世界は薬害から逃れられないのか?
 薬害というと何を思い浮かべるであろう?薬害は文字通り、薬だと思ったものが病気の原因になったものをいう。

 古くは、薬害サリドマイド(1960年代)、最近では薬害エイズ(1989~1996年)薬害肝炎(1998年~2008年)などがある。今年8月には、輸血による薬害シャーガス病も発見された。現代においても薬害から逃れることはできない状況だ。

 今回、またしても起こってしまった薬害が、カネボウ化粧品による白斑被害である。被害者は今の段階で、全国で11000人。自主回収の対象は8ブランド54製品に及ぶ。いずれもカネボウが独自に開発した美白成分「ロドデノール」が配合されている。

 化粧品はイメージが命で、女優の知花くらら(31)、中谷美紀(37)、深津絵里(40)、藤原紀香(42)、りょう(40)などが回収商品のCMモデルを務めていた。彼女たちの皮膚は大丈夫だろうか?


 この化粧品は、医薬部外品として発売された。つまり、医薬品(薬)ではないから薬害とはいえないかもしれない。しかし、そのためにむしろ被害が広がったといえる。誰でも自由に使えるからだ。白斑を起こした場所では、色素細胞が死滅していた。

 この化粧品を利用した、ある30代女性は使用を止めて8ヶ月もたつのに、顔や首の白斑が消えないという。人前にも出辛くなって引きこもり生活になっている。いったいカネボウは、なぜこの化粧品を作ったのだろうか?また、化粧品を認可した国の機関は、チェックすることができなかったのだろうか?

 今日はカネボウ白斑被害問題に迫る。まず、NHKクローズアップ現代HP「カネボウ美白問題」から引用する。


 カネボウ美白問題とは?
 「驚くほど白くなると思っていた・・・」。カネボウの美白化粧品で、白斑症状を訴える人は1万人を超えた。自主回収から間もなく2か月、新たな事実が浮かび上がってきている。美白化粧品を複数種類「重ね塗り」している人に症状が多く出ている傾向が見えてきた。

 また、使用を中止すれば多くの人は治るとされているが、長時間経っても白斑が消えない人もいることも判明している。美白成分「ロドデノール」はどんなものなのか。なぜ、「医薬部外品」として国の承認を得ることができたのか。なぜ、カネボウは消費者や医師からの「異変」を知らせる声にすぐに対応できなかったのか。最新情報を追い、再発防止のために何が必要か考える。

 カネボウが独自に開発したという美白成分の「ロドデノール」。ロドデノールは色素細胞が作り出すメラニンの量を抑えることで肌を白く保つと化粧品メーカーは謳っていましたが、色素細胞そのものが破壊されるケースがあることが、番組が行った実験で分かってきた。

 また、ロドデノールの原材料とされるラズベリーケトンという物質は、20年以上前に白斑の被害を引き起こしていました。この時の被害では、時間が経っても白斑は完全に治らなかった。

 カネボウが国に提出した美白化粧品の申請書類には、ラズベリーケトンによる白斑被害を調査した論文が引用されていたが、論文の著者は引用の仕方に疑問を呈している。論文には「時間が経っても白斑は完全に消えなかった」と記しているにもかかわらず、カネボウは、申請書では「時間が経つと治癒した」とした。

 化粧品という直に肌につけるものの安全性はどうあるべきなのか。再発を防止するにはどうしたらいいのか考える。(NHKクローズアップ現代:カネボウ美白問題


 なぜ、化粧成分“ロドデノール”は使われたか?
 番組では次のような調査研究を紹介していた。

 東京工科大学の前田憲寿教授は化粧品会社の化粧品品質に関わってきた。マウスの皮膚細胞にロドデノールを加えてみた。特に変化はないようだった。

 ところが、皮膚細胞に紫外線を当てながらロドデノールを加えたところ、細胞が小さくなり、やがて全体の2/3の細胞が破壊された。

 原因は、紫外線によって増えるチロシナーゼという酵素が、ロドデノールと作用しあって細胞にダメージを与えたと考えられた。

 カネボウは、こういう調査をしっかりと行っていなかったのではないか。そればかりか、化粧水だけでなく、乳液やクリーム、パックにもロドデノールを使用、併用や重ね塗りを勧めていた。

 それでいて、化粧品の併用試験を行った形跡はなく、皮膚の異常を発見した医者からの警告文書も、最初は無視していた。内部の杜撰な体制が明らかになってきた。


 国のチェック体制にも問題が?
 化粧品が承認されるには、化粧品メーカーからの申請書、次に医薬品医療機器総合機構(独立法人)による認可、最後に厚生労働省の審議によって承認される。

 まず、カネボウからの申請書にはおかしな記述があった。申請書には山口大学の福田吉治教授の論文が引用されていたが、その論文はロドデノールのもとになったラズベリーケトンについての論文だ。

 ロドデノールはラズベリーケトンの分子に、水素がわずか1個だけ結びついた構造。つまり、ほとんど同じものだ。福田教授は、このラズベリーケトンにふれた従業員には白斑が生じ、そのうち半数は完全に消えることはなかったと報告。にもかかわらず、カネボウは自然治癒したと記述。

 医薬品医療機器総合機構でも、厚生労働省もカネボウの申請書を鵜呑み、誰一人、福田教授の論文を読んだり、直接に尋ねたりすることはなかった。

 お役所仕事と違い、研究者や科学者は、仕事上、自分の研究をアピールしたがっているので、一言、聞きさえすればすぐに解決した問題だ。

 どうしてもお役所は、書類申請主義が基本だが、人の健康や生命に関することは関係者に直接説明してもらった方がよいのではないかと思う。


 ロドデノールとは?
 ロドデノールはカネボウ化粧品が開発した医薬部外品有効成分。高いメラニン生成抑制効果があるとして美白化粧品に使用された。4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール。白樺の樹皮などに多く含まれている。ロドデノールの化学式は、C10H14O2。モル質量166.22

 2008年1月、「メラニン生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ効果を有する」新規医薬部外品有効成分として厚生労働省の認可を取得。 カネボウ化粧品は開発の過程で成人女性約330人を対象に試験などを実施、安全性を確認した。

 2008年から2013年4月にかけて、ロドデノール配合の美白化粧品が全国の百貨店や量販店など約1万5千店で累計436万個販売された。

 2013年5月13日、ロドデノール配合の製品を使って肌がまだらに白くなった人が3名いるとの連絡が皮膚科医からカネボウ化粧品に入り、これにより社長が被害を把握した。

 それまでは担当者が「化粧品による症状ではない」と判断して医師を紹介する対応に留め経営陣には伝わらず、社内の被害情報システムにも登録していなかった。

 2週間後の5月27日に同社が医療機関を訪問して調査を開始し、6月には2011〜13年にかけ34件の症例が見つかった。その後調査が進み8月には症状が確認された人数が5702人となった。


 健康被害と自主回収
 日本 医薬品医療機器総合機構に報告書を提出し、カネボウと親会社である花王のそれぞれの経営会議を経て自主回収に踏み切ることとした。なお強制的な自主回収を命じられる薬事法上の重篤なものに当たらず、厚生労働省からは対応の判断を委ねられた。

 2013年7月4日、カネボウ化粧品と関連会社の株式会社リサージ、株式会社エキップは皮膚がまだらに白くなる症状(白斑)との関連性が懸念されるとしてこの成分を配合する8ブランド54製品を自主回収すると発表した。日本国内では販売済みの約45万個と店頭にある58万個、あわせて100万個以上が対象となり、回収費用は約50億円。

 消費者庁は「ただちに使用を中止し、相談窓口に連絡する」ことを呼び掛けた。その時点で約25万人が使用しておりカネボウ化粧品が4日に設置したフリーダイヤル300回線には当日だけで約1万5千件の問い合わせが殺到し対応できない状態が続いた。

 7月17日、日本皮膚科学会内に「ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会」(委員長:松永佳世子教授)を設置、対応していくこととなった。

 7月23日、カネボウ化粧品および関連2社が自主回収発表後の状況と対応について第2報を発表。それによると7月19日現在までに寄せられた問い合わせはフリーダイヤル約10万5千人、店頭約5万8600人。回収状況は顧客から80%、店頭から86.8%。

 「該製品を使用し、白斑様症状を発症したお客様には、完治するまで責任をもって対応する」を基本方針とする「ロドデノール対策本部(本部長:代表取締役社長執行役員夏坂真澄)」を設置。白斑についての申し出数は6,808名(不安を感じる方を含む。うち「3箇所以上の白斑」「5cm以上の白斑」「顔に明らかな白斑」のいずれかの症状を含む方が2,250名)であり、19日までに3,181名を訪問。

 社員による全員の訪問にむけて活動中であるとした。またこの発表とは別に、社員247人に症状がみられたことも明らかになった。症状が確認された利用者には医療費や医療機関への交通費、慰謝料を支払う方針で、補償基準の詳細は今後検討する。

 7月24日、消費者庁の阿南久長官は定例の記者会見で「5月の時点で使用中止を呼び掛けていれば、被害を少しでも減らせたはずだ」と指摘。(Wikipedia)


 海外にも広がる被害
 今後の消費者庁としての対応について、カネボウ化粧品の対応を注視し「製品の回収状況や被害の広がり、被害者の回復の状況などは、週に1度は報告を求めたい」とした。消費者の間で同社商品の買い控えが広がった。

 海外では台湾、香港、大韓民国、タイ王国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナムのアジア10か国・地域で販売の製品も回収対象となる。

 台湾での対象は10万個を超え、化粧品の回収数としては台湾史上最大。台湾でも181人が症状を訴え、うち58人は肌の症状と該当の化粧品に直接の関係がないことが確認されたが、残り54人はカネボウ製品の台湾販売代理店「東方美企業」の職員同伴で診察を受けているという。中国では該当製品を販売していなかったがオンラインショッピングなどさまざまなルートから中国本土に流入しており7月21日までに176件の返品を受け付けた。(Wikipdia)


参考 Wikipedia:ロドデノール クローズアップ現代:カネボウ美白問題


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