カーボンナノチューブ
 カーボンナノチューブ(CNT)というと、1991年、日本の飯島澄男氏(当時NEC筑波研究所。現NEC特別主席研究員)によって、フラーレンを作っている途中にアーク放電した炭素電極の陰極側の堆積物中から初めてTEM(透過電子顕微鏡)によって発見された。

 この発見の後、日本の遠藤守信氏(当時信州大学工学部助教授。現同大教授)により、化学気相成長法によるカーボンナノチューブの大量生産技術が開発された。これにより生産されたカーボンナノチューブは「遠藤ファイバー」と呼ばれ、リチウム電池などに使用されているほか電子デバイス等多くの分野で実用化されている。この業績から飯島・遠藤両氏はノーベル賞候補とされている。(Wikipedia:カーボンナノチューブ

 このように電子デバイスには革新的な技術が生かされているが、電力を供給する配線については大きな進展が見られていなかった。

 デバイスの小型化に伴い、電流密度は高くなり、現在では既存の配線材料の限界に近づいている。国際半導体技術ロードマップによれば、2015年にはデバイス内の電流密度は、現在主に用いられている銅と金の破断限界を超えるとされている。


 一方、炭素系材料は高い電流容量をもち、電流密度の増大には対応できるものの、配線材料としては電気伝導度が不十分であり、新たな配線材料の開発が喫緊の課題となっていた。

 今回、電気伝導度の高い銅と、電流容量の大きいカーボンナノチューブ(CNT)を組み合わせた、CNT銅複合材料が開発された。密度が小さく、より軽い配線材料としての利用が見込まれ、いろいろな電子部品の小型化・高性能化への貢献が期待される。

 以下は産業技術総合研究所プレスリリース記事からの引用である。(銅の100倍の電流容量、カーボンナノチューブで新材料


 銅の100倍の電流容量、カーボンナノチューブで新材料
 産総研・ナノチューブ応用研究センターの畠賢治首席研究員らは、直径0.4-50 ナノメートル(1ナノは10億分の1)、長さが1-数十マイクロメートル(1マイクロは100万分の1)のカーボンナノチューブ多数を銅イオンの有機系溶剤に浸し、次に水溶液中で「電気めっき」をすることで、筒状のカーボンナノチューブの内部まで銅が入り込んだCNT銅複合材料を作製することに成功した。

 CNT銅複合材料は、従来の配線材料である銅や金に比べて100倍の電流容量をもち、1平方センチメートル当たり6億アンペアの電流を流せた。常温での電気伝導度は銅と同程度で、温度上昇による電気伝導度の低下は銅に比べて小さく、80 ℃では銅の電気伝導度を上回り、227 ℃では銅の2倍となった。

 電流容量と電気伝導度については従来、金属のような自由電子が多く原子間の結合が弱い物質では電気伝導度が高く、炭素系材料のような原子間の結合が強い材料では電流容量が大きいという関係がある。今回開発のCNT銅複合材料では、銅をチューブ内に十分充填することで高い電気伝導度を保ち、銅粒子をCNTで覆うことで大きな電流容量も同時に達成できたという。

 また、CNT銅複合材料は体積にして45%のCNTを含み、密度は1立方センチメートル当たり5.2グラムと、銅の8.9グラム、金の19グラムに比べて小さい。このことから、電子デバイスなどに応用される際の軽量化も期待できるという。

 今回の研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「低炭素化社会を実現する革新的カーボンナノチューブ複合材料開発プロジェクト」によって行われた。研究論文“One hundred fold increase in current carrying capacity in a carbon nanotube?copper composite”は英国の学術誌『Nature Communications』に23日掲載された。(サイエンスポータル 2013年7月23日)


 電流容量・電気伝導率とは何か?
 電流容量とは、電源から取り出すことが出来る電流を言う。たとえば、家庭の電圧が100ボルトでブレーカーが10アンペアだったとすると、その電流容量は10アンペア。10アンペアまで使えるということ。言い換えれば1 kwまでは使えるということ。

 コンデンサーの容量と電流容量とは別物。コンデンサーでは、絶縁された導体において、どのくらい電荷が蓄えられるかを電気容量で表す。静電容量とも呼ばれる。電流を水だとすると、電流容量は水道管の太さにあたる(どれくらいの水が流せるか)。

 電気伝導率(electrical conductivity)は、導電率(どうでんりつ)ともいい、物質中の電流の流れやすさを表す量。抵抗率の逆数で単位はジーメンス/メートル(S/m)。

 電流の正体は物質中の荷電粒子を加速することによる電荷の移動現象である。荷電粒子の加速には抵抗力が働き、これを電気抵抗という。抵抗の主な原因として、格子振動や不純物などによる散乱が挙げられる。この加速と抵抗は、最終的には釣り合うことになる。


 カーボンナノチューブ(CNT)とは何か?
 カーボンナノチューブ(CNT)というと、1991年、日本の飯島澄男(当時NEC筑波研究所。現NEC特別主席研究員)によって、フラーレンを作っている途中にアーク放電した炭素電極の陰極側の堆積物中から初めてTEM(透過電子顕微鏡)によって発見された。

 この発見には幸運だけではなく、高度な電子顕微鏡技術も大きな役割を果たしていた。また、電子顕微鏡で観察・発見したというだけでなく、電子線回折像からナノチューブ構造を正確に解明した点に大きな功績が認められている。このときのCNTは多層CNT (MWNT) であった。

 この発見の後、日本の遠藤守信(当時信州大学工学部助教授。現同大教授)により、化学気相成長法によるカーボンナノチューブの大量生産技術が開発された。当該製法により生産されたカーボンナノチューブは「遠藤ファイバー」と呼ばれ、リチウム電池などに使用されているほか電子デバイス等多くの分野で実用化されている。この業績から飯島・遠藤両氏はノーベル賞候補とされている。

 構造によってバンド構造が変化し電気伝導率やバンドギャップなどが変わるため、シリコン以後の半導体の素材としても期待されている。 銅の1,000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱伝導特性、高機械強度、細長い、などの特性がCNTの電子材料としての特長であり、集積回路などへの応用が期待されている。(Wikipedia:カーボンナノチューブ


ナノカーボンの科学―セレンディピティーから始まった大発見の物語 (ブルーバックス)
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カーボンナノチューブの機能化・複合化技術 (CMCテクニカルライブラリー―新材料・新素材シリーズ)
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