レアアースを南鳥島周辺に発見
 レアアースというと、希土類元素のことで、希少価値が高い物質である。レアメタルの一部も含む。ハイブリッド車や電気自動車の駆動モーター、エアコンなどの省エネ家電製品にレアアースを原料とする磁石が使用されている。その希少さゆえに戦略物資となりうる。

 これまで日本は希土類の輸入を90%以上中国に頼ってきた。しかし2010年(平成22年)4月に中国は希土類の出荷を4割削減すると通告してきており、同年9月に尖閣諸島における漁船船長拿捕の報復として、希土類の通関を全部差し止めたとみられる。

 しかし、民間備蓄が約1年分あると見られているため直接影響が及んでいるわけではない。この状況で、以前から金属類の国家備蓄(米国では実施済み)の必要性が言われており、2010年(平成22年)4月の輸出削減を踏まえ、同年7月経済産業省令の改正が行われ、備蓄が可能になった。

 2012年3月、日本国内 日本の最東端の南鳥島周辺の排他的経済水域内の海底にレアアースを大量に含む泥の大鉱床があることを東京大学の研究チームが発見していた。

 今回、さらに調査をすすめ、日本最東端の南鳥島の排他的経済水域(EEZ)内で発見されたレアアース(希土類)を含む海底の泥が、鉱床としては世界最高濃度であることを東大と海洋研究開発機構のチームが突き止め、3月21日に発表した。

 埋蔵量は国内消費の数百年分以上で、海底下数メートルの浅い場所にあり採掘も容易。ハイテク製品に欠かせないレアアースの国内自給へ大きく前進する成果だ。


 同機構の深海調査研究船「かいれい」で今年1月、泥を採取し分析。南鳥島の南200キロの水深5600~5800メートルの海底では海底下3メートル付近で最高6600 ppm、島の南南西250キロでも同8メートル付近で最高5000 ppmのレアアースを含むことが分かった。

 濃度は世界産出量の9割を占める中国の陸上鉱床(通常300~500ppm)の10倍以上。加藤泰浩東大教授は「想像を絶する夢のような濃度だ。日本の福音になるだろう。国を挙げて開発を急ぐべきだ」と話す。3~5年後に泥の引き揚げを開始したい考え。

 南鳥島のEEZ内では、加藤教授が昨年、最高1700 ppmのレアアース泥を発見。深さの分布などを把握するため、再調査していた。(産経news 2013.3.21)


 中国の32倍、5000 ppm超高濃度レアアース埋蔵
 海洋研究開発機構の鈴木勝彦・海底資源研究プロジェクト主任研究員と東京大学大学院のエネルギー・資源フロンティアセンターの加藤泰浩教授らは、小笠原諸島・南鳥島(東京都)周辺の海底下で、最大約6,600ppm(ppmは100万分の1)の超高濃度のレアアース(希土類)を含む堆積物(レアアース泥※)を発見したと発表した。

 今年1月に行った深海調査研究船「かいれい」による調査で、南鳥島周辺の水深5,600-5,800メートルの海底7カ所で堆積物の試料を採取し、レアアース濃度の鉛直分布を調べた。その結果、海底下3メートル付近の地層に6,500ppmを超える超高濃度のレアアース泥が存在することが分かった。さらにレアアース泥は複数地点の海底下10メートル以内の浅い場所からも出現した。特に5,000ppmを超える高濃度のレアアースは、レアアース泥の上端1-2メートル以内に存在することも明らかになったという。

 レアアースは世界生産の9割以上を中国が占めている。今回、高濃度のレアアースが発見された場所は日本の排他的経済水域(EEZ)内で、レアアースの元素のうちでも、ハイブリット車のモーターなどに使われる「ジスプロシウム」は中国鉱山の32倍の濃度が含まれるという。

 今回の研究成果は、南鳥島周辺のレアアース資源の埋蔵量や分布、成因の解明研究や開発などに必要な科学的知見をもたらすものと期待される。成果の詳しい内容は、新たなデータ解析結果を加えて、今年5月に開かれる「日本地球惑星科学連合2013年大会」で発表する予定だという。

 レアアース泥とは、太平洋の深海底に広く分布する、レアアースを豊富に含んだ暗褐色の泥質堆積物。

 レアアースに含まれる17元素のうち、特にジスプロシウムやルテチウムなどの重い元素「重レアアース」の含有量が高い。海底に広く分布しているために資源量が膨大、地層として分布しているため探査が容易、開発の障害となる放射性元素(トリウムやウランなど)を含まない、レアアースの抽出が容易 -- などの特長を持つ。加藤泰浩教授らによって発見され、2011年7月に「ネイチャー・ジオサイエンス誌」に発表された。(JAMSTEC 2013/03/23)


 南鳥島周辺の水深5,600m~5,800m
 東京大学(東大)と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は3月21日、深海調査研究船「かいれい」を用いて2013年1月に実施した研究航海のおいて、南鳥島周辺の水深5,600m~5,800mの海底より採取した堆積物のコア試料の化学分析を行い、海底表層付近におけるレアアース濃度の鉛直分布を調べた結果、南鳥島南方の調査地点において、海底下3m付近に、最高6,500ppm(0.65%)を超える超高濃度のレアアースを含む堆積物(レアアース泥)が存在し、複数の地点で海底下10m以内の浅い深度からレアアース泥が出現することを発見したと発表した。

 同成果はJAMSTEC 海底資源研究プロジェクトの鈴木勝彦主任研究員らと、東大大学院工学系研究科附属エネルギー・資源フロンティアセンターの加藤泰浩 教授(JAMSTEC海底資源研究プロジェクト招聘上席研究員)らによるもの。

 レアアースは、先端科学技術を実現する上で必要となる金属ながら、存在量が少なく、かつその埋蔵地も地域的に偏りがあり、日本はそのほとんどを輸入に頼るなど、コスト的な問題や地政学的リスクといった課題などが存在していた。そうした中、加藤教授らの研究グループは、タヒチ沖、ハワイ沖などの太平洋の海底に膨大な量のレアアース泥が存在することを2011年に発見したことを報告していた。

 発見されたレアアース泥は、高濃度のレアアース(600~2,230ppm)を含み、特に世界シェアの大部分を占める中国の陸上鉱床を凌ぐ高い重レアアースの濃度を持つなどの資源として有利な特長を備えており、資源として期待されるほか、2012年にも研究グループは、日本の排他的経済水域(EEZ)内である南鳥島周辺海域にもレアアース泥が存在することを報告していた。しかし、その際の調査では、南鳥島周辺海底下10m以深に1,000ppmを超える高濃度のレアアース泥が存在していることが確認されたものの、堆積物コアの採取地点が2カ所のみであることとコアの回収率が低いことから、その詳細な深度分布や水平方向への広がりについては不明な点が多く残されていたという。


 海底下1m~3mの浅いところに超高濃度レアアース
 今回の調査では、南鳥島周辺の海底表層付近におけるレアアース濃度の鉛直分布を確認するため、2013年1月21日から31日に「かいれい」による、南鳥島周辺の調査を実施し、数地点において、最大で海底から20m長のコア試料採取可能な「ピストンコアラー」を用いて海底堆積物のコア試料の採取を行い、中でも3~5kHz前後の周波数の音波を用いた測深機「サブボトムプロファイラー」を用いた事前調査から海底表層付近にレアアース泥が発見される可能性が高いとされる2地点にて、採取したコア試料の鉛直方向のレアアース濃度分布を調べたところ、2地点のうち1地点で海底下3m付近に総レアアース濃度がタヒチ沖に分布するレアアース泥の濃度(1,000~1,500ppm)の4~6倍、ハワイ周辺海域の濃度(600ppm)の10倍に達する6,500ppmを超える超高濃度のレアアース泥が存在することを確認したという。また、別の地点でも5,000ppmに達する高濃度のレアアース泥が海底下8m付近に分布していることを確認したという。

 研究グループでは、今回の調査以前、南鳥島地域は太平洋プレート上のレアアース濃集海域を通過してから3000万年以上を経過しているため、その間にレアアースを含まない表層泥がレアアース泥の上に10m以上堆積していることを予測していたが、実際の調査からは表層堆積物の被覆が予測より薄く、比較的浅い深度に超高濃度レアアース泥が存在していることが判明したという。また、5,000ppmを超えるような超高濃度のレアアース泥は、レアアース泥層の上部1~2mの位置に出現しており、この理由の1つとして、レアアースを取り込みやすい鉱物が、堆積物中で放出されたレアアースを捕らえ、濃集した可能性が考えられると説明している。

 さらに、今回の調査結果とサブボトムプロファイラーによる地下構造イメージを比べたところ、採取されたコア試料のレアアース濃度のプロファイルや岩相変化とよく対応していることが示され、船上からのサブボトムプロファイラー観測を活用することにより、レアアース泥の出現深度や厚さについての情報を効率的に推定できることが示されたことから、研究グループでは今後、ピストンコアラーによる調査を進める際の有効な手法になるとの期待を示す。

 なお、研究グループでは今回得られたデータを基に、今後、ほかの地点のコア試料の分析とその検証を進めるとともに、先端の分析機器や解析技術を活用して微小領域の分析や化学状態分析を通じて、レアアースを濃集している鉱物相の特定を行い、レアアース泥の生成プロセスを明らかにしていく予定としている。また、今後の調査航海において、サブボトムプロファイラーによる海底下数十mの地質構造の調査を進めるほか、ピストンコアラーによるコア試料の採取と分析を進め、南鳥島周辺のレアアース資源の分布など、今後の資源開発に必要な科学的知見の取得を進めていく予定としている。(JAMSTEC 2013/03/22)


参考HP 海洋開発機構(JAMSTEC):南鳥島周辺における、超高濃度レアアース泥発見


太平洋のレアアース泥が日本を救う (PHP新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所
トコトンやさしいレアアースの本 (今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社

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