空腹で長寿遺伝子活性、記憶力向上!
 「空腹は、長寿遺伝子を活性化する」「空腹は記憶力を向上する」という空腹の効果はよく聞く。

 長寿遺伝子のほうは、サーチュイン(Sir)と呼ばれ、空腹になると活性化する。「カロリー制限」すれば、誰でも7週間ほどで長寿遺伝子サーチュインが働くことも実験で確かめられている。

 カロリー制限以外でもで「ポリフェノール」を摂ったり、「適度な運動」をすることで長寿遺伝子が活性化する。血液中のDHEAという若返りホルモン値が非常に高くなり、脳も活性化されるしくみもわかった。

 だが意外なことに、空腹と記憶力の関係は、これまで科学的に立証されたことがなかった。

 今回、ショウジョウバエを空腹にさせると、物事を長期間覚えておく「長期記憶」が向上することを、平野恭敬東京都医学総合研究所主任研究員らのチームが突き止めた。1月25日付の米科学誌サイエンスで発表された。

 研究チームによると、空腹と記憶力に関連があることを実験で確認したのは世界で初めて。平野研究員は「ヒトの記憶はより複雑で注意が必要だが、似た仕組みがあるかもしれない」と指摘。記憶力を向上させる薬の開発につながる可能性もあるという。


CRTC

 特定のにおいと電気ショックを同時に与えると、ハエは二つを関連付けて記憶し、においを避けるようになる。ただ、記憶は短期間しか持たず、1日後には忘れることが分かっていた。

 研究チームはハエを絶食させて実験。絶食時間が9時間の場合、においを避けたハエは満腹のハエに比べ約1.5倍多くなった。16時間では約2倍に増えたが、絶食が20時間以上になると減り始め、極度の空腹は逆効果になることも分かった。 (時事通信 2013年1月25日)


 空腹が記憶力をアップ
 研究グループは、記憶についてショウジョウバエを用いた過去の研究を検証した。ハエに1つの匂いと電気ショックを同時に与えると、その匂いを電気ショックと関連付けて学習し嫌いになる[嫌悪学習]。しかし、嫌悪の記憶が“長期記憶”として保存されるには、1回だけの学習では不十分で、15分間隔で何度も復習させることが必要となる。一方、1つの匂いと砂糖水を与えると、ハエはその匂いが好きになる[報酬学習]。この報酬の記憶は1回の学習だけでも長期記憶になることが分かっていた。ところが報酬学習の実験では、効率的に砂糖水を飲ませるために、ハエを空腹状態にしていたことに気がついた。

 「空腹状態が長期記憶を作るために重要ならば、空腹状態にしたハエに嫌悪学習をさせれば、1回の学習でも長期記憶ができるはず」。研究グループは、ハエを絶食させた後に1回だけ嫌悪学習させて1日後に記憶を確かめてみると、予想通り長期記憶として保存されていた。記憶していたハエの割合は9-16時間絶食させた時が最も高く、満腹状態の約2倍あったという。


 長期記憶タンパク質「CREB」
 長期記憶のメカニズムはショウジョウバエから哺乳類まで共通しており、脳の神経細胞では「CREB」というタンパク質が必要となる。CREBが機能するためには、さらに「CBP」と「CRTC」というタンパク質が必要となることから、これらの機能を抑える実験をしたところ、満腹時の複数回の学習による長期記憶にはCBPが重要で、空腹時の1回の学習で作られる長期記憶にはCRTCが重要であることが分かった。神経細胞の観察では、CRTCは空腹時には細胞質から細胞核に移動し、CREBと結合していた。

 空腹時には血液中の糖分(血糖値)が低下し、その結果、すい臓からのインスリンの分泌が低下する。インスリン低下によって逆にCRTCは活性化することから、遺伝的にインスリンの働きが低下しているハエで調べたところ、満腹状態でも1回の学習で長期記憶が作られた。

 これらのことから、満腹時には複数回の学習により、CREBがCBPと結合して活性化することで長期記憶が作られるが、CRTCはインスリンによって核外の細胞質にとどめられているために長期記憶形成に関係しない。空腹時にはインスリン分泌量が少ないために抑制が外れ、CRTCが核内に移動してCREBと結合しているために、1回の学習でも長期記憶が作られるというメカニズムが明らかとなった。

 研究グループは、ショウジョウバエでは適度な空腹状態ではどんな記憶でも長期記憶になるが、過度の空腹で飢餓状態に陥ると、食べ物の「報酬記憶」だけが長期記憶になり、他の記憶は長期記憶にならないことも発見した。「空腹で記憶力をあげる時には注意が必要だ」としている。(マイナビ・ニュース 2013/01/25)


 空腹と「長寿遺伝子」
 「長寿遺伝子」というと、何やら特定の遺伝子で「それを持っていると長寿になれる」と考えがちだが、そうではない。長寿遺伝子はすべての人が持っていて、そのスイッチを「ONにする(活性化する)」ことができれば、長寿が達成できる。ではどうやって?

 長寿遺伝子をONにするには、まず食事を工夫することが大切。そのひとつが「カロリー制限」で、最近発見された「Sir2」という長寿遺伝子は、カロリーを抑えることでスイッチが入る。実験では、ミジンコが1.7倍、ラットが1.4倍も寿命が延びた。

 また、米ウィスコンシン大学の実験では、「17年間カロリーを30%制限して飼育したアカゲザルは、カロリー制限していないアカゲザルに比べて肌の色つやがよく、ほとんどシワもない」という結果が出た。そのサルは、血液中のDHEAという若返りホルモン値が非常に高く、そして、どうやら脳も活性化されているということがわかった。

 長寿遺伝子をオンにするもうひとつの工夫は「ポリフェノール」。例えば、ぶどうの皮やピーナッツに含まれるレスベラトロールや、玉ねぎの皮のケルセチンという「ポリフェノール」があり、長寿遺伝子が活性化する。そのサルは、血液中のDHEAという若返りホルモン値が非常に高く、そして、どうやら脳も活性化されているということがわかった。

 長寿遺伝子をオンにするもうひとつの方法は運動。最近発見された「AMPK」という長寿遺伝子は、運動することによってスイッチオンになることがわかった。運動で筋肉が収縮することで、この長寿遺伝子が活性化する。決して激しい運動ということではなく、日常的にできる運動を、定期的に、持続的に行うことが大切。


 空腹のその他の効能
 断食は多くの現代病に効果があるという主張がある。その論拠としては、人間の体は、消化吸収することがない状態に入ると、自然に体にたまった毒素を排泄する作用、デトックス(detox)効果があるということである。例として、カネミ油症事件における油症患者のダイオキシン類の排泄量が増え、症状が軽減することが観察されている。

 デトックスとは、体内に溜まった毒素を排出させるという健康法で代替医療に分類される。この呼び名は"detoxification"、つまり「(体内から毒素や老廃物を)取り除く」、「解毒」の短縮形。

 現代社会を暮らしていく上では、「体内に人体に悪影響を及ぼす化学物質(主に重金属や合成化合物、薬物のうち、特に有害なもの)が蓄積され、また自身の体内からも活性酸素などが生成されている」と喧伝されている。

 デトックスとは、「サプリメントの摂取や入浴などで、こういった体内の有毒な物質を排出しようとする方法」とされている。これら有害な物質の多くが脂肪に蓄積されることから、提唱者の一部はダイエットと関連付けてその効能を標ぼうしている。

 食物繊維はダイオキシン類を吸着して排泄させることで、排泄速度を2~4倍に高めダイオキシン類の健康への影響を減少できる可能性があるとされているが現段階で科学的な立証はされていない。(Wiipedia)

 

参考HP マイナビニュース:空腹状態が記憶力を向上させてる、仕組み解明 アイラブサイエンス:長寿遺伝子を活性化する食事・運動


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