直径40億光年、定説覆すクエーサー群
 クエーサー (Quasar、QSO) とは、非常に離れた距離において極めて明るく輝いているために、光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体(準恒星状電波源、quasi-stellar radio source)のこと。日本語では準星などと呼ばれていた。スペクトルの電波部分が弱いクエーサーのみを区別してQSOと呼ぶ場合もある。また、以前はクエーサーがホワイトホールであるとする説もあった。

 現在では活動銀河核の一種とされ、性質の類似から、クエーサーと比べて比較的近傍に存在する活動銀河核を持つ銀河の一種である「セイファート銀河」と同じ種族を構成すると考えられている。クエーサーのスペクトルは大きな赤方偏移を持っている。この大きな赤方偏移は、クエーサーが地球から極めて高速で遠ざかっていることを意味するので、ハッブルの法則によりクエーサーは極めて遠い場所に存在することがわかる。クエーサーは非常に遠方にあるわりには明るく見え、実際の明るさを考えると典型的な銀河の100倍程度のエネルギーを放出していると考えることができる。

 クエーサーは活動銀河とほぼ同様の特徴を示すので、多くの研究者がクエーサーの放射を小さな活動銀河と比較してきた。クエーサーの正体として最も有力な説は、クエーサーは大質量ブラックホールをエネルギー源に持っている、というものである。クエーサーの強力な光度は、大質量ブラックホールを取り巻く降着円盤のガスや塵がブラックホールに落ち込む時の摩擦によって生み出されていると考えられている。

 今回、スローン・デジタル・スカイサーベイのデータを用いた研究で、世界各国の研究者からなるチームは、史上最大のクエーサー・クラスターを発見した。クエーサーは若い活動銀河の一種で、今回見つかったクラスターは直径40億光年という大きさだ。


Quasar_QSO

 この大きさは、現代の宇宙理論では存在するはずがないとされていた規模の、超巨大な宇宙構造だった。この研究を主導したイギリス、セントラル・ランカシャー大学所属の天文学者ロジャー・クロウズ(Roger Clowes)氏は、「この発見は大きな驚きだ。これまで知られていた中で最も大きな宇宙構造の記録を破るものだからだ」と述べている。

 これと比較して、地球が属している天の川銀河は直径わずか10万光年しかなく、さらに天の川銀河が位置するおとめ座超銀河団でも、その大きさは1億光年程度だ。40億光年という大きさがいかに桁外れなものか分かる。以下はNatiomal Geographic newsからの引用である。


 天文学者を悩ませる巨大クエーサー群の存在
 クロウズ氏によると、クエーサーが場合によっては直径7億光年以上という巨大なクラスターを形成することは、かねてから天文学者の間では知られていたという。しかし、今回見つかった、地球から90億光年の距離にあり、73個のクエーサーからなるクラスターの直径40億光年という巨大さは、天文学者を悩ませている。

 というのも、現在の宇宙物理学のモデルでは、宇宙構造の大きさの上限は12億光年を超えることはないと考えられているからだ。

 「ゆえに今回の発見は、現在の認識に疑問を突きつけるものであり、謎が解決されるどころか、新たな謎が生まれたと言える」とクロウズ氏は述べている。

 大クエーサー群(LQG)というシンプルな呼び名で知られるこの巨大構造は、宇宙は最も大きな尺度で見た場合にほぼ均一に見えるはずだとする、広く受け入れられている宇宙理論の諸規則とも相容れないように見える。

 「これはつまり、宇宙に関する既存の数学的記述が過度に簡略化されていたということなのかもしれない。これは非常に難しい問題であり、複雑性が大幅に上昇するとも考えられる」(クロウズ氏)。


 初期の宇宙の進化を読み解く手がかりに
 この巨大な宇宙構造の意義はその記録破りの大きさだけにとどまらず、我々が属する天の川銀河をはじめとするさまざまな銀河の進化過程を明らかにしてくれる可能性を持っている。高いエネルギーを放つクエーサーは、宇宙の初期の段階で発生し、最大級の明るさとエネルギーを持つ天体だ。これは大多数の銀河の進化の初期における、ごく短い時期の姿だと考えられている。

 こうした巨大なクエーサー群は、現在の宇宙における超銀河群の先駆け的存在だったのではないかとする説もある。しかし、両者の関係の正確な性質はいまだに謎のままだ。

 また、今回の発見は、一義的にはコンピューターによるモデル化の研究対象ではあるが、望遠鏡を使った観察によってさらに綿密に検証される必要があると、ケンタッキー州ルイビル大学の天文学者ジェラード・ウィリガー(Gerard Williger)氏は指摘する。同氏は今回の研究に関与していない。

 「この構造は、ビッグバン以降に宇宙で形成された衝撃波に基づいた予想よりも大きい」とウィリガー氏は述べた。

「何らかのメカニズムがクエーサーをこれほど大規模に、しかも短時間で集めている可能性が高い。このメカニズムは初期の宇宙の状態に関連しているとも考えられる」。

 今回のクエーサーに関する研究は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌のオンライン版に1月11日付で掲載された。(Andrew Fazekas for National Geographic News


 クエーサーとは何か?
 クエーサー (Quasar、QSO) とは、非常に離れた距離において極めて明るく輝いているために、光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体(準恒星状電波源、quasi-stellar radio source)のこと。その正体は中心のブラックホールが周囲の天体を飲み込む、活動銀河核の一種と考えられている。

 クエーサーのスペクトルは大きな赤方偏移を持っている。この大きな赤方偏移は、クエーサーが地球から極めて高速で遠ざかっていることを意味するので、ハッブルの法則によりクエーサーは極めて遠い場所に存在することがわかる。クエーサーは非常に遠方にあるわりには明るく見え、実際の明るさを考えると典型的な銀河の100倍程度のエネルギーを放出していると考えることができる。

 クエーサーは活動銀河の一種と認識される場合が多い。すなわち、クエーサーの放射は相対論的ジェットやローブと呼ばれる構造を持つものもある。クエーサーは電波・赤外線・可視光・紫外線・X線・γ線のあらゆる電磁波で観測される。

 クエーサーは活動銀河とほぼ同様の特徴を示すので、多くの研究者がクエーサーの放射を小さな活動銀河と比較してきた。クエーサーの正体として最も有力な説は、クエーサーは大質量ブラックホールをエネルギー源に持っている、というものである。クエーサーの強力な光度は、大質量ブラックホールを取り巻く降着円盤のガスや塵がブラックホールに落ち込む時の摩擦によって生み出されていると考えられている。

 この物理過程では落ち込む質量の約50%をエネルギーに変換することが可能で、核融合によるエネルギー変換が質量の数%にとどまるのに比べて非常に変換効率が良い。1040 W というクエーサーの平均的な光度を生み出すには、大質量ブラックホールは1年あたり恒星を10個飲み込む計算になる。現在知られている最も明るいクエーサーの場合には、毎年1000太陽質量程度の物質を消費しているだろうと考えられている。

 またクエーサーは、その周辺の環境によって「スイッチ」が入ったり切れたりすると考えられている。例えば、上に挙げたような割合で100億年も「餌」となる物質が供給され続けることはないと思われる。このメカニズムは、なぜクエーサーが初期の宇宙にのみ見られるのかという問題にもうまく説明を与える。つまり、降着円盤によるエネルギー生成は、大質量ブラックホールの周囲の物質が全て消費し尽くされると停止するのである。このことから、我々の銀河系を含むほとんどの銀河は過去にクエーサーの段階を経験し、現在は中心のブラックホールに質量が供給されていないためにエネルギー放射活動をしない平穏な状態にある、とも考えられる。


 クエーサー観測の歴史
 最初のクエーサーは1950年代の終わりに電波望遠鏡によって発見された。多くのクエーサーは可視光では対応する天体が見つからなかったため、電波源として記録された。1960年頃までにこのような天体が数百個見つかり、ケンブリッジカタログ第3版(3C カタログ)に収録された。これを用いて天文学者たちは、これらの天体の可視光での対応天体を探し始めた。

 1960年、ついに3C 48という電波源に付随する光学天体が発見された。電波源の位置には暗く青い星のように見える天体が検出され、この天体のスペクトルが観測された。このスペクトルには正体不明の幅の広い輝線がたくさん含まれており、この奇妙なスペクトルの起源を説明できる者はいなかった。

 しかし1963年にブレイクスルーとなる発見があった。3C 273という別の電波源に同様の可視光の対応天体が見つかり、やはり奇妙な輝線スペクトルが得られたのである。このスペクトルは驚いたことに、水素のスペクトル線が16%も赤方偏移したものだった。マーテン・シュミットによるこの発見は、3C 273が秒速44000kmという速さで我々から遠ざかっていることを示していた。この発見によってクエーサーの観測は大きく前進し、他の天文学者たちも他の電波源の輝線スペクトルから赤方偏移を見つけ出した。3C48 は37%の赤方偏移を示していた。これは光速の 1/3 に達するスピードである。

 これらの発見とともに、アメリカの天体物理学者ホン・イェー・チューによってこの謎の天体は準恒星状天体 (quasi-stellar radio sources) と命名された。後に、全てのクエーサーが強い電波を放射しているわけではない(実際には全体の約10%である)ことが分かり、現在では電波を放射するクエーサーを 'QSR'(radio-loud quasars)、電波を放射しないものを 'QSO'(radio-quiet quasars) と細かく分類する場合もある。

 1960年代に大きな議論の的となっていたのは、クエーサーは近傍の天体なのか、それともその赤方偏移が示唆するように遠方にある天体なのか、ということであった。例えば、クエーサーの赤方偏移はハッブルの法則によるものではなく、重力ポテンシャルの深い「井戸」の中から光が放出されているためではないか、という説もあった。

 クエーサーが宇宙論的な遠距離にあるという説に対する強力な反論として、もしそれほど遠方にあるのなら、クエーサーが放出するエネルギーは膨大な量になり、核融合など、当時知られているどんなエネルギー変換の過程をもってしても説明できない、という問題があった。その頃提案された仮説の中には、クエーサーが未知の安定した反物質からできているとすればその明るさを説明できるだろう、というものもあった。このような反論は1970年代に入って降着円盤のメカニズムが提案されると否定され、今日ではクエーサーが宇宙論的距離にあるという描像はほとんど全ての研究者に受け入れられている。

 このように、ほとんどの研究者はクエーサーが宇宙論的距離にある天体であると考えているが、クエーサーが近距離にあるという証拠を挙げている研究者もごく少数はいる。このような立場をとる代表的な研究者はホルトン・アープで、彼は近距離にある通常の銀河と相互作用を起こしているように見えるクエーサーを数多く撮影し、そのような銀河のカタログを作成している。

 1980年代に入ると、クエーサーは単に活動銀河の一種であるという統一モデルが提唱され、クエーサーがブレーザーや電波銀河などの他の活動銀河と異なって見えるのは、単純に地球から見た角度の違いに原因があるという見方が広く認知されることとなった。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia:クエーサー National Geographic news:直径40億光年、定説覆すクエーサー群


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