晩婚化が進む、現代社会
 人生は短い。自分の目的とするものに出会うまでに、人生の半分ぐらい費やしてしまった。それ以外に、やらねばならない事がありすぎる。

 人生で結婚は大切な目的の一つだが、その前に人は働いて自立せねばならない。無我夢中で働き、気がつくと男女ともに30代~40代。晩婚化が進み、子供をつくり、育てるためのチャンスが少なくなってきていることに愕然とする。

 女性の卵子は年齢とともに年を重ね、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分になる。しかし、多くの女性はこの事実を治療に来て初めて知るという。 晩婚化が進む現代、不妊は先進国共通の課題だ。日本も特異な状況にある。

 30代~40代になると体は健康なのに、妊娠の可能性が低いと告げられる。その理由は「卵子の老化」だという。卵子は、年齢とともに妊娠しづらくなる性質がある。幸い我が家は、両親が高齢であるのもかかわらず2人の子宝に恵まれた。「卵子の老化」の原因はなんだろうか?

 今回、「卵子の老化」の原因を、米ニューヨーク医科大が突き止めた。それによると、卵子のもとになる「卵母細胞」のDNAが傷ついた際、その修復能力が衰えていた・・・。


 卵子老化のメカニズム特定
 年齢が上がると女性が妊娠しにくくなる「卵子の老化」の原因を、米ニューヨーク医科大が突き止めたと発表した。卵子のもとになる「卵母細胞」のDNAが傷ついた際、その修復能力が衰えていた。不妊治療に役立つ成果として注目される。2月13日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに掲載される。

 チームは、生後11~12カ月のマウスと、生後4~5週の若いマウスの卵母細胞の遺伝子を比較。高齢のマウスほど、傷ついたDNAを修復する4遺伝子の働きが低下していることを発見した。また、4遺伝子のうち、乳がんの発症を抑える「BRCA1」を人工的に失わせたマウスは、通常より半分しか卵母細胞を作れなかった。

 さらに、この遺伝子に異常がある24人(平均34.8歳)の血液検査から、卵巣中の卵母細胞の数を推計すると、異常のない60人(同36.3歳)に比べて数が半分程度に減っていたという。

 チームは「発見を生かして卵母細胞のDNAを修復できれば、卵巣の老化速度を遅らせることもできるかもしれない」としている。

 吉村泰典(やすのり)・慶応大教授の話 卵子の老化の仕組みは謎だっただけに、意義は大きい。ただし、がんに関連する遺伝子を利用することは安全面で難しく、今回の成果がすぐに治療につながるとは言えない。(毎日新聞 2013年02月14日)


 産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~
 高齢による、不妊の問題は、テレビでも何度も取り上げられてきたテーマだ。2012年6月23日(土)NHK放送の「産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~」では、「卵子の老化」による不妊治療の実態を伝えてくれた。以下は番組HPからの引用である。

 いま、全国の不妊治療クリニックに、30代、40代の女性たちが次々と訪れ、衝撃を受けている。健康なのに、妊娠の可能性が低いと告げられるのだ。原因は「卵子の老化」。

 女性の卵子は年齢とともに年を重ね、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分になる。しかし、多くの女性はこの事実を治療に来て初めて知るという。 晩婚化が進む現代、不妊は先進国共通の課題だ。しかし、日本は特異な状況にある。

 不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は、6組に1組。 不妊治療専門のクリニックが世界一多く、体外受精の実施数も世界一になっている。女性の社会進出を進める一方で、いつ産むのかという視点を見過ごしてきた日本のひずみが現れている。

 「卵子の老化」による不妊をさらに深刻化させる一因は、男性側にもある。 実は、不妊の原因の半分は男性側にあるが、夫が不妊の検査に行きたがらず、ようやく治療が始まった時には、妻の卵子が老化しているというケースが後を絶たない。

 専門家は「早くに気付いて治療すれば、自然妊娠が見込めるケースも多い」と指摘する。

 番組では、全国の医療機関と不妊治療経験者を対象に、大規模なアンケート調査を実施。“不妊大国”ニッポンの姿を明らかにする。そして、これまで個人の問題ととらえられてきた不妊が、実は、社会で向き合わなければ解決できない実態を浮き彫りにする。

 「若い人たちに、自分と同じ思いをして欲しくない」。取材に応じて頂いた方々が口をそろえておっしゃっていた言葉。親にも、兄弟にも、友人にも打ち明けられない不妊治療。涙ながらにお話頂いた苦しみの声が、どうすれば多くの人の心に届くのか。悩み抜いた日々だったという。

 また、アンケートで寄せて頂いた8000人を超える人々の声。一枚一枚に、壮絶な叫びが込められていた。番組スタッフで何度も読み返すうちに、不妊が急増する社会の背景、さらに夫の無関心によって広がる不妊の実態が浮かび上がってきた。(2012年6月23日 NHK)


 体外受精を「魔法の治療」と勘違い
 さらに「卵子の老化」を取り上げたのは、2012年2月14日に放送されたNHKの「クローズアップ現代」だ。近年は夫婦ともに健康体なのに、なかなか妊娠しないというケースが増えているという。

 不妊治療の経験がある夫婦は、6組に1組に達する。妊娠は年齢が増すにつれて難しくなり、不妊治療がうまくいって子どもが生まれる割合は、35歳で16.8%だが、40歳になると8.1%まで下がる。

 一方、不妊症に悩む女性は20代前半だと6%に過ぎないが、40代では64%にまではね上がる。 その要因が卵子にあるという。卵子は生まれた時から体内にあり、新たにつくられることはない。年齢とともに卵子も年をとり、数も減っていく。

 番組内で名古屋市立大学大学院産科婦人科の杉浦真弓教授は、卵子が老化するにしたがって染色体にも異常が起こりやすくなり、流産や受精障害といったリスクが発生する可能性が増すと説明した。

 番組で紹介された44歳の女性は、40歳で結婚して現在不妊治療を受けている。体外受精を受けた回数は20回以上だが、子宝に恵まれない。結婚すれば子どもができると思っていただけに「どんなにがんばっても結果が出ない」現実に落ち込み、そんな妻を見て夫も心が締め付けられると苦しい胸の内を明かしていた。

 杉浦教授によると、年齢にしたがって卵子が老化する事実を知らない人は多いという。原因として学校での教育不足と、マスコミ報道で比較的高齢でも妊娠した芸能人が取り上げられると「自分も大丈夫」と思わせてしまう点を挙げる。

 また、体外受精が「魔法の治療」と勘違いする人も多いと指摘。必ず妊娠すると思い込んでいたのに結果が伴わず、傷つく人は少なくない。現時点では、老化した卵子を若返らせる有効な方法はないようだ。


 卵子は無限に造られる?但し年齢制限あり
 従来、卵巣にある卵子の数は有限で、加齢とともに減少する一方と考えられてきた。ところが、ヒトの卵巣の中から、成長すると卵子になるとみられる細胞「生殖幹細胞」が、発見された(2012年2月27日 毎日新聞)。発見したのは、米ハーバード大マサチューセッツ総合病院と埼玉医大のチーム。

 今回、発見した細胞は卵子の元になっている「生殖幹細胞」であり、ヒトで確認されたのは初めて。「幹細胞」は様々な組織の細胞をつくる元になる細胞。造血幹細胞、肝幹細胞、神経管細胞、皮膚幹細胞など、様々なものがあるが、成人女性に卵子の幹細胞があると考えられていなかった。

 今回の成果は、抗がん剤治療などで生殖能力を失った人などの不妊治療に役立つ可能性があるという。米科学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に2月27日、論文が掲載された。

 埼玉医大のチームは、性同一性障害の治療のため同大で卵巣を摘出した20~30代の女性6人から、研究目的で用いる同意を得た。提供された卵巣を米国へ持って行き、ハーバード大チームが生殖幹細胞とみられる細胞を採取。目印を付け、卵巣組織に注入してマウスの卵巣へ移植した。約1週間後には、卵巣内で目印を付けた細胞が卵子のように成長していた。

 高井泰・埼玉医大准教授(産婦人科)は「やむを得ない理由で不妊になる人から事前にこの細胞を採取しておけば、治療後に出産が可能になるかもしれない」と話す。一方で「不妊治療に使うには、倫理的な問題を議論する必要がある」と指摘している。(毎日新聞 2012年2月27日)


参考HP Wikipedia:卵細胞 人工授精


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