銀河は激しく衝突する
 アンドロメダ銀河など観測可能な銀河は、少なくとも1700億個も存在すると考えられている。ほとんどの銀河では質量の約90%をダークマターが占める。また、観測結果によれば、ほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在すると示唆される。これは、いくつかの銀河で見つかる活動銀河の根源的な動力と考えられ、銀河系もこの一例に当たると思われる。

 ほとんどの明るい銀河は、約100億年前に頻繁に衝突が発生した。時間が経過するとともに、同規模の銀河が衝突する事例は少なくなり、このような大規模な相互作用が起こることは希である。現在、近傍のアンドロメダ銀河と天の川銀河は、時速約40万kmで近づき合っており、40億年後には衝突する可能性が指摘されている。

 南天のくじゃく座の方向約2億1200万光年かなたにある棒渦巻銀河「NGC 6872」も衝突する銀河である。この銀河は数十年前から最大の銀河の1つとして位置づけられてきたが、米国、チリ、ブラジルの国際天文学チームはGALEXミッションのデータから、観測史上最大の渦巻き銀河だと結論づけた。渦巻き銀河の両腕の端から端までの距離は52万2000光年以上で、これは天の川銀河の5倍以上にあたるという。

 今回、NASAの衛星「GALEX」による紫外線観測データから、NGC 6872の渦状腕の先端に、紫外線でしか見えない小さな銀河(左上の黄色枠)があることが初めてわかった。この発見された矮小銀河は、次々と生まれる恒星が輝く北東の部分にあり、銀河同士が重力的に干渉し合う天体系に見られる潮汐矮小銀河(tidal dwarf galaxy)と思われる。紫外線で見るとNGC 6872の他のどの部分よりも明るく、生まれて2億年にも満たない高温の幼い星が多く存在していることがうかがえる。


NGC6872_IC4970

 銀河同士が近づいたりぶつかったりすると銀河内の星形成が誘発されるが、このNGC 6872銀河も、となりのIC 4970との作用によって腕の先端で星が活発に生まれるようになったものと思われる。


 巨大銀河の片隅に紫外線で輝くミニ銀河
 2億光年かなたの巨大な銀河の腕の先に、紫外線でしか見えない小さな銀河の存在が明らかになった。1億3000万年前に起こった銀河同士の接近の名残と見られる。

 NASAの衛星「GALEX」による紫外線観測データから、NGC 6872の渦状腕の先端に、紫外線でしか見えない小さな銀河(左上の黄色枠)があることが初めてわかった。これを含めると、NGC 6872は端から端まで52万2000光年もの広がりを持つ巨大な渦巻銀河ということになる。これは天の川銀河の5倍以上という大きさだ。

 発見された矮小銀河は、次々と生まれる恒星が輝く北東の部分にあり、銀河同士が重力的に干渉し合う天体系に見られる潮汐矮小銀河(tidal dwarf galaxy)と思われる。紫外線で見るとNGC 6872の他のどの部分よりも明るく、生まれて2億年にも満たない高温の幼い星が多く存在していることがうかがえる。

 GALEXの他、地上の望遠鏡や天文衛星の観測データから渦状腕の恒星の年齢分布を調べると、先端ほど恒星が新しく生まれ、銀河の中心に近づくほど古い星が存在することがわかった。これはもう1つの渦状腕である南西部分でも同様だった。銀河同士が近づいたりぶつかったりすると銀河内の星形成が誘発されるが、このNGC 6872銀河も、IC 4970との作用によって腕の先端で星が活発に生まれるようになったものと思われる。

 NGC 6872とIC 4970については、2007年に別の研究チームが1億3000万年前に最接近した様子をコンピュータシミュレーションで再現しているが、今回の観測成果はそのシミュレーションと一致した結果となった。

 一方NGC 6872の中心には、2万6000光年にも及ぶ棒状構造がある。しばらく星形成が行われた形跡がなく、数十億年以上前に作られた構造のようだ。ここに存在するのは、銀河同士の接近以前の名残である古い恒星ばかりである。

 「他の銀河と作用した銀河の構造や力学を調べることで、宇宙の歴史においてどのようなことが起こったのか、正しい理解へと近づいていくことができます。そこからさらに昔の、宇宙がまだ若かったころの銀河を探ることにもつながるんです」(研究チームのEli Dwekさん)。(2013年1月18日 NASA)


 「ウルトラ赤外線銀河」は4個以上の銀河が衝突
 ウルトラ赤外線銀河はその赤外線光度が太陽1兆個分あり、1980年代に行われた赤外線全天サーベイ観測で発見された不思議な銀河だ。そしてウルトラ赤外線銀河は、激しい星生成活動の後、巨大ブラックホールをエネルギー源として非常に明るい放射をするクエーサーと呼ばれる天体に進化すると考えられている。

 ウルトラ赤外線銀河は、今のところは次のような性質が判明している。 1.銀河同士が合体してできた銀河であること、2.激しい星生成(スターバースト)が起こっていること、3.大量に生まれた大質量星は超新星爆発を起こし、銀河風(スーパーウインド)が吹き荒れていること、4.超巨大ブラックホールが育ち、非常に明るい活動銀河中心核を持つようになる(クエーサーと呼ばれるものに進化する)と考えられている。

 これらのウルトラ赤外線銀河の起源として考えられているのは銀河の合体だが、以前から論争が続けられていた。それは「何個の銀河が合体してできたのか?」というものだ。それに対する考えは2種類あり、米国のサンダース博士らが提案した「2個の銀河による合体」案と、愛媛大学の谷口センター長らが提案した「3個以上の銀河による合体」案である。

 愛媛大学宇宙進化研究センターの谷口義明センター長を中心とした研究チームは、すばる望遠鏡を用いた観測により、ウルトラ赤外線銀河 (太陽の1兆倍ものエネルギーを赤外線で放射している銀河) の代表格であるアープ 220 が、4個以上の銀河の多重合体である動かぬ証拠を発見した。ウルトラ赤外線銀河は激しい星生成活動の後、巨大ブラックホールをエネルギー源として非常に明るい放射をするクエーサーと呼ばれる天体に進化すると考えられている。(国立天文台 2012年5月24日)


 銀河系とアンドロメダ星雲、40億年後衝突?
 地球がある銀河系は40億年後、近隣のアンドロメダ銀河と衝突する-。こんな分析結果を米航空宇宙局(NASA)のチームがハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で導き出し、発表した。

 双方の銀河には十分な隙間があるため、星の衝突はないという。NASAは「将来、太陽は今よりもさらに銀河の中心から離れた位置にあるかもしれないが、太陽や地球が破壊されることはない」とコメントしている。チームはハッブルの観測で得られたデータを基にコンピューターを使って2つの銀河の将来の位置を予測。重力で引きつけられて40億年後に衝突し、その後分離と衝突を繰り返し、60億年後に1つの銀河に融合するという結果となった。

 アンドロメダ銀河と銀河系が接近していることは知られていたが、衝突するかどうかは科学者の間で意見が分かれていた。アンドロメダ銀河は地球から約250万光年離れた比較的近い位置にあり、時速約40万キロメートルで地球に近づいている。(産経新聞 2012.6.3)

 銀河系とアンドロメダ銀河が衝突するとなると驚くが、宇宙では珍しいことではない。現に、アンドロメダ銀河の周囲には伴銀河としてM32、M110 (NGC205)が観測できるが、これらの伴銀河はいずれアンドロメダ銀河と衝突し吸収されてしまうと考えられている。

 そればかりかわれわれの銀河系も、他の銀河と衝突している真っ最中である。銀河系の伴銀河であるマゼラン雲は2つの銀河からなる。 大マゼラン雲 (Large Magellanic Cloud = LMC) 小マゼラン雲 (Small Magellanic Cloud = SMC) 共に、アンドロメダ銀河と同じ局部銀河群に属する矮小銀河である。これらの銀河はやがて銀河系に吸収されてしまう。


参考HP 国立天文台:すばる望遠鏡ウルトラ赤外線銀河の謎を解明 アストロアーツ:巨大銀河の片隅に紫外線で輝くミニ銀河


銀河―宇宙に浮かぶ不思議な天体 ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた驚きの宇宙
沼澤 茂美,脇屋 奈々代
誠文堂新光社
ハッブル望遠鏡宇宙大展望―厳選された80の最新観測 (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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