春の嵐で風力発電の羽根が落下
 先日の台風並みの低気圧によって、全国で4人が亡くなった。三重県では、風力発電施設の巨大な羽根3枚が、発電機ごと落下した。1本だけ残った支柱の周りには、無残にも風車の羽根が落下している。

 高さ65メートルの鉄柱から、風車の羽根が落下したのは、三重・津市と伊賀市にまたがる風力発電施設「ウインドパーク笠取」。 風車の羽根は、1枚が長さ40メートル、重さおよそ6.5トンという巨大な羽根で、3枚あわせると、およそ20トン。 さらに、50トンを超えるという発電機や、それを支える鉄の枠組みなどをあわせると、落下した部分の総重量は、およそ140トンになる。

 なぜ風車は壊れてしまったのか?落下した風車を運営する会社の担当者は「かなり驚きました。ちょっと信じられない。秒速70メートルの風まで耐えられる設計になっているので。強風だけでは、落下する理由にならないと考えている」と話した。

 この風車は、2010年12月に運転を開始。 風速70メートルに耐えられる設計だというが、落下した当時の風速は、最大瞬間風速でも20メートルほどだった。 耐風工学にくわしい東京工芸大学工学部の田村幸雄教授は「地形の影響で、風が強くなって、平地よりもかなり風が強い可能性がある。平地の風速の倍くらいあったとしても、設置風速(秒速70メートル)の範囲内の風だから、何か構造的な欠陥があったのかもしれない」と話した。

 この発電施設には、落下したものを含めて、19基の風車があるが、現在は全ての風車の運転を停止している。 今のところ、ほかの風車に異常はないという。 落下現場では、けが人はなかったが、各地では強風による被害が相次いだ。 (FNN 2013.4.10)


 風吹けど儲からぬ陸上風力発電
 エネルギー産業に詳しい一橋大学大学院商学研究科教授の橘川武郎氏は、「そもそも日本の地理的条件が風力発電を難しくしている」と指摘する。

 「地球は偏西風の影響でいちばん安定的な風は西から吹きます。だから大陸西海岸に位置するヨーロッパは風力発電に適しています。でも、日本は大陸の東岸近くに位置しているので、安定した風況が望めません。そのうえ台風も多く、度重なる暴風雨が発電機の耐久性を阻害している可能性はあります。2003年9月に沖縄県・宮古島を襲った台風では、沖縄電力の6基の発電機がすべて壊されました」

 恵みの風も程度が問題ということか。そこで今、陸よりも期待されているのが「洋上風力発電」だ。

 これまで日本では、遠浅の場所が少ないために海底に土台を置いて固定する「着床式」のインフラ整備が遅々として進まなかった。だが、ここにきて土台要らずの「浮体式」の実証実験が長崎県五島市沖や福島県沖など、あちこちで本格化している。“浮いた風車”の行方を見守るのは、東芝、JFEスチール、三井造船、三菱重工業など復活をかける重厚長大産業のメインプレーヤーたちである。

 「平成32年に洋上風力発電の能力を100万キロワット(現在の発電能力の40倍超)にしたい」と石原伸晃環境相も鼻息が荒いが、当の国の財政支援がなければ空論に終わる可能性もある。前出の橘川氏はいう。

 「太陽光発電と同じで、いくら設備が充実しても送電線が近くまで敷かれていなければ電力を有効に使えませんし、トータルのコストは高くついてしまいます。ところが、インフラ整備をすべき電力会社のほとんどが赤字を埋める値上げに精一杯で、とても設備投資にまでカネが回らないのが現状」(前出・橘川氏)

 仮に、インフラ整備のコストを加味して再生エネルギーの買い取り価格が上がれば、再び企業や一般家庭の電力料金に跳ね返るため、よほどの将来性を示さない限り、国民の合意は得られないはず。

 さらに、洋上風力発電には参入企業の意欲を失わせるような逆風も吹き荒れる。

 「風車の羽根に鳥が激突する『バードストライク』はじめ環境影響評価(アセスメント)が厳しく、風力発電の事業計画から営業運転まで4~9年の期間を要したり、立地によっては漁業権の侵害とみなされて高い補償を要求されたりもします。こうした課題を一つずつクリアするのは容易ではありません」(橘川氏)

 市場調査会社の富士経済によると、洋上風力発電の全世界の市場規模は、2011年に3864億円だったのが2020年には4兆3442億円にまで膨れ上がると予測している。だが、こと日本においては、民間の企業努力だけでは十分な風は起こせそうにない。(ニュースポストセブン 2013.04.10)


 “着床式”洋上風力発電が実証運転
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京電力が共同で、千葉県銚子市の沖合約3キロメートルに建設していた洋上風力発電設備(出力2,400キロワット)が完成し、本格的な実証運転を開始した。今回の風力発電設備は基礎部分を海底に固定した「着床式」で、遠浅の沖合に設置したのは国内で初めてという。

 水深約12メートルの沖合に完成したのは、海面からの高さが80メートルの鋼管支柱と直径92メートルのローターからなる洋上風車、および約285メートル離れた位置に設置された、海面からの高さ100メートルの洋上風況観測タワー。同タワーには、レーザー光線の照射によって風の動きを観測するドップラーライダーや鳥類レーダー、各種風速・風向計などが設置されている。

 風車で作られた電力は、海底ケーブルで陸地に送電する仕組み。実証運転では、風車の信頼性や継続的に発電を行うために不可欠なメンテナンス技術などを検証し、沖合洋上風力発電の導入や普及に必要な技術の確立を目指す。NEDOは、北九州市の沖合1.4キロメートルの海域でも洋上風力発電施設(出力2,000キロワット)の建設を進めている。

 洋上風力発電は、海底に土台で固定する「着床式」が海外では主流だが、日本では適した遠浅の海域が少なく、普及が進んでいない。環境省は、土台が不要で、海上に風車を浮かせる「浮体式」の洋上風力発電の開発に取り組み、長崎県・五島列島の椛島(かばしま)沖の水深約100メートルの海域に、国内初の浮体式洋上風力発電の試験機(ローター直径22メートル、出力100キロワット)を設置し、運転を始めている。さらに新年度からは椛島沖で出力2,000キロワットの実証機を設置し、2016年度の実用化を目指す。(マイナビニュース 2013/03/12)


 “浮体式”の洋上風力が本格始動へ
 日本の再生可能エネルギーで最もポテンシャルが大きいのは洋上風力発電だ。特に注目を集めているのが発電設備を海上に浮かべる「浮体式」で、大規模な実証プロジェクトが長崎県と福島県の沖合で始まる。環境や漁業に対する影響の評価も含めて、導入拡大に向けた実用性が試される。

 風力発電の特徴は風速や風向きによって発電量が大きく変わることである。通常は風速が速いほど発電量が大きくなる。日本列島の近海では平均風速が6.5メートル/秒を超えるところが大半で、発電効率(発電機の能力に対する発電量)は30%前後に達する。陸上の風力発電だと20%前後、太陽光発電は12%程度で、洋上風力発電の優位性は明らかだ。

 日本風力発電協会の予測によると、2020年から洋上風力の導入量が増え始めて、2050年までに陸上風力と同じくらいの発電規模になる。特に大きく伸びるのが発電設備を海上に浮かべる「浮体式」で、海底に固定する「着床式」と比べると2倍以上の規模が見込まれている。

 その理由は日本の近海に浅いところが少なく、着床式に適した場所がさほど多くないからである。一般に水深が50メートル以下であれば着床式、50メートルを超えたら浮体式を選択する。浮体式を設置できる海域は日本の周辺に広がっている。

 ただし浮体式は技術的に難易度が高く、コストもかかる。大規模な風力発電設備を海に浮かべるために、波や潮によって揺れ動くことの対策を施さなくてはならない。建設費や維持費が高く、陸地までの送電線の敷設費も着床式より多く必要になる。

 期待と課題が大きい洋上風力発電だが、すでに大型のプロジェクトがいくつか動き始めている。海岸から近い場所に設置した風力発電所が各地で商用段階に入ったほか、陸から1キロメートル以上離れた沖合でも4か所で実証実験が進んでいる。

 五島列島の椛島(かばしま)から1キロメートルほどの海上に発電機が浮かび、海底まで送電ケーブルがつながっている。水深は約100メートルある。平均風速は7メートル/秒で、風力発電には十分な条件がそろっている。

 浮体式の発電設備は揺れに対応するために、円筒形や三角構造のものなど、いくつかのタイプが開発されている。五島沖のプロジェクトでは円筒形の「スパー型」を選択した。浮体式の中では構造が簡単で、相対的にコストが安くなる。

 このほかに「セミサブ型」と「TLP型」がある。どちらも基礎部分が半分くらい海面下にあって、揺れを抑える方法に違いがある。浮体式による国内で2番目の実証実験が福島県の沖合で始まるが、スパー型に改良を加えたものとセミサブ型の両方を導入して、揺れの影響などを比較することになっている。

 一方、五島沖の実証実験では小規模な試験機に続いて、出力が2MW(メガワット)ある商用レベルの実証機を7月に設置する予定だ。風車の直径は80メートル、全体の長さは170メートルにもおよぶ。

 この大型の実証機を使って2015年度まで約3年間の実験を続ける。発電能力や環境への影響などを検証して、2016年度からの実用化を目指す方針だ。

 環境影響の評価項目は多岐にわたる。大気と水中の騒音をはじめ、水質、海洋生物や鳥類、景観、そして漁獲量やプランクトンの状況などを含めて漁業への影響も細かく検証する。実際に福島県沖のプロジェクトでは地元の漁業関係者から建設反対の声が上がっている。

 将来に向けて洋上風力発電を拡大するためには、五島沖や福島県沖の実証実験を通じて漁業と環境に対する影響が小さいことを証明する必要がある。2つのプロジェクトの結果は極めて重要な意味をもつ。(スマートジャパン)


参考HP スマートジャパン:海に浮かぶ未来の発電所、浮体式の洋上風力が本格始動 サイエンスポータル:“着床式”風力発電が実証実験開始


洋上風力発電-次世代エネルギーの切り札- (B&Tブックス)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社
トコトンやさしい風力発電の本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社

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