世界最大の魚類
 世界最大の魚類といえば、最大で12メートル以上にもなるジンベエザメだ。

 ジンベエザメに次いで、世界で2番目に大きな魚であるウバザメと同様、エサを濾過して食べる魚である。エサを食べるため、その恐ろしく巨大なアゴをつき出し、周囲のものをすべて吸い込む。そして口を閉じ、エラから水を吐き出す。濾過されて口の中に残ったすべてのものがエサになる。

 ジンベエザメは温暖な海域を好み、熱帯の海で繁殖する。世界中に分布するジンベエザメは、単独行動で集団を形成せず、滅多に姿を現さない。まだまだ謎の多い生物だ。メスはどこで出産するのか、60センチにも満たない幼魚はどこで成長するのかよくわかっていない。


 最近、そのジンベエザメが数百匹の大群で海面を覆い尽くす場所が見つかっている。メキシコ湾やカリブ海周辺を回遊し、エサが集中するユカタン半島を訪れていることが判明した。

 2003年から9年間、モート海洋研究所とメキシコの国家自然保護区委員会(CONANP)は、集まってくる各個体に標識を付け、人工衛星による追跡データを収集した。

 以下はNational Geographic news記事「ジンベイザメの回遊の謎を解明」から引用する。


 ジンベエザメの回遊の謎を解明
 約8000キロの長距離移動を行った個体からは、出産に関する謎を解く手掛かりが得られたという。ちなみに、ジンベエザメの出産の目撃例は報告されていない。

 9年の歳月を費やした今回の追跡調査は過去最大規模。巨大なジンベエザメが、はるか遠い各地の海から、プランクトン豊富なメキシコ湾岸一帯に何百匹も訪れている。

 体長は最大で12メートル以上、体重は平均で18.7トンもある。穏やかな気性で、小さなプランクトンや小魚、卵などを口から吸い込み濾過して摂食する。

 また、オーストラリア西部からインドネシア、ベリーズまで、世界に10カ所以上あるエサ場を単独で回遊している。しかし5月から9月にかけては、ユカタン半島の北西部、メキシコのキンタナロー州海域におよそ800匹以上が集まり、その数はほかのエサ場よりはるかに多い。

 アメリカ、フロリダ州にあるモート海洋研究所のサメ研究センター所長で、調査を率いたロバート・ヒューター(Robert Hueter)氏は、「キンタナロー沖からさらに広大な海域に、すなわちメキシコ湾を通ってカリブ海へ、あるいはフロリダ海峡を通って大西洋へと移動していた」と述べる。「ただし、6年連続でこの海に回帰している。残りの季節を生き延びるために、十分な栄養を蓄えているに違いない」。


 出産の謎を解明?
 
標識を付けた800匹以上の中でもとりわけ注目したのが、「リオ・レディ(Rio Lady)」という名の成熟した妊娠中のメスである。標識が外れるまでの約5カ月間、約7800キロの長旅が追跡された。

 「リオ・レディの移動はブラジルからアフリカまで続いた。残念ながら、赤道を通過したところで標識が外れてしまったが」とヒューター氏は説明する。

 しかし、リオ・レディの追跡データや世界各地の検証例から、メスの生息域に関する長年の疑問点に解明の目処がついた。キンタナロー州沖を訪れる個体の70%以上はオスで、ほかのエサ場でも比率は同程度だったのだ。

 「自然界ではありえないバランスだ。オスの方がこれだけ多いと数が不安定になる。つまり、メスはほかの海域にいるはずだ。そこで、成熟した妊娠中のメスは出産場所を求めて、大西洋中央部、もしくは海山か孤島付近に向かって長い回遊に出ているという仮説を立てた。エサ場のある海岸沿いで出産すれば、60センチにも満たない幼魚は捕食者の絶好のターゲットなってしまうからね」と、ヒューター氏は自説を述べる。

 「この仮説には自信がある。後は実証するだけであり、時間の問題だ」と、同氏は付け加えた。

 生まれたばかりのジンベエザメの目撃例は少ない。「出産場所がわかれば大きな前進だ。生態の解明に大きな一歩となる」とマスランカ氏は期待する。

 しかし、実際はそれほど簡単ではない。世界中に分布するジンベエザメは、単独行動で集団を形成せず、滅多に姿を現さないからだ。

 「生態系の管理という観点からも、今後も安心して出産を続けられる場所なのか確かめたいと思う」。(Brian Handwerk for National Geographic News August 23, 2013)


 ジンベエザメとは?
 ジンベエザメ(Whale shark)は、テンジクザメ目ジンベエザメ科に属する唯一のサメ。ジンベイザメとも。サメとして軟骨魚類として現生最大であり、そして、現生最大の魚として知られている。

 世界中の熱帯・亜熱帯・温帯の表層海域に広く分布する。動きは緩慢であり、基本的には人にとって危険性の低いサメである。

 本種は1828年4月、南アフリカはケープタウンのテーブルベイ(en)にて捕獲された約4.6mの標本をもって、英国人生物学者アンドリュー・スミスにより、分類・記載された。本種が属するジンベエザメ科はジンベエザメの1属1種のみで構成される。

 ジンベエザメ(種)は、約6,000万年前(新生代古第三紀暁新世中期〈セランディアン〉)に登場したと考えられている。K-T境界で絶滅した大型の海棲爬虫類のニッチを埋める形で進化したものと思われる。

 世界中の熱帯・亜熱帯・温帯(緯度±30°以内)、その表層海域に生息し回遊するが、ラグーン、珊瑚環礁、湾内にも入り込む。河口付近で見られることもある。また、水深約700mでも確認されている。特定の海域に留まる傾向の見えるメスに対し、オスは広い海域を回遊する。彼らは基本的に単独性であり、餌が豊富な海域でない限り集団を形成しない。現在の生息数の実際については必ずしも明確ではない。

 現在知られている個体記録の信頼に足る最大値は体長約13.7mである。以前に21mのものが報告されたが、これは正確な計測による数値ではない。体形は紡錘形。体の幅は頭部で最も大きく、通常1.5m程度である。扁平な形の頭部を持ち、その正面の両端(口の端の近く)に小さな眼がある。横幅が最大で1.5mほどにもなる大きな口の中には、細かな歯が300-350本、列をなしている。


 生態
 プランクトン(オキアミを含む小型甲殻類やその幼生、頭足類の幼生など)のほか、小魚、海藻などを摂食する。海水と一緒にそれらの生物を口腔内に吸い込み、鰓耙で濾し取り、鰓裂から水だけを排出し、残った生物を呑み込むという摂食方法である。

 プランクトンは海面付近に多いため、ジンベイザメも海面近くでほとんどの時間をすごす。サンゴの産卵期にはその卵を食す。海面付近に漂う餌を効率よく口内に吸い込むために、体を垂直近くにまで傾ける習性が見られる。このため、大きな個体を飼育する沖縄美ら海水族館では、ジンベエザメの成熟した個体がそのような姿勢をとるに十分な大水槽の水深を10mとしている。

 本種とイワシ等の小魚はともにプランクトンを主食としており、したがって両者は同じ海域に餌を求めることが多い。小魚やその小魚を餌とする中型の魚はカツオやマグロといった大型回遊魚の餌であるから、本種のいる海域には大型回遊魚の群れがいる可能性も高くなる。なお、これに関連する民俗的事象については「民俗」の項を参照のこと。

 動きは緩慢で、遊泳速度は通常時、時速わずかに5km程度でしかない。性格はいたっておとなしく、人が接近しても危険はない。ただし、非常に臆病で、環境の変化に弱いため、飼育は難しいとされる。しかし、大阪市の海遊館や沖縄県の国営沖縄水族館(現・沖縄美ら海水族館)などで長期の飼育記録がある。

 繁殖についてはあまり分かっていないものの、数年に一回の割合でしか出産しない繁殖力の低い動物であることは知られている。かつては卵生であると信じられていたが、1995年に妊娠中のメスが捕獲され、胎生であることが判明した。卵は長径30cm、短径9cmに達するものもあり、メスの胎内で孵化した後、40cmから60cmに達した状態で出産される。約30年で成熟し、60年から70年ほどを生きる。なかには150年を生きるとの説もある。(Wikipedia:ジンベエザメ


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