ハビタブルゾーンにある3つの天体
 地球に似た天体が3個も発見された。いずれも、太陽との距離がちょうどよく、生命の住みやすい“ハビタブルゾーン”にある。このような天体は、これまでも発見されているが、今回の3天体は、大きさが地球とそれほど変わらない。

 つまり、観測技術が向上して、ついに地球ほどの大きさを持つ、遠くの系外惑星まで観測可能になったということだ。これは人類の永年の夢である、地球のように美しい「第2の地球」の発見にまた一歩近づいたと思う。その候補が今回3つも発見されたということは、大宇宙では、地球そっくりの美しい天体は、もはやあたりまえのように存在するのかもしれない。

 発表したのは米航空宇宙局(NASA)などの研究チーム。4月18日、生命存在の可能性がある太陽系外の惑星が、NASAの宇宙望遠鏡「ケプラー」の探査で新たに3個見つかったことを発表した。

 3個の惑星はいずれも、恒星との適度な距離があって、液体の水が存在する可能性のある「ハビタブルゾーン」で見つかった。このうち「ケプラー62e」「ケプラー62f」については18日の科学誌「サイエンス」に発表された。この2個は恒星「ケプラー52」の周りを公転している。ケプラー62はこの2個を含めて5個の惑星をもち、地球からの距離は1200光年。


 ケプラー62fの大きさは地球の1.4倍で、地球に似た環境を持つ可能性は3個の中で最も高い。267.3日間かけて恒星の周りを公転しており、大陸や水が存在する可能性がある。

 一方、ケプラー62eは地球の1.6倍の大きさで恒星までの距離がやや近く、大部分が深い海に覆われているとみられる。公転周期は122.4日。

 もう1つの惑星「ケプラー69c」は天文物理学会誌に発表された。地球からの距離は2700光年。大きさは地球の1.7倍で、深さ数千キロの海に覆われていると考えられる。気温は地球よりもはるかに高く、金星に近いかもしれないといい、「もし生命がいたとしたら、我々の世界とはかなり違う姿をしているだろう」と研究者は解説する。

 ケプラー研究者の1人、トーマス・バークレイ氏は「こうした発見を重ねるほど、ますます地球が特別な場所とは思えなくなり、地球のような場所は至る所にあるのではないかと思えてくる」と話している。(CNNnews 2013.04.19)

 発見した3個のうち2個は岩石でできているとみられ、生命を育む海のような環境がある可能性もある。チームは「実際に生命が存在するかどうかは分からないが、宇宙にはこうした地球型惑星が意外に多く存在するかもしれない」としている。

 チームはNASAのケプラー宇宙望遠鏡を使い、地球から1200光年離れた恒星の「ケプラー62」と、2700光年離れた「ケプラー69」を観測。恒星からの距離が近すぎることも遠すぎることもない軌道に、それぞれ2個と1個の惑星が周回しているのを確かめた。惑星はいずれも地球よりひとまわり大きく、生命活動を維持しうる表面温度が保たれていると研究者はみている。(共同 2013.4.19)


 地球に似た星、結構近い? 「13光年先に」と米チーム「生命見つけるチャンス」
去る2013年2月6日には、太陽から13光年先の近い場所に、ハビタブルゾーンにあり、温暖で水が存在する「地球型」の惑星があるかもしれないとする解析結果を、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターや米航空宇宙局(NASA)の研究チームが発表した。

 ハビタブルゾーンにある地球型惑星は、太陽より小さくて暗い赤色矮星の周囲を回っている可能性がある。チームは銀河に数百億個ある赤色矮星のうち、6%がそうした地球型惑星を伴っていると推計。最も近いものがどの距離にあるかを確率的に計算した。

 これまで20光年先などで地球型惑星の候補が見つかっている。研究者は「すべての地球型惑星に生命が存在するかどうかは分からないが、生命を見つけるチャンスはこれまでより高まった」としている。

 チームはケプラー宇宙望遠鏡の観測データを解析。惑星の直径や赤色矮星からの距離を考慮し、温度環境が地球に近く水が液体で存在できる惑星の割合を推計したものである。(共同 2013.2.7)


 これまで発見されたハビタブルゾーンにある惑星たち
 ハビタブルゾーンとは、恒星の周囲で惑星の表面温度が高すぎず低すぎず、水が液体で存在でき、したがって地球上のような生命を維持するのに適した領域をいう。ハビタブルゾーンを周回することが分かった惑星はかなりあるが、大半は木星や海王星くらいのサイズで、生命がいる可能性は低い。

 NASAは2011年12月5日、600光年先にある太陽に似た恒星を周回する地球とよく似た惑星が確認されたと発表。生命の存在に最適な位置だった。NASAの宇宙望遠鏡ケプラーが発見した惑星は、ケプラー22bと名付けられた。ケプラー22bは直径が地球の約2.4倍。恒星のハビタブルゾーンの中心域で、海王星より小さい惑星が見つかったのは、初めてのことだった。

 さらに、2011年12月20日、NASAが発表した2つの惑星、ケプラー20eとケプラー20fは、“地球サイズ”と呼べる初めてのものだった。だが、恒星に近すぎて残念ながら生物は棲めそうになかった。この発見で、ケプラーが地球サイズの小さな惑星でも発見できることが証明された。

 2012年12月20日、「くじら座」のタウ星に発見された惑星は、地球から12光年先のハビタブルゾーンにあり、大きさは地球の5倍、生命が存在する可能性がある惑星としては、これまで発見された中で最も地球に近いものであった。

 ハワイのケック天文台などによる観測で惑星候補が見つかったのは、12光年かなたにある太陽と同タイプの恒星、くじら座τ(タウ)だ。5つの惑星は地球の2~5倍の質量を持つ「スーパーアース」で、そのうち1つは液体の水が安定的に存在できる範囲(ハビタブルゾーン)にある。地球の約5倍の質量は、これまでハビタブルゾーンで見つかったものとしてはもっとも軽い。

 発表者のMikko Tuomiさん(英ハートフォードシャー大学)らの国際研究チームでは、小型の系外惑星に由来する弱いシグナルを検出するための技術を開発しており、そのテスト観測中にもたらされた予想外の発見となった。

 メンバーの一人、James Jenkinsさんは「恒星としてはひじょうに近くにあり、しかも明るいので、遠くない将来にこれらの惑星の大気を調べることができるかもしれません」と期待する。「こんなに近くに見つかったということは、この天の川銀河にはこうした惑星系がありふれているということを示しています」。

 またSteve Vogtさんによれば、今回の発見は、ほとんどの恒星に惑星系が存在するのではという考えに沿ったものだという。「現在わかり始めているのは、複数の惑星がそれぞれ100日以下の周期で1つの恒星を回るような惑星系が多数派なのではということです。公転周期88日の水星が一番内側という太陽系は少数派なのかもしれません」。(2012年12月20日 ケック天文台)


アイラブサイエンス:12光年先くじら座タウ星のハビタブルゾーンに第2の地球発見


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