海王星に14番目の新衛星を発見
 ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、海王星に14番目の衛星が見つかった。ハッブルが撮影した海王星系に、新衛星S/2004 N 1がとらえられていた。(提供:NASA, ESA, and M. Showalter (SETI Institute))SETI研究所のMark Showalterさんたちの研究グループが7月1日、海王星に14番目の衛星を発見した。

 Showalterさんは海王星の周囲をハッブル宇宙望遠鏡で観測していたところで、移動速度が速いアーク(リングの断片)や衛星のぶれを画像処理で修正したところ、見たことのない白い点が見つかった。ハッブルが2004年から2009年までに撮影した画像150枚を処理してみると、同一の天体が23時間で公転するようすが浮かびあがったという。

 S/2004 N 1と符号が付けられたこの新衛星は海王星からはおよそ10.5万km離れている。幅は20kmほどと推定されており、これまで見つかった海王星の衛星では最小となる。


 海王星とは?
 海王星(Neptune)は、太陽系の太陽に近い方から8番目の惑星である。太陽系惑星の中では最も太陽から遠い位置を公転している。名称のNeptuneは、ローマ神話における海神ネプトゥヌスにちなむ。

 海王星は巨大な氷惑星で、太陽から非常に離れているため、わずかな熱しか受けていない。表面の温度は-218℃である。しかしながら、中心部の温度は、約5,000℃である。 内部の構造は天王星と似て、氷に覆われた岩石の核を持ち、厚い大気が存在していると考えられている。また、ボイジャー2号の接近時に表面に大暗斑(だいあんはん)または大黒斑と呼ばれる台風の渦巻きの様な模様が発見されたが、その数年後に地球からの観測が行われた時には既に消滅していた。

 海王星の風は、最大で時速2,000kmにも達し、太陽系の中でも最速の部類に入る。木星や土星同様、内部に放射性元素の崩壊と考えられる熱源を有しており、太陽から受けている約2倍ほどの熱を、自ら供給していると考えられている。

 また、海王星には磁場が存在する。天王星と同様に磁場の中心は惑星の中心から大幅にずれており、46.8゜自転軸から傾いている。

 海王星の大気には、水素が84%、ヘリウムが12%含まれ、メタンも含まれている。天王星と同じく、大気に含まれるメタンの影響で美しい青色をしている。天王星に比べより青みが深い理由は、未知の化合物によるものと考えられている。

 ヨーロッパ南天天文台(ESO)の観測結果によれば、海王星の南極が周辺に比べて10度ほど暖かくなっている事が判明している。

 ハッブル宇宙望遠鏡の観測によれば、海王星にも地球と同様に、季節がある可能性を示唆している。


 内部構造
 海王星の内部構造は、天王星のそれと似ている(→天王星型惑星)。海王星の大気は質量ベースで星の 5-10% を占め、大気圏の厚さは星の半径のおそらく 10-20%、大気圧は 10GPa。大気圏の下層に近づくに従い、メタン・アンモニア・水の濃度が上昇する。

 大気圏下層のより暗く高温の層は、徐々に凝縮して液体のマントルとなり、その温度は 2,000-5,000K に達する。このマントルは地球 10-15 個に相当する質量を持ち、水・アンモニア・メタンに富む。惑星科学分野の習慣では、このような状態は高温で高密度な液体であるにもかかわらず「氷」と呼ばれる。

 この高い電気伝導率を持つ液体は、しばしば「水とアンモニアの海」(water-ammonia ocean) と呼ばれる。水深 7,000km の深度では、マントル中のメタンがダイヤモンドの結晶へと分解され、核に向かって沈殿している可能性がある。マントルは水分子が水素および酸素のイオンに分解されてできた「イオン水」(ionic water) の層によって構成され、さらに深部では酸素が結晶化し、水素イオンがその結晶格子の中を漂う「超イオン水」(superionic water) の状態にある層から成っているとされる。

 海王星の核は、鉄、ニッケル、ケイ酸塩で構成され、地球のそれの1.2倍の質量を持つ。中心の圧力は、7Mbar (700 GPa)で、温度は 5,400K である。


 海王星の発見
 太陽から8番目、最も外側の惑星である海王星は、通常の観測ではなく数学的な予測によって惑星と認識された最初の惑星だった。ガリレオは1612年と1613年に行った小さな望遠鏡による観測で、この星を恒星として記録している。

 天王星の実際の軌道運動と天文学者の予想との間に誤差が出たため、フランスの数学者ユルバン・ジョセフ・ルヴェリエは、天王星で確認された軌道の変動の原因となる未知の惑星として、新たな惑星の位置と大きさを発表した。フランスの天文学者たちはこれを無視したため、ルヴェリエはベルリン天文台のヨハン・ゴットフリート・ガレに彼の予測を伝えた。ガレは、その観測を始めた1846年の最初の夜に海王星を発見している。その17日後には、海王星の最大の衛星トリトンも発見された。

 太陽から約45億キロも離れている海王星は、165年をかけて太陽を一周する。地球から極めて遠いため、その姿を肉眼で見ることはできない。

 海王星の磁場の主軸は、その自転軸を基準にして約47度傾いている。磁気軸が自転軸から約60度傾いている天王星と同じように、海王星の磁気圏ではこの不一致が原因で各自転の間に激しい変動が起きている。海王星の磁場は、地球の磁場よりも27倍ほど強力である。

 海王星は、地球サイズほどの核を水やメタンなどの凍った外殻が覆い、さらに非常に厚みのある大気が取り巻いている。海王星の青い色は、大気中のメタンによって生じている。天王星の青緑も大気中のメタンによるものだが、海王星の青の方が明るく鮮やかに見える。その強烈な色を生み出している未知の成分があると考えられているが、その理由はいまだに謎のままである。


 謎の嵐
 太陽から非常に遠く、太陽から受けるエネルギーも少ないにもかかわらず、海王星に吹く風は木星の3倍、地球の9倍も強い。

 1989年、ボイジャー2号は海王星の南半球で楕円形をしている色の濃い巨大な嵐を観測した。このハリケーンのような大暗斑は、観測の結果、地球全体がのみ込まれるほど大きいことがわかっている。大暗斑は反時計回りに回転し、およそ時速1200キロで西へ向かって移動していた。しかしそれ以降にハッブル宇宙望遠鏡から送られてきた画像には、ボイジャーが写した大暗斑の形跡すら全くなかったのである。1994年には北半球に同じような点が出現しているが、1997年までに消失してしまっている。ボイジャー2号は、雲がさらに低い雲層に影を落としている写真も撮影した。この写真により、科学者は上の雲層と下の雲層の高度差を視覚的に測定することができた。

 この惑星には、1989年のボイジャー2号の観測によって確認された厚さが異なる6本の環がある。海王星の環は比較的新しく、比較的短命であると考えられている。

 海王星では13個の衛星が確認されており、そのうちの6個はボイジャー2号によって発見された。最大のトリトンは、海王星の自転とは逆方向に海王星の周囲を公転している。トリトンは、太陽系で探査された天体のうち最も温度の低い天体で、表面温度は摂氏マイナス235度前後である。そのような極度の低温にもかかわらず、ボイジャー2号は、凍った物質を8キロ以上も吹き上げている間欠泉を発見している。ボイジャーが発見したトリトンの薄い大気は、発見以来何度か地球から観測されており、温度が上昇していることも確認されているが、まだその理由はわかっていない。


参考HP Wikipedia:海王星 National Geographic:海王星 


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