周期ゼミの進化の謎
 セミの仲間というと土の中で長い間過ごすことが知られている。昔は7年間といわれていたが、セミによって幼虫の期間は違うことがわかってきた。 短いものでは2、3年、アブラゼミで4年だそうだ。長いものでは13年、17年というものもある。セミは幼虫時代もふくめれば長寿の部類の昆虫だ。(世界一はシロアリの女王で100年)

 周期ゼミである、13年、17年ゼミは、13年、17年ごとに大発生するのでこう呼ばれている。年によっては、70億匹も発生することがある。この数は世界の総人口に匹敵する。これは、外敵に食べつくされないほどのものすごい数によって、確実に生き残ることができるという、生物の知恵なのではないかといわれる。

 13年ゼミや17年ゼミは、ほかの周期ゼミと羽化の年がかさなる機会の少ない「素数」の周期をもっていたため、周期がみだれにくく、今まで生き残ってきたのではないかと考えられている。 周期ゼミのナゾについては、まだはっきりとわかっていないことも多い。このように自然がもつ不思議な力には、おどろかされることが多い。


 周期ゼミの大量発生
 この春には、ノースカロライナ州からコネティカット州にかけてのアメリカ東海岸地域で、セミの大量発生が見込まれる。しかし、こうした周期ゼミが13年、あるいは17年周期で一斉に成虫になる理由は謎のままだ。

 周期ゼミはその一生のほとんどを地下で暮らし、バクテリアや木の根の樹液を食料として成長する。そして生後13年目あるいは17年目(種によって異なる)を迎えた年に、地中の温度が摂氏18度に達すると、地上に出て成虫となり交配相手を探し始める。

 周期ゼミは発生する年によってブルードと呼ばれる年級群に分けられ、それぞれの集団で個体数や発生年が異なる。しかし2013年4月に予定されているブルードIIの発生時には、無数のセミが空を埋め尽くすとみられる。

 一部の研究者は、これらのセミが独特の発生周期を持つに至ったのは、長期の進化によるものだと考えている。通常の1ないし2年周期で発生するセミは、この周期を把握している捕食者に捉えられやすい。これに対し、13年または17年の周期であれば、地上に出てくるタイミングを捕食者に悟られにくいというわけだ。

 2004年にブラジルの研究チームが発表した論文では、セミの発生周期はランダムな年数でなく、素数になった場合に、最も生存率が高まることが示唆されている。


 DNA分析でわかったこと
 そして今回、京都大学を中心とする日本およびアメリカの専門家による新たな共同研究で、このような独特の発生間隔を持つことで、周期ゼミのDNAが徐々に変化してきたことが判明した。さらにこの研究により、別種のセミは、成虫になるまでの期間が同じだとしても、数百万年の間にそれぞれ独自に進化を遂げていたこともわかった。

 これらの新たな発見は、コネティカット大学に保存されていた30年分のセミのDNAサンプルを対象とした分析で明らかになった。研究者はDNAの微細な相違点を比較して周期ゼミの系譜を作成するとともに、現存種の系統地理的関係についても調査を行った。コネティカット大学の環境科学者でセミを研究するこの研究論文の共著者、ジョン・クーリー(John Cooley)氏によると、これらの手法による分析結果の重複部分を精査することにより、7種のうち少なくとも3種は390万年前に共通の祖先から分岐したことがわかったという。

 「この研究からわかるのは、これらの種について遺伝子パターンが認められるということだ」と、クーリー氏は説明する。「13年および17年周期で発生するセミは、複数の進化の道筋をたどり、それぞれの種が独自にこの周期にたどりついたものとみられる」。

 遺伝子に刻まれているとはいえ、セミの発生周期は完全に固定されているわけではない。これまでの研究で、こうしたセミの仲間では13年と17年の周期を行ったり来たりする場合があることが判明している。地球の気候の急激な変化により、セミが生来持っている計時メカニズムが混乱することが、周期変更の主な要因と考えられている。

 今回の研究は「Proceedings of the National Academies of Science」誌オンライン版に掲載された。(Daniel Stone for National Geographic News April 23, 2013)


 周期ゼミとは何か?
 周期ゼミとは、セミのうちMagicicada 属に属する複数の種の総称。毎世代正確に17年または13年で成虫になり大量発生するセミである。その間の年にはその地方では全く発生しない。ほぼ毎年どこかでは発生しているものの、全米のどこでも周期ゼミが発生しない年もある。周期年数が素数であることから素数ゼミともいう。

 17年周期の17年ゼミが3種、13年周期の13年ゼミが4種いる。なお、17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどない。17年ゼミは北部、13年ゼミは南部に生息する。なお、アメリカ合衆国には周期ゼミしかいないわけではなく、周期ゼミ以外のセミも100種以上生息する。

 周期ゼミは、発生する年により年次集団(brood)に分けられる。理論上、17年ゼミには17、13年ゼミには13、計30の年次集団が存在しうる。17年ゼミの年次集団にはI~XVII(1~17)、13年ゼミの年次集団にはXVIII~XXX(18~30)の通し番号が付いている。ただし、実際にある年次集団は30の半数の15である。したがって、全米のどこでも周期ゼミが発生しない年もある。

 年次集団は種によってはほとんど分かれていない。年次集団XVIIが M. septendecim のみからなる以外は、年次集団は複数の種からなり、多くは同じ周期の全ての種からなる。


 周期ゼミの理由
 なおこれらは全米での話で、各々の地方には1つの年次集団しか生息していない。つまり、ある地方での周期ゼミの発生は17年に1度または13年に1度である。周期的発生および素数年発生の適応的意義を最初に指摘したのはロイドとダイバス(Lloyd and Dybas,1966,1974)である。

 彼らは素数年での同時発生は、捕食者が同期して発生する可能性を抑えられるためではないかと指摘した。13年と17年の最小公倍数は221年であり、同時発生は例えば4年と8年に比べて頻度が小さくなる。それぞれの大量発生についてはいわゆる希釈効果で説明できる。まとまって発生することで個体が捕食される可能性を低下させることができる。かつては種の保存のためと説明されたが、現在では個体の生存に有利であるためと考えるのが一般的である。

 それとは別に、吉村仁は氷河期と成長速度を関連付けて説明した。他の周期をもつ種と交雑するとその周期が乱れるため、同じ周期を維持できなくなる。従って交雑種は大量発生年からずれて発生するようになり、希釈効果を受けられなくなるか、配偶相手を見つけにくくなる(ウォレス効果あるいは正の頻度依存選択による分断性選択)。そのため、もっとも他の周期と重なりにくい素数周期のセミが生き残った、と主張している。これは現存する17年蝉と13年蝉の他に化石種として12年蝉、14年蝉、15年蝉、16年蝉、18年蝉が発見されていることが証拠だとされる。(Wikipedia)


参考HP Nationall Geographic:周期ゼミの進化の謎、DNA調査で解明


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