彷徨する赤色巨星
 ベテルギウス (Betelgeuse) はオリオン座α星(1等星)で、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとで冬の大三角を形作る赤い星だ。ベテルギウスはなぜ赤いかというと、星の外側が膨張しすぎたために温度が低くなっている。

 この膨張はベテルギウスの寿命が近いことを意味している。現在99.9%寿命を終えあとは死を待つばかりだ。外側が冷えては収縮し、また熱を出し膨張することを繰り返している。イギリスのジョン・ハーシェルは、1836年にベテルギウスが、変光星であることを発見した。

 今回、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線宇宙望遠鏡「ハーシェル」が、ベテルギウスの周囲に複数の弧状構造をとらえた。この構造とベテルギウスは、やがて塵の壁と衝突する運命にあるようだ。

 昔からその存在は知られていたが、正体は依然として謎である。まるで、自分の死を悟った巨人が、死に場所を求めて彷徨しているようにも見える。ベテルギウスが爆発したらどうなるのだろうか?


Betelugeuse

 ベテルギウスの行く手をはばむ?謎の壁
 冬のオリオン座の左上(北東)に見える赤い1等星ベテルギウスは、直径がおよそ太陽の1000倍、明るさは10万倍という赤色超巨星だ。外層を大量に放出して大きく膨れあがっており、やがて超新星爆発を起こす恒星として注目されている。

 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の天文衛星「ハーシェル」による最新の遠赤外線画像から、ベテルギウスから吹き出す恒星風が周囲の星間物質に衝突している様子や、ベテルギウスが秒速30kmの速度で移動しているためにできた衝撃波(バウショック)が明らかになった。

 星の移動方向に見られる弧状構造は、物質を失っていった荒々しい星の歴史を物語る。恒星に近い側の層に見られる非対称な構造は、星の外層大気に生じた巨大な対流セルによって、塵に富んだガスが塊となって表面のあちこちから繰り返し放出された名残とみられる。

 弧状構造のさらに先(画像左側)には、興味深い線状の構造が見えている。以前の理論では、この構造はベテルギウスの進化の早い段階で放出されたものであろうとの推測もあった。しかし最新の画像分析から、これは銀河の磁場に関連した繊維状構造か、またはベテルギウスによって照らし出されている星間雲の端ではないかと示唆されている。

 もしこの棒状構造がベテルギウスと完全に別個のものだとすると、ベテルギウスと弧の動きおよび棒状構造との距離を元にした計算では、もっとも外側の弧は5000年以内に、さらに約1万2500年経ったころにはベテルギウスが、この構造に衝突すると予測されている。(2013年1月23日 ヨーロッパ宇宙機関)


 爆発が迫る?赤色超巨星
 ベテルギウスは星の寿命を99.9%終えており、いつ爆発してもおかしくない天体だという。ベテルギウスの距離は640光年。広い宇宙から考えると、わりと地球に近い恒星である。そんなに近い恒星が爆発をして地球に悪影響はないのだろうか?

 米国、ウオッシュバーン大学の宇宙物理学者ブライアン・トーマス教授は、今から約4億4000万年前(古生代・オルドビス期末期)に超新星爆発が起き、そのときに、地球にガンマ線が大量に飛来するガンマ線バーストが起きたと考えている。ガンマ線が直撃すると、オゾン層の35%が破壊され、紫外線が地表に降り注ぐことになる。

 強烈な紫外線のために地表近くの生物は、DNAやタンパク質が破壊され死滅、オゾン層がもとにもどるのに10年はかかり、生物の大量絶滅が起きたと予想している。

 「ガンマ線バーストの直撃を受けたら、地球は大変なことになる!」…だが、これまでの研究で、ガンマ線バーストが直撃するのは、自転軸から2°の範囲に限られている。最近NASAは、ハッブル宇宙望遠鏡を使って、ベテルギウスの自転軸を調べた。その結果、地球は自転軸から20°ずれており、直撃はなさそうなことがわかっている。

 直撃は避けられそうなので安心した。果たしてわれわれが生きているうちに、星の最後の姿である「超新星爆発」を見ることができるのであろうか?


 ベテルギウスの超新星爆発シナリオ
 ベテルギウスが爆発したらどうなるのか。東京大数物連携宇宙研究機構の野本憲一特任教授(星の進化論)らの解析では、最初に表面が100万度の高温になり、X線を放つ。肉眼で見える可視光が出てくるのは1時間後で、1万度で青色に輝くという。

 ここから星は膨らみ始め、2時間後に全天で太陽の次に明るい恒星「シリウス」と並ぶ明るさとなり、3時間後には半月の明るさに到達。面積当たりでは半月の1千倍、満月の100倍のギラギラ度だ。この明るさが3カ月ほど続く。オリオン座は冬の星座なので夏に爆発すると日中しか見られないが、昼間でも十分に分かる明るさという。

 色は次第に暖色系へと変わり、3カ月後はオレンジ色から黄色に。その後は温度が下がるにつれて暗くなっていき、450日後には金星と同じマイナス4等星。肉眼で見える限界の6等星になるのは4年後だ。

 銀河では通常、30~50年に1度の割合で超新星爆発が起きる。ベテルギウスに限らず、いつ爆発が起きても不思議ではない。ベテルギウスをめぐっては、「2012年に爆発か」といった科学的根拠の希薄な情報がインターネットなどで広がっている。だが野本教授によると、爆発時期は「100万年以内」としか分かっていない。表面を厚いガスに覆われ、内部の様子が分からないため時期の予測は困難だ。(産経news 2012.1.5 参照)


参考HP アイラブサイエンス:生きているうちに見てみたいベテルギウスの超新星爆発! アストロアーツ:ベテルギウスの行く手をはばむ?謎の壁?


オリオン座はすでに消えている? (小学館101新書)
クリエーター情報なし
小学館
ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見 (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎

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