宇宙のハンマー投げで飛ばされた星 
 宇宙を観察しているとさまざまなことが分かる。特に天体を写真で見ると、肉眼では捉えられない光を明らかにすることもできる。最近は電波望遠鏡も開発されていて、可視光だけでなくさまざまな波長で宇宙を観察することができるようになった。

 NASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」は、赤外線で宇宙を観察する望遠鏡だ。宇宙空間を秒速24kmで突き進む恒星とその進行方向に広がる繊細な構造の姿を鮮やかにとらえた。この星は、かつてパートナーだった別の星の爆発の際に振り飛ばされたと考えられている。

 へびつかい座ζ星は、2.5等級で日本からは夏に見やすい。NASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」が、宇宙空間の塵の中を秒速24kmで進むへびつかい座ζ(ゼータ)星をとらえた。恒星から吹き出す激しい恒星風が周囲のガスや塵とぶつかってアーチ状の衝撃波(バウショック)を生み出し、星の進行方向の前面に広がる繊細な糸のような構造として見えている。

 この赤外線画像は、スピッツァー宇宙望遠鏡が撮影し、NASAが12月18日に公開した。ゼータ星は高速で移動しており、そこから吹き出す恒星風が、塵の中にバウショック(弧状衝撃波)を作り出す。発光する薄い布地のように見えているこのバウショックは、赤外線波長でしから捉えられない。


Space227-giant-star-dust-clouds (NASA)

 へびつかい座ζ星は約370光年かなたにある巨星で、質量は太陽の20倍、明るさは8万倍もある。かつてはさらに重い星と連星を成していたが、その星が爆発して最期を迎えた時、ハンマー投げで手を離したときのように振り飛ばされたと推測されている。以前、赤外線天文衛星「WISE」が全天サーベイを行って同じ対象を撮影しているが、より狭い範囲を観測するスピッツァーは今回、さらに鮮明な像を見せてくれている。(アストロアーツ 2012年12月27日 NASA)


 スピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)
 スピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope、SST)とはアメリカ航空宇宙局 (NASA) が2003年8月にデルタロケットにより打ち上げた赤外線宇宙望遠鏡である。

 この宇宙望遠鏡は他の多くの人工衛星とは異なり、地球を追いかける形で太陽を回る軌道、「太陽周回軌道」を取っている。多くの人工衛星は月のように地球を回る、「地球周回軌道」だ。またこの望遠鏡は、ハッブル宇宙望遠鏡、コンプトンガンマ線観測衛星、X線観測衛星チャンドラとならび、大規模観測計画 を構成する。

 望遠鏡の名前の由来となっているのは、1940年代にはじめて宇宙望遠鏡の提案を行ったライマン・スピッツァー Jr.博士である。

 この望遠鏡のもう一つの特徴は、赤外線観測装置である。軽量ベリリウムで構成された反射望遠鏡を搭載しており、高精度の赤外線観測のために液体ヘリウムを用いて5.5ケルビンまで冷却していた。

 冷却用のヘリウムは2009年5月に底を突き、望遠鏡の温度は5.5ケルビンから30ケルビンにまで上昇した。これにより望遠鏡自体が赤外線を発するようになったため、最も長波長のチャンネルは観測に使用できなくなった。残りのチャンネルは2010年になっても「ウォーム・ミッション」として稼働を続けている。(Wikipedia)


 大規模観測計画
 大規模観測計画(Great Observatories)はNASAの4機の大型で強力な宇宙望遠鏡の衛星シリーズである。いずれも規模、費用で群を抜いている。天文学への大きな貢献が期待される。4計画はいずれも異なる波長の電磁波で観測を行う。

 ハッブル宇宙望遠鏡 (HST) は可視光から近紫外線の波長の宇宙望遠鏡である。1997年のシャトルミッションSTS-82で整備・改造された結果、近赤外線域での観測もできるようになった。HSTは、1990年にスペースシャトル・ディスカバリー/STS-31で打ち上げられた。

 コンプトンガンマ線観測衛星 (CGRO) はガンマ線観測を目的とする。ガンマ線 - 短波長(硬)X線を観測する。1991年、アトランティス/STS-37で打ち上げられた。2000年にジャイロスコープが故障したため、指令により再突入させた。

 チャンドラ X線観測衛星 (CXO) は当初、先進的X線天文施設 (Advanced X-ray Astronomical Facility :AXAF) と呼ばれていた。長波長(軟)X線を観測する。1999年、コロンビア/STS-93で打ち上げられた。

 スピッツァー宇宙望遠鏡 (SST) は、宇宙赤外線望遠鏡施設(Space Infrared Telescope Facility :SIRTF)と打ち上げ前には呼ばれていた。赤外線を観測する。2003年、デルタIIロケットで打ち上げられた。

 これらの中でコンプトン衛星だけが運用を終えている(2009年11月現在)。 CGROは、ジャイロスコープの1台が故障したのでNASAは2000年6月4日に軌道を離脱させた。燃え尽きなかった一部の部品は太平洋に落下した。

 スピッツァーだけが大規模観測計画の中でスペースシャトルで打ち上げられなかった。 当初、スピッツァーもスペースシャトルで打ち上げる予定だったが、地球周回軌道を脱出して太陽周回軌道へ投入させるための液体水素 / 液体酸素を推進剤とするセントールロケットが、チャレンジャー事故後、シャトルで使用できなくなったために、計画が変更された。タイタンとアトラスロケットでの打上げは、費用の関係でキャンセルされた。その後、衛星本体の再設計・軽量化が行われ、デルタIIロケットで打ち上げられた。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia:大規模観測計画 スピッツァ-宇宙望遠鏡 Astro Arts:宇宙のハンマー投げで飛ばされた星 


HUBBLE ハッブル宇宙望遠鏡 時空の旅
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インフォレスト
ビジュアル天文学 宇宙へのまなざし すばる望遠鏡天体画像集
クリエーター情報なし
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