本的な構造は同じだが、はやぶさで故障が相次いだ姿勢制御装置の台数を増やすなど性能を向上させた。(共同 2012年12月26日)


 「はやぶさ2」での変更点…じつは背も伸びた
 「はやぶさ2」は、大きさ1.0m×1.6m×1.25m(本体)、重さ600kg(推進剤込み)の小惑星探査機である。初代の「はやぶさ」と同様にサンプルリターンを目的とした探査機で、打ち上げは2014年12月を想定。帰還は2020年末になる見込みだ。

 今回、公開されたのは、完成した構体と太陽電池パネルに、ダミーウェイトを取り付けたもの。ダミーウェイトは、現在実施している振動試験用に装着されているもので、本来の搭載機器と同じ重さ・重心になるよう作られている。振動試験では、探査機に打ち上げ時の振動を加えて、各部に過度な振動が発生していないかを確認する。初代「はやぶさ」からの主な変更点は以下の通り。

 まず外観で目立つのは、パラボラ型のハイゲインアンテナが、2枚の平面アンテナに置き換わること。このうち1枚は初代と同じXバンド(7~8GHz)用のものだが、もう1枚は周波数が高いKaバンド(32GHz)用のものとなっており、より高速な通信が可能になる。冗長性を確保すると同時に、より多くのミッションデータを送信できるようになる。

 小惑星まで往復するためのカギとなるのが、燃費に優れるイオンエンジン。4基搭載することは変わりないが、1基あたりの推力は8mNから10mNに向上している。初代では、打ち上げ直後に1基が不調になったり、帰還前に中和器の寿命が問題になったりしたが、こうした信頼性や寿命についても改善が図られている。

 注目したいのが新規開発の装置「インパクタ(衝突装置)」だ。この装置は、爆薬の爆発によって2kgの銅製の衝突体(ライナー)を秒速数kmに加速、小惑星表面にぶつけて直径数mの人工クレーターを作るというもの。表面物質は宇宙風化により変質しているのだが、作成したクレーターに着陸すれば、風化前の内部物質のサンプル採取が可能となる。

 「サンプラー(試料採取装置)」については、大きな変更はないものの、サンプラーホーンの先端の内側に爪を追加して、採取量を増やすような改良も行われている。また、弾丸を発射するプロジェクタは3本から4本に増加、サンプルを格納するサンプルキャッチャーの内部は2部屋から3部屋へと部屋数が増えている。

 分離して小惑星に投下する小型ローバーは、初代では「ミネルバ」1台だけだったが(イトカワへの着陸には失敗)、「はやぶさ2」ではこれと同等の大きさのものを3台搭載する(総称として「ミネルバ2」と呼称)。また欧州が開発する小型ランダー「MASCOT」も搭載する予定だ。(マイナビニュース)


 打ち上げまであと2年、待ったなしの開発
 
初代「はやぶさ」は、S型と呼ばれる岩石主体の小惑星が目的地であったが、「はやぶさ2」は有機物や水の存在が期待されるC型小惑星の1999JU3に向かうため、観測装置も変更。「近赤外分光計」や「中間赤外カメラ」などを搭載する。近赤外分光計は初代にもあったが、水の吸収帯が見えるよう観測波長を変えている。

 探査機の構体は同じように見えるが、じつは初代に比べ、大きさは高さ方向に15cm延長されており、重さは100kg近く増える予定。これらの増加分は、前述のような新規開発装置の追加や、初代で発生した不具合の対策などのために割り当てられている。

 「はやぶさ2」の開発はすでに始まっているものの、国の財政状況が厳しい中、開発に必要な予算が満額認められるかどうかは予断を許さない状況で、開発の遅れが懸念されている。打ち上げ時期は2014年12月を想定しているが、もしこれに間に合わなかった場合は、次の打ち上げチャンスは10年後。事実上、プロジェクトの継続は不可能になる。

 C型小惑星からのサンプルリターンには大きな科学的意義があるが、C型が多く存在するのは火星・木星間のメインベルト。地球から遠すぎて、「はやぶさ」クラスの探査機では、往復することができない。ところが1999JU3はイトカワ同様、地球近傍の軌道にある小惑星で、大きさや自転周期も着陸の条件にあう。ほとんど唯一の探査可能なC型小惑星だ。

 「はやぶさ2」のミッションを実現するためには、どうしても1999JU3に行く必要がある。しかし、地球から他天体に向かう場合には、目的の天体の位置や軌道により、打ち上げられる時期は限られる。「はやぶさ2」の場合、これが2014年12月というわけだ。(マイナビニュース)


 地球生命の起源はどこ?
 有機物を含むと見られるC型小惑星。ここを調査する意味は何だろうか?

 地球上の最初の生命はどこで誕生したのだろう。これにはいろいろな説がある。原始地球の海において、海水に溶けた有機物の化学進化を通じて生じたとする化学進化説が、有力な学説とされる。しかし、地球外で生じた生物に由来するという、パンスペルミア説も存在する。

 宇宙から飛来する隕石の中には多くの有機物が含まれており、アミノ酸、糖など生命を構成するものも多く見られる。さらに彗星中のチリにもアミノ酸が存在することも確認されている。ご存じのように、アミノ酸は生物の体を構成するタンパク質の基本物質だ。

 アミノ酸には、立体構造に「右型」と「左型」があり、右手と左手のように、互いに重ね合わせられない。地球の生物は左型のアミノ酸でできているが、これをホモキラリティーという。通常の化学反応では左右ほぼ等量ずつでき、なぜ地球の生物にアミノ酸の偏りがあるのかは大きな謎だ。

 米航空宇宙局(NASA)に所属する宇宙生物学者のDaniel Glavin氏とJason Dworkin氏がPNASに投稿した論文によると、両氏が4年間にわたり南極大陸およびオーストラリアに落下した45億年以上前の6つの隕石を調査した結果、これらの隕石に含まれていたアミノ酸は圧倒的に左型が多いことがわかったという。

 6つのうちの1つ「マーチソン隕石」では、地球上にほとんど存在しないαアミノ酸「イソバリン」の左型と右型のインバランスが18%となっており、当初、50:50に近い割合を予想していた両氏は「この結果を最初は信じたくなかった」と驚きを告白している。

 地球より古い年齢の隕石ですら、左型のアミノ酸を多く含むのはなぜなのか - Glavin氏は可能性のひとつとして、「隕石の母体となった小惑星に含まれる氷などの水分にアミノ酸が接触し、その作用によって左型アミノ酸が増殖した」という説を挙げている。また、隕石が偏光紫外線放射を受けたため、左型アミノ酸が多く残ったことも考えられるという。

 地球上の生命は、宇宙から飛来した隕石に含まれるアミノ酸に由来するいう説は、多くの科学者によって唱えられているが、すべての生物が左型アミノ酸をベースにしていることを考えると、この調査結果はこの仮説の強力な後押しとなりそうだ。C型小惑星を調査することで、地球生命の起源がわかるかもしれない。


参考HP Wikipedia:はやぶさ JAXA:はやぶさ2  マイナビニュース:JAXA、開発中のはやぶさ2を公開


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