梅雨といえば食中毒だが・・・
 6月13日に雨が降り、ようやく梅雨らしさを感じた。今年の梅雨は雨が少ない。6月14日、沖縄地方では早くも梅雨明けした。

 梅雨といえば気になるのが食中毒。ふだんから食べ物を腐らせない工夫や手洗いなど、予防や対策をしっかりしていると思うが、しっかり加熱したのに食中毒になる場合があるという、衝撃の新事実が明らかになった。

 作って一晩おいたカレーを食べるのが大好きな人は多い。調理の時しっかり加熱したのはもちろん、翌朝食べる前にも5分以上グツグツ火を通したにもかかわらず、なぜか食中毒になる場合がある。その正体はウェルシュ菌。

 食中毒菌というと、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌などだが、その多くは加熱すると死滅してしまう。ところが、このウェルシュ菌加熱しても、小さく縮こまるだけで死滅しない。


 そして火を止め、放置されているうちに、増殖に適した55~20℃の温度帯になると・・・。いったん加熱されたことで、ライバルとなる周りの菌がいなくなり、嫌いな酸素も抜けている鍋の中は、ウェルシュ菌にとっては「天国」。8時間ほどで食中毒を起こすほどの数まで大増殖するという。

 ウェルシュ菌の繁殖を防ぐポイントは、調理から2時間以内に20℃以下に冷やすこと。カレーやシチューのような、大量に作るどろっとした料理が残ったときは、特に夏場は、鍋の粗熱がとれたあと、小分けの容器に移し、冷蔵庫に入れて保存するのがよい。


 NHK「ためしてガッテン!食中毒の新常識」
 6月12日NHKためしてガッテンで放送された、「こんなのあり?食中毒の新常識」では、目からウロコの新事実に驚かされた。

 面白かったのは、腐敗したお弁当。実は食中毒になるとは限らない。むしろ腐敗菌の働きで、食中毒菌が抑えられることもあるという。

 次に、みんなの大好きなカレーライス。一晩寝かせると美味しくなるといって次の日もよく食べる。しかし、すぐに冷やさずにゆっくりと冷やすとウェルシュ菌の繁殖しやすい状態になる。

 次の日、食べる前にしっかり加熱したのに何と食中毒になることがあるという。その後、激しい腸の痛みに襲われ、3日間苦しみ入院した。ウェルシュ菌は100個/g以下ならば、害はない。ところが、食べる時には、約10万個/gにも増えていた。

 以下はNHKためしてガッテンからの引用である。

 「作って一晩おいたカレーを食べるのが大好きなAさん。調理の時しっかり加熱したのはもちろん、翌朝食べる前にも5分以上グツグツ火を通したにもかかわらず、なぜか食中毒になってしまいました。

 この食中毒の犯人は“ウェルシュ菌”。食材などについて鍋に入り込み、調理で加熱されている間は、“芽胞(がほう)”というカプセルのような状態になって、しぶとく生き延びます。

 そして火を止め、放置されているうちに、増殖に適した55~20℃の温度帯になると・・・。いったん加熱されたことで、ライバルとなる周りの菌がいなくなり、嫌いな酸素も抜けている鍋の中は、ウェルシュ菌にとっては「天国」。8時間ほどで食中毒を起こすほどの数まで大増殖してしまいます。

 少量では食中毒を起こさないウェルシュ菌ですが、こうなってしまうと、翌朝再加熱しても、大量の菌が再び芽胞を作って生き残るため、食中毒を起こしてしまうのです。

 ウェルシュ菌の繁殖を防ぐポイントは、調理から2時間以内に20℃以下に冷やすこと。カレーやシチューのような、大量に作るどろっとした料理が残ったときは、特に夏場は、鍋の粗熱がとれたあと、小分けの容器に移し、冷蔵庫に入れて保存するのがおすすめです。」


 ウェルシュ菌とは何か? 
 ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)とはクロストリジウム属に属する嫌気性桿菌である。河川、下水、海、土壌中など自然界に広く分布している。ヒトを含む動物の腸内細菌叢における主要な構成菌であることが多い。少なくとも12種類の毒素を作り、α,β,ε,ιの4種の主要毒素の産生性によりA,B,C,D,E型の5つの型に分類される。Clostridium perfringens B型菌の毒素はヒツジの赤痢の原因となる。

 一般に、ビフィズス菌などと対比され、悪玉菌の代表とされている。臭い放屁の原因、悪玉の常在菌である。グラム陽性非運動性偏性嫌気性であり、生体内または血清添加培地で増殖した場合、莢膜を形成する。一般に芽胞は形成されにくい。至適増殖温度は43-47℃。分裂時間は45℃で約10分間と短い。37℃で最も多くの毒素を産生する。

 毒素としては、A型菌はα毒素,B型菌はα,β,ε毒素,C型菌はα,β毒素,D型菌はα,ε毒素,E型菌はα,ι毒素を産生する。
(α)アルファー毒素は、ガス壊疽の際の毒素で組織破壊作用があり、肺から吸引した場合、致命的な肺の障害を起こす恐れがあり他の生物兵器同様、テロリストによる使用が懸念されている。 (β)ベータ毒素は、壊死性腸炎の際の毒素で組織破壊作用がある。(ε)イプシロン毒素は、動物実験で神経毒性が見つかっている。 (ι)イオタ毒素は細胞毒性を示す。


 ウエルシュ菌の病原性
 ウェルシュ菌はその発症機序、病型により、ガス壊疽、出血性腸炎、エンテロトキセミア、食中毒の4種に区別される。

 ガス壊疽: 主にA型菌により全身中毒症状を示す。但し、全てのA型菌がエンテロトキシン生産性を示さない。 出血性腸炎またはピグベル( pigbel ) C型菌により腸炎を発症、腸管に壊死性病変、出血性病変を形成する。パプアニューギニアの高地で多い。

 エンテロトキセミア: 毒血症を示す。詳細はエンテロトキセミアを参照。

 食中毒: 給食病または給食菌( food service germ )やカフェテリア菌( cafeteria germ )の別名で呼ばれることもある。A型菌の産生するエンテロトキシンによる生体内毒素型の食中毒である。

 芽胞が一旦高温処理される事で芽胞形成能が活性化され、同時に溶存酸素が減少すると共に競合する他の菌が減少し増殖の好条件が成立し、緩徐に冷却される間(至適増殖温度)に食品中で増殖する。

 毒素の摂取ではなく原因菌の1千万-1億個以上の摂取により、腸管内で菌の増殖と共に芽胞が形成され同時に毒素が産生され毒素により発症する。

 8〜20時間の潜伏期の後、水様性の下痢を引き起こす。腹痛と下痢は必発であるが嘔吐、発熱は見られない、1〜2日で回復し、予後は良好である。 芽胞のみ100℃・1気圧・1時間の加熱で不活性化されず、残存する可能性がある。タンパク性食品が原因食となる場合が多い。(Wikipedia)


 ウェルシュ菌による食中毒について
 どんな食品が原因となるのだろうか?

 肉類、魚介類、野菜およびこれらを使用した煮物が最も多い。発生原因施設は、他の食中毒と同様に飲食店、仕出し屋、および旅館などであり、提供される複合食品によるものが多い。また、学校などの集団給食施設による事例も比較的多くみられ、給食におけるカレー、シチュー、スープ、麺つゆなどのように、食べる日の前日に大量に加熱調理され、大きな器のまま室温で放冷されていた食品に多い。

 『加熱済食品は安心』という考えがウェルシュ菌による食中毒の発生原因となっています。逆に、家庭での発生は他に比べて少ないことが特徴的です。

 食中毒の症状はどのように現れるのだろうか?

 潜伏時間は約6~18時間で、ほとんどが12時間以内に発症します。腹痛、下痢が主で、特に下腹部がはることが多く、症状としては軽いほうです。

 予防のポイントは何だろうか?

1.前日調理は避け、加熱調理したものはなるべく早く食べること。
2.一度に大量の食品を加熱調理したときは、本菌の発育しやすい温度を長く保たないように注意すること。
3.やむをえず保管するときは、小分けしてから急激に冷却すること。  (東京都福祉保健局)


参考HP ためしてガッテン!:こんなのあり?食中毒の新常識 Wikipedia:ウェルシュ菌 東京都福祉保健局:食中毒を起こす、ウェルシュ菌


食中毒を防ぐ!家庭の調理新常識110―安全な食卓なくして「食育」なし。
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現代書林
食中毒の予防―O-157、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、etcから家族を守る (ブティック・ムック (No.204))
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