宇宙は放射線だらけ?
 福島第一原発の汚染水問題で、海に放出される放射性物質が問題となっている。ようやく、放射性物質除去装置「アルプス」が動き出した。これからは少しずつ改善されていくことを期待する。

 放射線については、非常に神経質な展開が続いているが、宇宙から地球を見てみると、放射線「0」というのがむしろ、地球上の限られた地域にしかない“奇跡”てあることに気づく。

 すなわち、宇宙空間では、目に見えない放射線(宇宙線)が縦横無尽に飛んでいる。そして、地球自体が「バンアレン帯」という、放射線に包まれていることに驚かされる。バンアレン帯は、太陽からのプラズマの嵐(太陽嵐)により増加する、電子や陽子などの集まりである。

 今回、日本の磁気圏観測衛星「あけぼの」が、地球近辺の高放射線領域「バンアレン帯」における放射線(電子)増加の条件を明らかにした。


 調査によると、スピードの速い太陽風の中に南向きの磁場が含まれていると、数日間にわたって「コーラス」と呼ばれる宇宙の電波が強く発生しやすい状況になり、80%以上の確率で電子の数が増えることが示された。このような状態のときには、オーロラの活動も数日間にわたって活発になることがわかった。

宇宙天気予報の新たな手がかりとなる成果だ。以下に名古屋大学地球環境研究所の記事「宇宙天気予報に新しい手がかり」を引用する。


 バンアレン帯の電子の数が増える条件
 打ち上げから24年という現役最長寿の衛星「あけぼの」が、地球近辺の高放射線領域「バンアレン帯」における電子増加の条件を明らかにした。宇宙天気予報の新たな手がかりとなる成果だ。

 約400kmの高度を飛ぶ国際宇宙ステーション(ISS)の軌道から、高度約3.6万kmの衛星「ひまわり」などの静止衛星軌道までの間には、宇宙放射線(エネルギーの高い電子)が大量に存在する領域「バンアレン帯」(放射線帯)がある。

 このバンアレン帯における電子の数が増えすぎると、気象衛星や放送衛星の障害が起こりやすくなる。過去には米国の通信衛星が障害を起こして数か月間復旧しなかった例などもあり、この領域の電子がいつどのくらい増えるのかを予測することは、人類が宇宙を安全に利用するために重要な課題だ。

 太陽からのプラズマの嵐(太陽嵐)によりバンアレン帯の電子が10倍から100倍以上に増えることはわかっているが、太陽嵐が起これば必ず増加するというわけではなく、どのようなメカニズムによって電子の数の変化が決まっているのかは不明だった。

 名古屋大学太陽地球環境研究所の三好由純(みよしよしずみ)准教授らの研究グループは、磁気圏観測衛星「あけぼの」などの長期観測データを用いて、地球にやってくる太陽風(太陽から噴きだすプラズマの風)がバンアレン帯に及ぼす影響について統計的に解析した。

 その結果、スピードの速い太陽風の中に南向きの磁場が含まれていると、数日間にわたって「コーラス」と呼ばれる宇宙の電波が強く発生しやすい状況になり、80%以上の確率で電子の数が増えることが示された。このような状態のときには、オーロラの活動も数日間にわたって活発になる。

 24年間にわたって観測を続ける「あけぼの」の長期観測により初めて可能となった今回の成果は、今後宇宙天気予報の精度向上に貢献することが期待されている。2015年度には、さらに詳細なメカニズムの解明を目的とした衛星「ジオスペース」がイプシロンロケット2号機により打ち上げられ、「あけぼの」のデータに基づいた観測計画が進められる予定だ。(名古屋大学地球環境研究所)


 バンアレン帯とは何か?
 バンアレン帯(Van Allen radiation belt)とは、地球の磁場にとらえられた、陽子、電子からなる放射線帯。

 1958年にアメリカ合衆国が人工衛星エクスプローラー1号を打ち上げ、衛星に搭載されたガイガーカウンターの観測結果より発見された。名前の由来は発見者であるアメリカの物理学者、ジェームズ・バン・アレンより。

 ヴァン・アレン帯は地球を360度ドーナツ状にとりまいており、内帯と外帯との二層構造になっている。赤道付近が最も層が厚く、極軸付近は層が極めて薄い。内帯は赤道上高度2,000~5,000kmに位置する比較的小さな帯で、陽子が多い。外帯は10,000~20,000kmに位置する大きな帯で、電子が多い。

 太陽風や宇宙線からの粒子が地球の磁場に捕らわれて形成されると考えられている。電子は太陽が起源、陽子は宇宙線が起源とされている。地磁気の磁力線沿いに南北に運動しており、北極や南極では磁力線の出入り口であるため粒子も大気中に入ってきて、これが大気と相互作用を引き起こすことによってオーロラが発生する。

 オーロラはバンアレン帯の粒子が原因であるため太陽活動が盛んなときは極地方以外でも観測されることがある。地球以外にも磁場を持つ惑星である木星、土星で存在が確認されている。

 過去には、宇宙船でヴァン・アレン帯を通過すると人体に悪影響があり、危険だとされていたが、今では通過時間がわずかであり、宇宙船、宇宙服による遮蔽や防護が可能なことから、ほとんど問題はないと言われている。(Wikipedia:バンアレン帯) 


太陽地球系物理学 -変動するジオスペース-
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