外来種は「強い」というが、その理由はわかっていない
 外来種が問題となっている。最近では、ペットショップで広く販売している、ミドリガメが大きくなって持て余した飼い主が川や池に捨てて繁殖。生態系への影響や農業被害が問題になった。

 環境省は9月5日、ミドリガメの名で知られる外来種のミシシッピアカミミガメについて、外来生物法で輸入や飼育が原則禁止される特定外来生物への指定を検討する方針を明らかにした。

 生態系は、長い期間をかけて食う・食われるといったことを繰り返し、微妙なバランスのもとで成立している。ここに外から生物が侵入してくると、生態系のみならず、人間や、農林水産業まで、幅広くにわたって悪影響を及ぼす場合がある。

 植物でもタンポポ、イヌノフグリ、オナモミなど、多くの身近な植物に起こっている。特にセイヨウタンポポが、在来のカンサイタンポポやカントウタンポポを駆逐したのは有名だ。だが、どうして外来種が、在来種より強いのかはこれまでよくわかっていなかった。


 今回、名古屋大学(名大)は9月24日、大阪市立環境化学研究所、滋賀県立大学との共同研究により、在来の植物が外来種に追いやられるメカニズムをタンポポで明らかにしたと発表した。

 実験では、在来タンポポのめしべでは、花粉がたくさん付着したとしても、その内の2~3の花粉からしか花粉管が雌しべを通っていかないことを発見。次にセイヨウタンポポや雑種の花粉管は、近畿のカンサイタンポポのめしべの中は「胚珠」(将来の種子になる部分)まで通っていくのに、トウカイタンポポのめしべでは途中で止まってしまうことが確認された。

 つまり、カンサイタンポポはセイヨウタンポポの花粉を間違って受け入れてしまうのに対し、トウカイタンポポはセイヨウタンポポの花粉を途中で拒絶できるというわけだ。セイヨウタンポポの花粉を間違って受け入れためしべは、そのあと種子を作るのに失敗し、子孫の数を減らしてしまう。

 そうすると次世代の個体はますます周りをセイヨウタンポポらに囲まれ、その場から急速に追いやられてしまうというわけである。

 以下は名古屋大学プレスリリースの記事「セイヨウタンポポはなぜ強い?」から引用する。


 名大など、在来植物が外来種に追いやられるメカニズムを解明
 名古屋大学(名大)は9月24日、大阪市立環境化学研究所、滋賀県立大学との共同研究により、在来の植物が外来種に追いやられるメカニズムをタンポポで明らかにしたと発表した。

 成果は、名大 博物館の西田佐知子准教授、同・大学院理学研究科の金岡雅浩助教、同・大学院環境学研究科修士の橋本啓祐氏(当時)、大阪市立環境化学研究所の高倉耕一研究主任、滋賀県立大環境科学部の西だ隆義教授らの共同研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、9月20日付けで英国生態学協会発行の学術誌「Functional Ecology」速報版に掲載された。

 在来植物が外来植物に追いやられて置き換わってしまう現象は、従来の生物多様性を変えてしまう深刻な問題となっている。日本でもタンポポ、イヌノフグリ、オナモミなど、多くの身近な植物に起こっているが、どのようなメカニズムで起こっているのか今まではわかっていなかった。

 よくいわれるのは、外来種が「強い」から在来種を駆逐するというものだが、実はその「強い」に具体的な根拠はない。在来種を駆逐している結果から「強い」とされていたのである。結局のところ今もってそのメカニズムは不明のため、在来種を守るには外来種を根こそぎ取るなど、効率の悪い形でしか保全の対策を立てることができなかったというわけだ。


 カンサイタンポポとトウカイタンポポの違い
 そこで研究チームは今回、日本在来のタンポポでも、セイヨウタンポポやその雑種によって追いやられている種と、ほとんど追いやられることなく共存している種があることに注目し、それらのめしべ内で何が起こっているのかを研究することにしたのである。

 具体的には、セイヨウタンポポに追いやられている近畿地方の在来タンポポである「カンサイタンポポ」と、追いやられていない東海地方の在来タンポポ「トウカイタンポポ」に各種の花粉を人工授粉し、在来タンポポのめしべがどのような反応を示すかの比較が行われた形だ。

 その結果、まず在来タンポポのめしべでは、花粉がたくさん付着したとしても、その内の2~3の花粉からしか花粉管が雌しべを通っていかないことが発見された。そしてセイヨウタンポポや雑種の花粉管は、近畿のカンサイタンポポのめしべの中は「胚珠」(将来の種子になる部分)まで通っていくのに、トウカイタンポポのめしべでは途中で止まってしまうことが確認されたのである。

 つまり、カンサイタンポポはセイヨウタンポポの花粉を間違って受け入れてしまうのに対し、トウカイタンポポはセイヨウタンポポの花粉を途中で拒絶できるというわけだ。セイヨウタンポポの花粉を間違って受け入れためしべは、そのあと種子を作るのに失敗し、子孫の数を減らしてしまう。そうすると次世代の個体はますます周りをセイヨウタンポポらに囲まれ、その場から急速に追いやられてしまうというわけである。

 なお在来種とセイヨウタンポポとの雑種も存在するが、雑種が誕生する確率はそれほど高くないという。ただし、雑種が数多く見えるのは、クローン繁殖するからだ。また雑種も花粉を出すため、セイヨウタンポポの花粉と共に在来タンポポの子孫を減らしていく効果が大きいとされているのである。


 セイヨウタンポポが強い理由は「繁殖干渉」
 ちなみにこの現象は「繁殖干渉」と呼ばれ、ある生物が繁殖において間違って近い種類の種に悪影響を与えてしまうというものだ。在来タンポポはほかの個体から花粉を受け入れないと種子ができないため、カンサイタンポポのようにセイヨウタンポポからの繁殖干渉を受けてしまう場合があるのである。

 一方、セイヨウタンポポや雑種は種子を作るのに花粉を使わないことから、繁殖干渉を受けない。従って、追いやられるのは在来種ばかりとなるというわけだ。

 今回の成果により、在来植物が近縁の外来種に追いやられる現象に、繁殖干渉が大きく関わっている可能性が確認された。この発見は今後、在来種に被害を及ぼす恐れのある外来種の予測や、外来種からの繁殖干渉を防ぐ対策につながるという。

 具体的には、新しい外来種が発見された時、それと近縁の在来種に外来種の人工授粉実験を行って繁殖干渉の有無を調べることで、外来種からの繁殖干渉による在来種駆逐がどの程度起こりそうかを予測することができるかも知れないとした。

 また、外来種の花を取ってしまうという比較的簡単な作業で、外来種からの繁殖干渉による在来種の駆逐を抑えることができるとする。今回の成果は、生物多様性の保全に大きく役立つことが期待されるとした。

 さらに、外来種問題から離れて純粋な生物学的な意味からも繁殖干渉の研究は大きな意義を持つという。すなわち、近縁の生物が同じ場所にほとんど存在しないというダーウィンの時代から謎とされていた現象の解明につながることが期待されるとしている。(名古屋大学:セイヨウタンポポはなぜ強い?


 セイヨウタンポポは、無性生殖(単為生殖)で殖える
 セイヨウタンポポには有性生殖を行う2倍体と無融合生殖を行う3倍体があり、日本に定着したセイヨウタンポポは3倍体で、単為生殖で種子をつける。

 つまり、花粉に関係なく、種子が単独で熟してしまう。そのため繁殖力が強く、都市部を中心として日本各地に広まり、特に近年の攪乱が多い地域を中心に分布を広げた。現在ではほぼ日本全国に広がっているが、古くからの田園風景の残る地域では在来種のタンポポが勢力を持っている。そのため、都市化の指標生物になるといわれている。

 また、最近になって日本では、セイヨウタンポポを含む外来タンポポと在来タンポポの雑種が発見され、新たな問題として注目されている。セイヨウタンポポは無融合生殖と呼ばれる単為発生であり、不完全な花粉しか作らないので雑種の形成はあり得ないと考えられていた。

 ところがセイヨウタンポポの作る花粉の中に、nや2nの染色体数のものができると、在来種のタンポポがそれと受粉して雑種ができる可能性があり、現にそれがあちこちに生育していることが確認された。


 純粋なタンポポの種は存在しない?
 日本のセイヨウタンポポの8割以上は在来タンポポとの雑種との報告がある。このような雑種では、総苞は中途半端に反り返るともいわれ、その区別は簡単ではない。雑種は反曲した総苞片の先端にこぶ状の突起があり、また総苞片の縁の毛も多い傾向があるといわれている。

 近年は在来タンポポのように総苞が反り返らないニセカントウタンポポ(Taraxacum sp.)と呼ばれるタンポポが関東地方を中心に確認され、雑種もしくは別系統の外来タンポポとする見解がある。

 こうした分類の混乱や交雑の問題から、正確な種の実態はまだよくわかっておらず、これまでセイヨウタンポポとされていたものでも実際は複数の種が含まれている可能性が高い。そのため、近年は外来タンポポ群(Taraxacum spp.)としてひとくくりに扱われることが多い。(Wikipedia:セイヨウタンポポ


 外来種の問題点
 生態系は、長い期間をかけて食う・食われるといったことを繰り返し、微妙なバランスのもとで成立している。ここに外から生物が侵入してくると、生態系のみならず、人間や、農林水産業まで、幅広くにわたって悪影響を及ぼす場合がある。

 もちろん全ての外来種が悪影響を及ぼすわけではなく、自然のバランスの中に組み込まれ、大きな影響を与えずに順応してしまう生物もいる。

 しかし、中には非常に大きな悪影響を及ぼすものもいる。生態系への影響 外来種が侵入し、新たな場所で生息するためには、餌をとったり、葉っぱを茂らして生活の場を確保したりする必要があり、もともとその場所で生活していた在来の生物との間で競争が起こる。

 外来種が在来の生き物を食べてしまうことにより、本来の生態系が乱されてしまう。 外来種に在来生物が食べられたり、外来種が、日陰を作ってしまうことで、在来の植物の生活の場を奪ってしまったり、在来の動物と同じ餌を食べることにより、エサを巡って競争がおこる。

 近縁の在来の種と交雑して雑種を作ってしまい、在来種の遺伝的な独自性がなくなる。失われる遺伝子の中には人にとって有用な物も存在するかもしれない。

 人の生命・身体への影響 たとえば、毒をもっている外来種にかまれたり、刺されたりする危険がある。 農林水産業への影響 外来種の中には、畑を荒らしたり、漁業の対象となる生物を捕食したり、危害を加えたりするものもいる。(環境省:外来生物法


日本のタンポポとセイヨウタンポポ
クリエーター情報なし
どうぶつ社
ECLECTIC INSTITUTE セイヨウタンポポ カプセル
クリエーター情報なし
ノラ・コーポレーション

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please