海底メタンハイドレートのガス採取成功
 経済産業省は12日、愛知県・渥美半島の南南東沖合の海底下約330メートルの地層にある「メタンハイドレート」を分解して天然ガスを取り出す、海洋産出試験に成功したと発表した。海底からのガス採取は世界で初めてという。

 これは、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、2月15日に開始したもの。メタンハイドレートはメタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質で、「燃える氷」と呼ばれる。日本の周辺海域には多くの量が存在しているとみられ、将来の天然ガス資源として期待されている。

 このため経産省の委託を受けたJOGMECが、2001年度から08年度までに「東部南海トラフ海域」(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、約1.1兆立方メートル(日本のLNG輸入量〈2011年〉の約11年分)のメタンガスに相当する多量のメタンハイドレートが存在していることを確認していた。

 海洋産出試験は昨年から準備を進め、今回は1月下旬から今月末までの予定で、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた産出試験作業に取り組んでいた。12日のガス取り出し作業は午前6時前から始まり、海底下層の水をポンプでくみ上げることで地層内圧力を下げた。それにより地層内にあったメタンハイドレートが水とメタンガスに分解された。同9時半ごろにガスを取り出し、同10時ごろには、船尾に設置したバーナーからガス産出を示す炎を確認したという。

 産出試験は今月末ごろまで続け、終了後、得られたガス量の集計や実験結果の解析などを行う。経産省は2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料としての商業化を目指している。


 経産省、海底面下のメタンハイドレートから天然ガスの生産を確認
 これまで、日本は火山列島で地震大国であり、これまでは「資源小国」と言われてきた。しかし海洋に目を向けてみたら、経済的なさまざまな権益を持つ、日本の「排他的経済水域(EEZ)」の面積は国土の12倍もあり、世界でも第6位。ここには、さまざまな海底資源が眠っている。

 科学技術が発達し海底資源を低コストで取り出すことができれば、日本は一気に「資源大国」に変身できる。日本の未来を考えると、日本の生き筋は地球最後のフロンティア海洋開発にあるといっても過言ではないだろう。ただ、採掘技術が確立されていないうえ、大幅なコスト削減による採算性アップが不可欠だ。環境への影響も未知数で、乗り越えるべき課題は多い。

 採掘現場は、北緯33度56分・東経137度19分の愛知県の渥美半島沖。海底面は水深約1000mで、メタンハイドレート層はさらに深い水深約1270m~約1330m部分。同層にてメタンハイドレートをガスと水に分解を行い、船上でガスを回収する形で試験は行われている。

 なお、第1回海洋産出試験は、商業生産ではなく、調査段階の実験作業ながら、成功すれば減圧法による海底面下のメタンハイドレートの生産状況や周辺環境への影響の把握など、将来のメタンハイドレートの実用化に向けた貴重なデータが得られることから、メタンハイドレートの資源開発研究にとって大きな前進となることが期待されるという。

 そのため今後は、ガスの生産実験を約2週間実施し、生産実験を終了した後、今回の実験で生産されたガス量の集計や実験結果の解析作業などを進め、その成果を受けて、予定されている第2回海洋産出試験の計画や、将来の商業生産に向けた技術基盤の整備(フェーズ3:2016~2018年度予定)を進めていく予定だという。ぜひ頑張ってほしい。


 メタンハイドレートとは何か?
 メタン(methane) は最も単純な構造の炭化水素で、1個の炭素原子に4個の水素原子が結合した分子である。化学式は CH4。分子は炭素が中心に位置する正四面体構造をとる。常温、常圧で無色、無臭の気体。人に対する毒性はない。融点は −183 ℃、沸点は −162 ℃。

 メタンは強力な温室効果ガスでもあり、同量の二酸化炭素の21倍の温室効果をもたらすと言われている。メタンハイドレートとは、メタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている物質である。大量の有機物を含んだ土砂が低温・高圧の状態におかれ結晶化している。

 見た目は氷に似ているが、火をつけると燃えるために「燃える氷」と言われることもある。ほとんどが海底に存在するが、地上の永久凍土などで発見される場合もある。

 日本近海は世界最大のメタンハイドレート埋蔵量を誇ると言われ、このため日本のエネルギー問題を解決する物質として考えられているが、メタンハイドレートは固体であるため液体である石油とは違い、(石油が枯渇していない現状とも相まって)採掘にかかるコストが販売による利益を上回ってしまう。

 そのため現段階では商売として成立せず、研究用以外の目的では採掘されていない。ただし地球上から石油が枯渇した場合、日本は世界最大のエネルギー資源大国になると言われている。なお、日本政府は2016年までにこれらのメタンハイドレートの商業化に必要な技術を完成させる計画を行うとしている。(Wikipedia)

 経済産業省によると、東部南海海域のメタンハイドレートの埋蔵量は、国内の天然ガス使用量の十数年分にあたる約1兆立方メートル。北海道周辺や新潟沖も合わせると、日本近海の総埋蔵量はガス使用量の約100年分に相当する計7.4兆立方メートルに上ると推計されており、日本の新たなエネルギー源として「大きな可能性を持つ」(枝野幸男経産相)と期待されている。

 日本は石油資源には恵まれなかったが、メタンハイドレートに関しては、日本近海は世界有数の埋蔵地域だ。この東部南海トラフのうち、全体の6分の1にあたる調査対象海域だけでも約1.1兆立方メートルのメタンガスに相当するメタンハイドレートが埋まっていることが分かっている。この量は2005年時点での日本の年間ガス消費量の約13.5年分に相当する。


参考HP マイナビニュース:海底面下のメタンハイドレードから天然ガスの生産を確認


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