冬に多いはずの感染症がはや流行 RSウイルス、昨年同期3倍超
 9月も後半になると、8月の猛暑が嘘のように、涼しく過ごしやすくなってきた。9月27日の朝には、各地でこの秋一番の冷え込みとなった。北海道では18の地点で氷点下を記録するところもあった。

 また、高知県四万十市では、水平線から昇る太陽が光が海面ににじむ「ダルマ朝日」が観察された。ダルマ朝日は、寒い日の朝、大気と海水の温度差が大きいときに、海面から立ち上る水蒸気で光が屈折するために見られる自然現象。

 そんな中、ある感染症が例年より早く急増している。名前はRSウイルス。冬場に流行し乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となるRSウイルス感染症である。流行期が昨年より早く、マスコミを中心に乳幼児の保護者らに注意を呼び掛けている。


 RSウイルスはせきやくしゃみのしぶきなどで感染し、4~6日程度で発熱や鼻汁などの症状が出る。軽症で済むことが多いが、1歳以下の乳幼児で初めて感染する場合は、約3割でせきが悪化し呼吸困難などの症状が出るという。

 治療の方法としては、対症療法が主体になる。発熱に対しては冷却とともに、アセトアミノフェン(カロナール)などの解熱薬を用いる。喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては鎮咳去痰薬や気管支拡張薬などを用いる。

 脱水気味になると、喀痰が粘って吐き出すのが困難になるので、水分の補給に努めます。細菌感染の合併が疑われる場合は抗生剤を使用する。

 RSウイルス感染症は、保育所などで施設内流行を生じやすいので、注意が必要。また、家族内感染も高い率で起きる。飛沫や接触により感染するので、患者さんの気道分泌物の付着した物の扱いに注意し、予防としてはやはり手洗いとうがいの励行となる。

 TBSnewsの「RSウイルスによる感染症、例年より早く増加」を引用する。


 “RSウィルス”による感染症、例年より早く増加 
 
 全国的に秋晴れとなり、各地で幻想的な景色が見られた27日。東京でも、27日朝早くに気温16.8度を記録、この秋一番の寒さとなりました。

 「起きたときがちょっと寒くて、布団から出にくいなと」(女性)
 「薄着で寝るのをやめないと、本当に風邪ひいちゃうかなと」(男性)

 季節の変わり目で体調の変化を感じる人も多いと思いますが、今、流行の兆しを見せている感染症があります。“RSウイルス”です。RSウイルスは、患者のほとんどが2歳以下の子どもで、感染すると風邪と同じような発熱や咳などの症状が現われます。感染力が強く、重症化した場合は肺炎や脳症を引き起こすおそれがあります。国立感染症研究所のまとめによりますと、9月9日からの1週間の患者数は3469人と、3週間連続で急激に増えています。

 東京都内のクリニックでは、27日、風邪の症状を訴える親子が診察に訪れていました。

 「せきと鼻水が続いていたので、念のためRSがはやっているので、その検査をしていただいて結果を待っている」(診察に来た親子)

 子どもはRSウイルスに感染していませんでしたが、粂川院長は・・・。

 「例年ですと、だいたい10月11月くらいから増えてくるんですが、今年は例年よりも早く、9月に入ってどんどん増えている状況」(杉並堀ノ内クリニック 粂川好男小児科院長)

 なぜRSウイルスに感染する患者が増えているのでしょうか。

 「猛暑の影響があると思う。9月に入って急激に気温が下がって、気温の変化に体力、免疫がついていけない」(杉並堀ノ内クリニック 粂川好男小児科院長)

 気象庁は、今年の冬は例年より寒く、雪も多くなると予想しています。

 さらに粂川院長によると、RSウイルスに対しては一般的な予防接種がなく、家族を含めた手洗いやうがいといった予防の徹底が不可欠だと言います。(TBSnews 9月27日)


 RS感染予防にビール原料有効  サッポロが苦み成分研究
 RSウイルスとは、あまり聞かない名前だが、重症になる場合もあるので注意が必要だ。RSウイルスに対しては、他の風邪と同様に手洗いやうがいが大切なようだ。

 サッポロビールは昨年12月5日、乳幼児の重い肺炎や気管支炎の原因となる「RSウイルス感染症」の予防に、ビール原料のホップの苦み成分が有効とする研究成果を発表した。札幌医科大との共同研究で分かった。

 研究者たちが着目したのは、ホップに含まれる苦み成分で、抗菌作用がある「フムロン」。RSウイルスの感染経路である鼻の粘膜細胞を使った実験で、フムロンを加えるとウイルスの増殖を抑制できることが分かった。感染した場合に炎症を緩和する効果も確認した。

 サッポロは今後、乳幼児の予防向けにフムロンを使った飲料や食品の開発を目指す。ただ、子ども向けに加工するには工夫も要りそうだ。(共同通信 2012年12月5日)


 RSウイルスとは何か?
 RSウイルス(respiratory syncytial virus)は、パラミクソウイルス科に属するRNAウイルスの一種。遺伝子配列は決定されていて、A型とB型の二つの型に分類できる。ウイルス株間での差違は大きい。

 環境中では比較的弱いウイルスで、凍結からの融解、55℃以上の加熱、界面活性剤、エーテル、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬などで速やかに不活化される。 

 RSウイルスは免疫不全の有る場合や乳幼児は気管支炎・肺炎などの原因になることもある。感染症法でRSウイルス感染症は五類感染症(定点把握)とされている。感染により発症する宿主は、ヒト、チンパンジー、ウシで、無症状のヤギなどからも分離される。

 日本では、11月から1月にかけて冬期の流行が多く報告され、熱帯地域では雨期の流行が多いとされている。乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告がある。1歳までに50~70%以上の新生児が罹患し、その1/3が下気道疾患を起こすと報告されていて、3歳までにほぼ全ての小児が抗体を獲得する。母親からの抗体では、感染が防げない。くり返し感染しながら徐々に免疫を獲得する。

 生後4週未満では感染の頻度は低いものの、感染した場合呼吸器症状を起こさない経過となることも多く、診断が遅れることもある。更に生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすいことも報告されており、注意が必要である。生後6ヶ月以内で最も重症化するといわれる。1歳以下では中耳炎の合併もみられる。発熱、鼻汁、咳など上気道炎症状の後、細気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現してくることがある。

 感染力は強く、飛沫と接触感染の両方で感染し、発症前にも周囲の人を感染させる。小児は症状が消えてから1~3週間後も感染力を失わない。しかし、医療現場での厳重な手洗いは感染率を低下させる。眼及び鼻粘膜からも感染すると考えられていて、通常の鼻と口を覆うマスクでは効果はないとされている。

 看護する保護者や現場の医療従事者が、気管支炎やインフルエンザ様症状をおこし、多量のウイルスに曝されるため、小児より重症になることもある。(Wikipedia)


 症状・診断方法・治療法
 2~5日の潜伏期の後、39℃程度の発熱、鼻水、咳などがある。通常1~2週間で軽快する。呼吸困難等のために0.5~2%で入院が必要になることがある。

 診断方法は、病原体診断は呼吸器分泌物より、PCR法による遺伝子検出か免疫クロマトグラフィー法などによりウイルス抗原を検出する。しかし、年長児の再感染では有意な検査結果を得られない場合もある。

 日本では「チェックRSV」「ラピッドテスタRSV-アデノ」などの免疫クロマトグラフィー法を用いた迅速診断キットが実用化されている。

 日本におけるRSウイルス感染症患者の報告数は、診断方法が統一されてなかったので、正確な数値はで出ていない。2011年9月までは入院患者のみが迅速診断キットの保険適用対象となっていたが、2011年10月以降は外来患者も保険適用の対象となった。それ以降の報告患者数によると、今年は流行が早い。

 治療は、対症療法が主体となるが以下の分子標的治療薬の一つで抗ウイルス薬を使用する。パリビズマブ palivizumab(Synagis シナジス®)(Wikipedia)


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