海の砂漠化「磯焼け」とは?
 コンブなどの海藻が、緑豊かにうっそうと広がる「海の森」。様々な魚たちが暮らし、地球上で最も豊かな生態系を育む、特別な場所。しかし今、その海の森が根こそぎ死滅し、「海の砂漠」と化してしまう怪現象が相次いでいる。

 この現象を「磯焼け」という。「磯焼け」は海中に海藻が減少し、海藻を餌とする生物の減少し、生態系全体に波及し、漁獲量も激減する状態を指す。この原因は何だろう?

 これまで考えられた原因としては、ウニや小型巻貝類などの植食動物による食害、サンゴモの優占、都市や農村から流入する河川などからの環境ホルモンによる汚染、森林伐採による貧栄養化や、地球温暖化による海水温の上昇などが指摘されてきた。

 これまで、そのメカニズムは大きな謎とされてきたが、ついにその主犯格が判明した。それは「ウニ」と「サンゴモ」のチームプレーによるものだった。あるきっかけで、ウニは爆発的に増えて、あっというまに海の森を食い尽くしていたのだ。そのきっかけとは何だろうか?


 「海の森が消える」海の砂漠化の謎
 日本の沿岸は本来、コンブやホンダワラで森のようになっている。ところが海藻がいなくなる磯焼けが問題になっている。

長崎県五島列島の小値賀島。そこには昆布が1本も生えていない磯焼けという状態だった。小値賀島はかつてはアワビの漁獲高日本一になった事があるが、現在では1/200まで落ちこんでいる。磯焼けはそこにあった動植物すべてを減らしてしまう。現在、海のある39県のうち35県で確認されている。

 カメラは山口県に行く。そこの海には海藻の葉がない立ち枯れという状態や海藻の表面が白くなり体力が弱り他の生き物がついている状態で。コンブの仲間のアラメを育てる実験をした。25度で育てれば順調に成長、30度で育てると葉に穴が空く事が分かった。アラメは10~15度で成長、25度で成長率が落ちて1度上がるとガラリと変わるという。海水温の上昇が植物に与える影響を表していた。

 問題は地球温暖化による海水温の上昇。25℃の時には順調に成長。30℃の時には成長が止まる。海水温があがると窒素やりんなどの養分が減る。山口県の日本海沿岸の8月の海水温。80年代後半には1.1℃上がった。このため、海藻の生育が悪くなった。


 磯焼けの真犯人
 カメラは海底砂漠化の真犯人を求めオーストラリアのタスマニア島に行く。そこは世界一のコンブの産地でジャイアントケルブというコンブは世界最大のコンブで大きいものは100メートルになる。

 しかし、タスマニア島の東海岸でケルブの90%は絶滅、犯人はシーアーチンと呼ばれるウニでした。海の砂漠化が進んでいる場所にはウニが大量発生しているのだ。

 本来はコンブは浅瀬、ウニは深いところに生息している。ウニはコンブの千切れたかけらである流れ藻を食べていた。コンブが減ったため流れ藻が減り、食べ物を求めて浅瀬にウニが上がってきた。コンブがいなくなると岩にサンゴモがつく。

 サンゴモは「ジブロモメタン」を放出。ウニの変態を促す。実験では40倍のスピードで変態。変態のときが死亡率が高い。サンゴモの表面は死細胞。ウニがその表面をかじりとることでサンゴモは成長する。こうして爆発的に増えたウニと、サンゴモのために、海藻は食べつくされ、海は砂漠化するというメカニズムである。


 そして誰もいなくなった
 それだけ大量発生するなら、ウニを食べてしまえばよいと思うが、食べ物のないところで大量発生したウニは、身が少なく中身がスカスカ、とても我々の食糧にならない。食べ物のなくなった海底では、大量のウニももはや死を待つのみ。

 このように、磯焼けは、すべての生物にマイナスの環境破壊でしかない。いったいどうしたらよいだろうか?海藻の成長は海の貧栄養化も原因である。現在対策としては、海の栄養化だ。北海道では魚の骨や内臓を木材チップに混ぜたコンブの肥料を海にまき続けている。

 地球温暖化で通常、生物は北上する。海藻も北上するのだろうか?コンブは遊走子で分布を拡大するが、移動距離は短い。より温度の低い北に移動する前に消失してしまうという。

 今回、サイエンスZEROでは海の砂漠化「磯焼け」の原因をわかりやすく紹介していた。これまで様々な原因が言われてきたが、この番組で1つの線でつながった。(サイエンスZERO:海の森が消える?海の砂漠化の謎

 特に鍵を握っていたのがサンゴモの発生する、ジブロモメタンという物質。これが共生関係にあるウニの幼生の変態をそくすことがわかった。これを発見したのが東北大学の吾妻行雄教授。教授のホームページを参考にしてほしい。(東北大学:水圏植物生態学


磯焼けの海を救う―海の医者のエコロジー (人間選書 (203))
クリエーター情報なし
農山漁村文化協会
磯焼けを起こすウニ―生態・利用から藻場回復まで (磯焼け対策シリーズ)
クリエーター情報なし
成山堂書店

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