火星探査車「キュリオシティ」活動1年
 2012年8月に火星に着陸した無人探査車「キュリオシティ」の活動が1年を迎え、9月6日には記念イベントで米航空宇宙局(NASA)の科学者らがこれまでの成果を祝福した。

 6つの車輪を備えたキュリオシティはすでに1.7キロ近くの距離を走破。岩石サンプルの分析などから、火星が数十億年前には温暖で水にあふれ、生命を育むのに適した環境だったことを確かめた。

 首都ワシントンでの記念イベントにはボーデン局長ら関係者が参加し、「当初の探査目的は達成した」と成果を強調した。キュリオシティーは残り1年の活動計画でさらに遠くの丘陵地を目指して探査を続ける。(共同)

 これまで、キュリオシティが発見した成果はどのようなものだろうか?


 火星から見た日食、探査車キュリオシティーが撮影
 8月29日、米航空宇宙局(NASA)は、無人探査車「キュリオシティー」が火星の地表から撮影した日食の写真を公開した。撮影は17日に行われたものだった。

 キュリオシティーは今月17日、火星の衛星の1つであるフォボスが太陽の前を横切る様子を撮影。NASAが公開した3枚の写真は3秒間隔で撮られたもので、フォボスが移動しているのがはっきりと分かるものだ。(産経news 2013年 08月30日)


 やはり火星にメタンなし 微生物生息は望み薄
 米航空宇宙局(NASA)は9月19日、無人探査車「キュリオシティー」で6回にわたって火星の大気成分を分析した結果、生命活動の証拠となるメタンは検出できなかったと発表した。

 昨年11月に発表した初期分析を裏付ける結果。NASAは「地球にいるようなメタンを放出する微生物が、現在の火星に生息している可能性は低い」としている。

 NASAは昨年8月に火星に着陸したキュリオシティーで大気を直接分析してこれを否定した。一方で、岩石の分析からは太古の火星が温暖で水にあふれた環境だったことが確認されており、NASAはかつて微生物が生息していた可能性は残されているとして今後も探査を続ける。(共同 2013.9.20)


 火星の土から水分、NASA無人探査車が検出
 9月26日、米航空宇宙局の火星探査車「キュリオシティー」(写真)が火星の表面で採取した土から、水分が検出されたことが分かった。

 米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティー」が火星の表面で採取した土から、水分が検出されたことが分かった。NASAやプロジェクト関係者が26日明らかにした。

キュリオシティーは昨年8月に火星に到着し、その直後から土壌のサンプルを採取していた。このサンプルをキュリオシティーに備え付けられた装置を使って約835度で熱し、気化した物質を調べたところ、水分のほか二酸化硫黄や二酸化炭素が検出された。水分は重さにして約2%相当だった。

 NASAは今月19日、火星の大気を分析した結果、生命活動の強い証拠となり得るメタンは検出されなかったと発表している。(ロイター 2013年9月27日)

 以下はNational Geographic news 記事「5つの発見キュリオシティの1年」から引用する。


 5つの新発見、キュリオシティの1年
 地球化学関連の分析ラボを備えたこの探査車は、2年計画のミッションのうち、地球年で1年を経過したばかりだ。しかし既に火星に生物の生息が可能だったことを裏付ける材料を提供したほか、今後のミッションに向けたガイド的役割を果たしている。

 2012年8月6日(アメリカ東部夏時間)、「恐怖の7分間」とも呼ばれた危険を伴う着陸作業を経て、キュリオシティは火星に降り立った。それからの1年間、キュリオシティは探査活動に励み、地球に190ギガビット以上のデータを送信したほか、走行距離も1.6キロを突破、その間に2つの岩からサンプルを採取し分析を行っている。

 数十億ドル規模のこのミッションには、数百人の科学者や技術者が参加している。その1人であるラルフ・ゲッレールト(Ralf Gellert)氏は、キュリオシティに搭載されているX線化学センサーについて、主任サイエンティストを務めている。


◆予想を上回る成果

 キュリオシティは約6カ月を「イエローナイフ湾」と呼ばれる盆地で過ごした。この地域には岩の露頭があり、ドリルによる採掘やサンプル採取にとって格好の場所となった。さらにキュリオシティは火星の地表から採取したこれらの粉状のサンプルについて、化学組成の分析を実施した。探査車には生命の痕跡そのものを検知する機材は搭載されていない。しかしこれまでの分析で、過去に火星が微生物が生息可能な環境だったことを示す明確な証拠が見つかっている。

 このミッションの副プロジェクトサイエンティストを務めるアシュウィン・バーサバーダ(Ashwin Vasavada)氏は、「これほどスムーズに着陸し、科学探査目的のペイロードが驚くほどの性能を発揮するとは、誰も夢にも思わなかった成果だ」と、この1年を振り返る。「また、着陸地点周辺も我々の予想以上に多様で、科学的探査に適した場所であることが判明した」。

 キュリオシティは現在、ミッションの第一目的地であるシャープ山のふもとに向かっている。着陸地点からシャープ山までは8キロあり、この距離を1年かけて走破する計画だ。シャープ山はクレーターの中心にそびえ立つ山で、標高は5000メートルに達する。

 では、キュリオシティの火星着陸後1年間の成果のうち、トップ5を以下に紹介しよう。


◆ 1:火星がかつて生物が生息可能な環境だったことを確認

 キュリオシティはイエローナイフ湾にかつて、時おり水がたまる場所があったことを示す証拠を見つけた。ここには真水のほか、生物が必要とする化学物質があったとみられる。

 ゲッレールト氏によれば、粘土鉱物が見つかったことから、酸性でもアルカリ性でもない中性に近い水が、過去のいつかの時点でこの付近に流れていたと考えられるという。

 ゲッレールト氏は全く予想外だった点について、「着陸地点付近で粘土が見つかったことだ。火星周回時の上空からの観察では、粘土鉱物がありそうな痕跡はなかった」と指摘している。

◆ 2:過去の川床の跡を発見


 キュリオシティは、礫岩(れきがん)と呼ばれる岩を見つけた。これは多くの丸い小石が集まって塊になったものだ。地球では、こうした種類の岩は、およそ人のひざぐらいの深さの水が流れている場所で形成される。

 「これらの証拠から見て、かなりの期間にわたり水が流れ、このような地形が形成されたことは間違いない」とゲッレールト氏は語っている。

◆ 3:有人探査に備えた自然放射線量の測定

 地球から火星に向かう旅の間、キュリオシティは宇宙空間と太陽から浴びる自然放射線量を計測した。

 「キュリオシティは宇宙船のカプセル内に収められた状態で放射線量を計測しており、これは火星探査に向かう宇宙飛行士が直面するのと同じ環境と考えられる」と、バーサバーダ氏は述べている。

 探査車に搭載された機器から送られてきた計測値により、宇宙空間および太陽に由来する放射線が、今後火星に向かう宇宙飛行士にとって重大な問題となるとみられることが判明した。火星への9カ月の旅の中でキュリオシティが浴びた放射線量は、NASAの宇宙飛行士の生涯の放射線許容量を上回っていたのだ。

◆ 4:火星の大気にメタンがほとんどないことを確認

 過去数年にわたり、地球に設置された天体望遠鏡、および火星を周回する探査機の調査から、火星の大気にメタンが存在する可能性が出ていた。メタンは現在起きている生物学的活動の結果、あるいは他の非生物学的プロセスによって生じる気体だ。

 しかしキュリオシティによる実験では、今のところ、ゲイル・クレーター内でメタンはほとんど検出されていない。実際、その濃度は地球の大気と比べて600分の1という薄さだ。

 そのため、かつての火星は、一時的に生命の存在に適した条件が整っていたとみられるものの、現在の環境は生命が生き延びるには厳しすぎるようだ。

◆ 5:ゲイル・クレーター内の岩の多様性が判明

 最終目的地のシャープ山に到達する前から、キュリオシティはさまざまな種類の岩を見つけ、科学者たちを驚かせた。これらの岩は、火山岩や泥岩、さらにはひび割れ部分に鉱脈を持つ岩など、実に多様だった。さまざまな種類の岩の存在はそれぞれ、過去の火星が異なった環境を経てきたことを示唆している。

 キュリオシティが複数の地層からなるシャープ山に到達すれば、これまで以上に多様な発見が見込まれると、科学者たちは期待をかけている。(Andrew Fazekas for National Geographic News August 7, 2013)


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