B787は、日本技術の集大成
 米ボーイング社の最新鋭中型機「B787」でトラブルが相次いでいる。駐機中に機体内のバッテリーから出火したほか、燃料漏れなども起き、日航、全日空の同型機では今月に入って6件の不具合が立て続けに発生した。

 米航空機大手ボーイングは18日、最新鋭旅客機B787がトラブルで運航停止となったことを受け、航空会社への新規納入を一時停止する方針を明らかにした。米連邦航空局(FAA)が問題となったバッテリーの安全対策を認めるまで、B787の納入を止める。生産は続けるという。(共同)

 B787というと、ボーイング社製でありながら、日本技術の集大成とも言われる航空機。日本企業の製造割合は35%で「準国産機」といわれるほどだ。世界で初めて導入したのは2011年10月の全日空、トイレはウォシュレット付だった。この35%という数字はボーイング社自身の担当割合と等しい。

 注目されるのは、その構造素材、とバッテリー。日本の東レが「炭素繊維複合材」、GSユアサが「リチウムイオン電池」を製造している。

 1月11日、安倍晋三の「緊急経済対策」が発表され、日本経済の復活のため、国民が頑張ろうとしていた矢先に起きた今回の事件、気になる現状を探ってみた。


B787

 東レは、ボーイング社とB787に関して、16年に渡る素材提供の長期契約を結んでおり、直接的にB787のトラブルと東レが関係なくても、B787の納入数が減る事自体がマイナス要因となる可能性がある。

 GSユアサは、16日のANA機のトラブルはバッテリーの異常が引き金となったと見られており、B787にバッテリーを供給しているGSユアサに問題があるのではと疑問を持たれている。B787に搭載されているバッテリーは、ほぼ100%がGSユアサ製である。


 ボーイング787 運航めど立たず、再開まで1カ月以上の例も
 全日空ボーイング787の発煙トラブルで、高松空港での現地調査を終えた日米両国の調査チームが1月19日、空路、東京に向かった。今後、原因となったバッテリーの解析に全力を挙げて原因究明を急ぐが、運航再開のめどは立っていない。

 過去には墜落事故を起こした航空機が運航停止を指示され、再開までに一カ月以上かかったケースもある。 国土交通省幹部は「利用客のことを考え、できるだけ早く原因を究明し再開したい」。運輸安全委員会も「米連邦航空局(FAA)や国交省が飛行を再開可能か判断する材料として、調査で分かった基礎データはなるべく早く提供する」としている。

 国交省などによると、1979年5月、アメリカン航空のDC10がエンジン脱落により米国内で墜落し、FAAが同年6月6日、同型機の運航停止を指示。日本の運輸省(当時)も日航のDC10に運航停止を指示した。

 FAAがエンジン取り付け部の厳重な点検などを条件に飛行再開を認めたのは同年7月13日だった。 運航停止指示ではないが、2004年には日本エアシステム(当時)のMD87とMD81のエンジン部品に相次いで亀裂が見つかり、点検のため20日間で約600便が欠航した。

 米調査団メンバーのFAAのエリック・ウエスト調査官は、高松を出発前に「(787に)何が起きているのか把握するために、懸命にやっている」と語った。


 千パーセントの安全確認が必要」米長官
 重大なトラブルが相次いでいるボーイング787について、ラフード米運輸長官は18日、記者団に「安全を千パーセント確認するまで飛行させることはない」と述べ、徹底的な安全対策が取られるまで飛行を認めない方針を強調した。米メディアが伝えた。

 長官は、問題の原因とみられるバッテリーの調査が終わるまで飛行再開はできないとの認識を示した上で、再開のめどは現時点では言えないと述べた。

 一方、米航空機大手ボーイングは1月18日、787がトラブルで運航停止となったことを受け、航空会社への新規納入を一時停止する方針を明らかにした。米連邦航空局(FAA)が問題となったバッテリーの安全対策を認めるまで、787の納入を止める。生産は続けるという。

 ラフード長官は米東部ボストンの空港で日航の787がトラブルを起こした後の11日の時点でも、飛行には問題がないとの認識を示していた。787の運航停止命令に踏み切ったのは「トラブルが再発したためだ」と説明した。(東京新聞 2013年1月19日)


 ボーイング787、同時製造のバッテリーが原因の可能性も
 米当局とボーイングは同社の最新鋭旅客機「B787」(ドリームライナー)の2件のトラブルについて、同じバッチ(一回の作業で製造する数量単位)のバッテリーが原因であるかどうかを調査している。事故に詳しい関係者2人が明らかにした。

 日米両当局は同型機の運航の一時停止を命じている。 それが事実なら、トラブルを引き起こした不具合は少数のB787に限定され、同型機のエンジニアリングや設計、製造に関する体系的な欠陥ではなくなり、運航が早期に再開される可能性がある。同関係者によると、調査に関する情報は初期段階のもので、他の原因も排除していない。

 2011年にB787を認可した米連邦航空局(FAA)は16日、リチウムイオン電池が「安全で規制を順守している」ことを航空会社が証明できるまで運航停止を命じた。FAAは航空会社がどう証明するかについては言及しなかった。 特定の旅客機モデルについてFAAが全面的な運航停止を命じたのは34年ぶり。

 全日本空輸の運航したB787はバッテリー不具合の警告が表示されたため、緊急着陸。これを受けて同社と日本航空は16日、同型機24機の運航を中止した。FAAの運航停止命令をきっかけに、全日空機のバッテリー不具合警告や日航機の出火の原因究明と改修に向けた動きが本格化したが、日米の調査当局やFAAはこれまでのところ原因について言及していない。

 バッテリーを製造したGSユアサ は、B787の不具合はバッテリーだけの問題ではない可能性があるとの見解を示している。ボーイングの広報担当、マーク・バーテル氏は調査に関連することはコメントできないと述べた。GSユアサの一部門、GSバッテリーの広報担当ピーター・クインラン氏はコメントを控え、バッテリーを含む電力変換装置を製造した仏タレスに照会を求めた。 原題:Bad Battery Batch Said to Be Probed as Cause of DreamlinerFault(抜粋)(2013年1月17日 ブルームバーグ)

 日本製のGSユアサのバッテリーが問題だとするマスコミの記事もあるが、GSユアサ自体はバッテリーの問題とは限らないと表明している。また、原因は、配線の問題で、バッテリーの問題ではなく、単なる“ヒューマンエラー”とする記事もあった。次の記事はNewsweekからの抜粋である。


 ボーイング787の初期不良、日本の部品が原因というのは「濡れ衣」ではないのか?
 発火したJAL機の電池、そして同じく発火して高松に緊急着陸したANA機の操縦席床下に供えられていた電池は、報道によれば、いずれもGSユアサ製。この「リチウムイオン電池」に関しては、90年代にノート型コンピューター用に作られたものが発火するトラブルを起こすなど、発熱や発火の問題が知られている。

 だが、2000年代に入って、特に電気自動車用の「大規模で高効率」の電池として実用化しようという動きの中で、この種類の電池の安全性は飛躍的に向上している。それは、正に日進月歩と言っていい。電池の内部に電子回路による安全装置を設けたり、温度センサーなどを埋め込んで安全性を向上させる、そうした技術はここ10年の間に本当に飛躍的に進歩している。GSユアサは、そうした安全性の技術において、世界最先端の企業であることは間違いない。

 また、今回の「787」ですが、GSユアサは一部品メーカーとしてボーイングに電池を納入しているわけではない。その間には、フランスのタレス社(Thales Group)という企業が介在していて、電池と航空機電源のマネジメントをするソフトウェアなどのシステムは、このタレス社製だ。

 タレス社というのはフランスの宇宙航空・防衛に関するハイテク技術を扱う国策会社で、フランス政府が筆頭株主、年商は2兆円弱あり従業員も7万人近くある。航空機に関するハードとソフトに関しては、各国が厳しい品質基準を持っており、民生用には民生用の、軍事用には軍事用の厳格な品質管理がされている。少なくとも、タレス社というのは民生用ではエアバスの、そして軍事用ではダッソー社(仏)のミラージュや最新鋭のラファール戦闘機などに使われる高度な電子システムのノウハウを持った企業だ。

 どちらも世界の一流企業で、GSユアサの電池にも、タレス社の電源管理システムにも問題があったとは思えない。では、故障の原因は何なのか?私は「ボーイングによる最終組立における、配線のミス」である可能性が高いと考える。

 仕様が固まって、生産工程が標準化されたから複数のラインでの生産をしているのだろうが、航空機の電装系の配線というのはどうしても「手作業」になる。勿論、結線ミスをしないように、各ワイヤの先端には識別記号が振られて万全を期しているはず。また、航空用の電線というのは、自動車や民生用の電気製品などとは比較にならない高規格なものが使用されている。だが、ヒューマンエラーの可能性は排除できないと思われる。

 現在、全世界で稼働していた約50機の787の全機が検査中だと思う。恐らくはこの配線の問題が真っ先に調査されている。焼け焦げた電池の写真を見て「日本の電池が発火した。もう日本の技術はダメだ」などという声もあるようだが、私はその可能性は低いと思う。(Newsweek 2013年01月18日 冷泉彰彦)


 787型機の概要
 世界中の航空会社からの絶大なる要望に応える新型航空機、それが高効率性を誇る787ドリームライナーです。

 787ファミリーは2機種から成り、基本型の787-8型機は座席数210~250席、航続距離は 7,650~8,200海里(14,200~15,200km)、ストレッチ型の787-9型機は、それぞれ250~290席、8,000~8,500海 里(14,800~15,750km)の性能を有します。

 787型機は、大型ジェット旅客機並みの航続距離を可能にするばかりか、他では類のない低燃費を実現し、その結果最高レ ベルの環境パフォーマンスを達成します。現行の他の同型機と比べて燃料効率を20%向上するとともに、ワイドボディ機の最高速であるマッハ0.85での巡 航が可能です。さらに、貨物搭載スペースも増加しました。

 787型機はより広く快適な機内環境を構築することで、今までにはない新しい空の旅を提供する次世代航空機です。この並外れたパフォーマンスは、ボーイングがリードする多国籍のチームが開発する先進テクノロジーにより実現しました。

 機体構造の50%には炭素繊維複合材を使用、オープンアーキテクチャーは現行の旅客機をより簡素化しながら、機能性の向 上を提供する787型機のシステムの中核です。例えば、787型機開発チームは既存の機体管理システム技術を採用し、メンテナンスが必要かどうかのモニ ター遂行し、地上コンピューターシステムへの送信も視野に入れています。

 787型機のエンジンは、ゼネラル・エレクトリック社とロールスロイス社が供給します。エンジン技術の進歩によって787型機の運航効率は8%向上、中型機では2世代分に近い技術進歩となっています。

 787型機は、機体の設計と組立でも効率向上を図りました。ボーイングとそのサプライヤーであるパートナー各社は、新しいテクノロジーと製造プロセスを開発、これにより、787プログラムの全段階においてこれまでにないパフォーマンスが達成されています。例えば、一体構造 胴体部位の1セクションを製造するのに、アルミニウムシート1,500枚、ファスナーを4万から5万個削減しています。

 2003年末、ボーイング社の取締役会は787型機の顧客航空会社への提示開始を正式承認決定、その後2004年4月に、787プログラムは全日空から過去最多のプログラム ローンチオーダーを得て、開発が正式決定しました。

 最終組み立て工場は2007年5月にエバレットでオープン、ファーストフライトは2009年12月に実施しており、初号機はローンチカスタマーであるANAに2011年9月にデリバリーされました。 (ボーイング・ジャパン)


参考HP ボーイング・ジャパン:B787の概要 Newsweek:ボーイング787の初期不良、日本の部品が原因というのは濡れ衣 


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