ノーベル賞の季節 
 イグ・ノーベル賞は9月12日、今年も日本人が受賞した。これで、7年連続である。テーマは「タマネギを切る時に涙が出る原因となる酵素の発見」が化学賞。「心臓移植を受けたマウスにオペラを聴かせ、その生存率を研究」が医学賞を受賞している。

 さて、イグノーベル賞が終わり、秋風が吹き、10月の声を聞くと、いよいよ本当のノーベル賞の季節がやってくる。今年の予定は、10月7日(月)11時30分、医学・生理学賞、10月8日(火)11時45分、物理学賞、10月9日(水)11時45分、化学賞、10月11日(金)11時00分、平和賞・・・の発表予定となっている。

 昨年、京都大学の山中伸弥教授の「iPS細胞の研究」が受賞した時の感動がよみがえってくる。今年は誰が受賞するのだろう?日本人は候補にあがっているのだろうか?


 米情報会社トムソン・ロイターは9月25日、論文の引用回数の調査などに基づいて予想したノーベル賞の有力候補者28人を発表した。日本人では医学生理学賞に大隅良典・東京工業大特任教授(68)と水島昇・東京大教授(47)を、物理学賞に細野秀雄・東京工業大教授(60)の計3人を選んだ。

 うれしいニュースだ。もちろん、昨年まで候補だった日本人もそのまま候補者である。大隅、水島両氏は、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)での研究を通じて、細胞の内部で異常なタンパク質などのごみを分解する「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象の仕組みを解明した。

 細野氏は、鉄を主な成分とする化合物が、冷却すると電気抵抗がゼロになる超電導になることを発見。鉄は超電導になりにくいという常識を覆した。 

 今日は、ノーベル賞候補となっている「オートファジー(自食作用)」と「鉄系超伝導物質」について調べる。


 オートファジーとは何か?
 オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。

 酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。

 このほか、個体発生の過程でのプログラム細胞死や、ハンチントン病などの疾患の発生、細胞のがん化抑制にも関与することが知られている。auto-はギリシャ語の「自分自身」を表す接頭語、phagyは「食べること」の意。

 細胞がある種のストレス(アミノ酸飢餓の状態や、異常タンパク質の蓄積)に晒されると、細胞質中の一部で、過剰に作られたタンパク質や異常タンパク質と共にリン脂質が集まり、オートファゴソーム(Autophagosome、またはオートファジー小胞 Autophagic vesicle)と呼ばれる細胞内構造の形成がはじまる。

 集積したリン脂質は脂質二重膜を形成し、さらにそれが成長していくことで、細胞質成分やオルガネラなどを二重のリン脂質の膜で取り囲んだ小胞が形成される。この小胞形成には、Atg(以前はApgという名称で呼ばれていた)タンパク質と呼ばれる一群のタンパク質が関与している。

 酵母や植物細胞では、形成されたオートファゴソームは液胞と膜融合し、その内部に取り込まれた異物などは液胞内部の分解酵素によって分解される。動物細胞においては、オートファゴソームが形成されると、次にオートファゴソームと細胞内のリソソームが膜融合を起こす。こうしてリソソームと融合したものをオートリソソームと呼ぶ。

 オートリソソームの内部で、オートファゴソームに由来する分解すべきタンパク質と、リソソームに由来するさまざまなタンパク分解酵素が反応し、この結果、オートファゴソームに取り込まれていたタンパク質はアミノ酸やペプチドに分解される。このとき、オートファゴソームの二重膜のうち、内側の脂質膜も同時に分解される。(Wikipedia)


 鉄系超伝導物質
 鉄系超伝導物質は、鉄を含み超伝導現象を示す化合物。銅酸化物以外では、二ホウ化マグネシウムなどを抑え、2008年現在最も超伝導転移温度(Tc)の高い高温超伝導物質である。研究が活発化した2008年の1年間でTcが2倍以上に急上昇したことから、さらなる研究の発展が期待されている。

 水銀などとは異なり、鉄自体はいくら冷却しても超伝導を示さない。また、「鉄は磁性の象徴であるので、その化合物が超伝導を示すはずがない」という考えが以前は一般的であったが、鉄系超伝導物質の発見によりこれらの常識が覆され、新たな超伝導物質の可能性が広がった。

 超伝導転移温度(Tc)のフッ素濃度依存性 (SC:超伝導相、PM:常磁性金属相、AF:反強磁性金属相)基本となる組成は、LnFeAsO1-XFX(Lnは希土類)およびAFe2As2(Aはアルカリ金属やアルカリ土類金属)、AFeAsなどである。

 LnFeAsO1-XFXについては、x=0(酸素の比率が化学量論通り)だと超伝導転移は見られず、O2-(酸素イオン)を数%程度F-(フッ素イオン)で置換して電子をドープすることにより、超伝導体に変化する。また、F-を添加せずに高圧合成によって酸素欠損を生じさせ、LnFeAsO1-Xという組成にしても超伝導転移が観察されている。なお、As(ヒ素)をP(リン)で置き換えたLnFePO、およびさらにFe(鉄)をNi(ニッケル)にしたLnNiPOでは酸素欠損が全くなくても超伝導体となる。

 従来、磁性元素における電子スピン間の強い相互作用はクーパー対の形成を阻害すると考えられてきた。このため、典型的な磁性元素である鉄を含む物質は超伝導の研究において非主流の存在であった。

 一方、東京工業大学の細野秀雄らは磁性半導体を探索する研究の一環として、LaTMPnO(TMは+2価の遷移金属イオン、PnはP(リン)またはAs(ヒ素))で表される組成の物質を系統的に合成し、低温における電気抵抗をルーチンワークで測定していた。遷移金属にはMn(マンガン)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Feなどが用いられた。これらの物質の中で、LaFePOやLaNiPO、LaNiAsOが超伝導性を示すことが2006年から2007年にかけて発見されたが、超伝導転移温度(Tc)が6K(約マイナス267℃)と低いことから、それほど大きな注目は集めていなかった。

 さらに高温で超伝導性を発現させるために正孔や電子のドープが行なわれた結果、F-(フッ素イオン)を4%以上ドープするとLaFeAsO1-XFXが超伝導体となり、10%のドープでTcが26Kに達することがわかった。また、高圧を印加することでTcは43Kになることを日本大学の高橋博樹らが発見し、これは二ホウ化マグネシウムなどの値を超えて銅酸化物以外では最高温度の新記録となった。さらに、サマリウムなどイオン半径の小さい希土類イオンでLaを置換する事により、4月には中国科学院などのグループがTcを55Kまで引き上げている。(Wikipedia)


大隅 良典   Ohsumi, Yoshinori

2010年度~2013年度:東京工業大学 / その他
2010年度~2011年度:東京工業大学 / フロンティア研究機構 / 特任教授
2009年度:東京工業大学 / 統合研究院 / 特任教授
2004年度~2009年度:基礎生物学研究所 / 教授
2004年度~2008年度:基礎生物学研究所 / 分子細胞生物学研究部門 / 教授


水島 昇   Mizushima, Noboru

2013年度:東京大学 / 医学(系)研究科(研究院) / 教授
2006年度~2011年度:東京医科歯科大学 / 大学院・医歯学総合研究科 / 教授
2005年度~2006年度:東京都医学研究機構 / 研究員
2005年度:(財)東京都医学研究機構 / 東京都臨床医学総合研究所 / 副参事研究員
2004年度:基礎生物学研究所 / 助手


細野 秀雄

2009年度~2010年度:東京工業大学 / 教授
2007年度~2009年度:東京工業大学 / フロンティア研究センター / 教授
1999年度~2008年度:東京工業大学 / 応用セラミックス研究所 / 教授
2005年度~2006年度:東京工業大学 / フロンティア創造共同研究センター / 教授
2004年度:東京工業大学 / フロンティア創造研究センター / 教授

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